反乱
会場に駆け込んできた兵士の一言で先ほどまでの雰囲気がガラッと変わった。会場にいた貴族たちが慌てだす。しかし
「静まれ!」
陛下の一言で先ほどまでの騒ぎが収まる。さすが王様だと俺は思った。
「手の空いている者は鎮圧に迎え。護衛の者は己の主を守るのだ。」
陛下は次々と騎士たちに指示を出していく。しかし、どうやら相手は結構な数を連れてきているようで、押し返されているようだ。
「レティシアどうする?」
ハンスが言いて来たが、俺たちはカトレアの護衛だ。なので、俺たちはカトレアの指示を待つことにした。
「カトレア様。こちらにいらっしゃったんですね。」
俺たちはカトレアを見つけ駆け寄った
近くには陛下や王妃、そしてエレノアとレオンハルト、アリシアがいた。
「カトレア様、我々はどうしたらよいですか?」
雇い主のカトレアの指示を聞こうとしたが
「ふむ、少し手間だったようだな。」
会場の入口に第二王子とシュバイツ公爵が立っていた。俺や他の護衛達は前に出て、それぞれの主を守るように武器とる。
「これは、これは、陛下。お久しぶりです。」
シュバイツ公爵家が頭を下げる。
「今回の騒動は貴様のせいか!」
陛下が怒号する。
「はて、何の事でしょう?私は年老いた陛下に玉座を降りていただこうと思っただけですよ。」
まるで自分は悪くないような言い方をした。
「(ハンス、これお約束じゃない?)」
「(まあ、こういったパーティーのイベントは結構あるけど、なんというか、ありきたりだね。)」
こんな状況なのに俺とハンスはそんなことを目で語りあっていた。
「さて、陛下。城は既に制圧しました。ちょうどいいのでこの場で、第二王子である彼に王位を譲ると宣言していただこう。」
「そなたの言う事に私が従うと思うか?」
「では仕方ありません。力ずくで従っていただきましょう。」
シュバイツ公爵家の後ろからぞろぞろ兵が現れる。その中に
「レイナール!」
アリシアが叫ぶ。
「これは、アリシア様。どうかなさいましたか?」
レイナールはそう言った。
「貴方、どうしてここに?」
「それはもちろん、シュバイツ公爵様の騎士だからです。」
レイナールはそう言った。
「(すげー、茶番劇だ。)」
「(レティシア。みんな真面目なんだから。確りしないと!)」
ハンスに目でそう言われた。確かにそうなのだが、ここまでくるとね・・・
「閣下。私との約束は・・・」
「レイナールよ。大丈夫だ。約束は守ろう。」
シュバイツ公爵はレイナールに言う。
「約束?」
アリシアが疑問に思い聞いた。
「ええ、今回の件がうまく言った場合、貴女を私の妻に約束です。」
レイナールはアリシアに向かって言う。
「何を言っているのですか。このよう事をする貴方に誰が、それに私はレオンハルト様を」
「貴女の意志など関係ありませんよ。それにレオンハルト様にはここで死んでいただきますので。」
「な!」
アリシアは驚き、声を出す。
「そういう事だ。エレノア様には私と結婚していただきます。」
シュバイツ公爵はエレノアに向かってそう言った。
「私もアリシア姉さんと同じです。誰が貴方と。」
エレノアがそう言った。きっと無意識なのだろうが、エレノアはアリシアのことを姉さんと言っている。昔は本当に姉妹のように仲が良かったのだろう。それより
「(あのハゲ公爵自分の年齢考えなよ。犯罪でしょう!)」
「(レティシア。落ち着こうか。)」
またしても、ハンスに目で言われた。ほんと俺たちこの状態で落ち着いているね。
「先ほども言ったが貴女たちの意志など関係ないと言いましたよ。」
シュバイツ公爵はそう言って指を鳴らす。その後ろから
「「「「「(うわ~)」」」」」
俺たち暁のメンバー全員が心の中で思った。現れたのが
「なるほど、ここで俺の出番ってわけか。」
そうラルクだった。
「そうだラルク。君の魔眼の力を使ってもらう。聖女と姫騎士の職業を持つエレノアには君の魔眼が効果的なのでね。」
なるほどラルクの魔眼で2人を操るつもりか、しかし王女が姫騎士とはね・・・
「ラ・・・」
俺はハンスの肩を掴む。
「(あっちは気づいてないのだから、相手する必要ないよ。)」
俺はハンスにそう言った。ハンスも分かったと頷く。俺たちはそんなことをしていると
「陛下。ここは私が」
陛下の後ろで待機していた騎士が前に出る。
「ほほっ、王国最強の騎士である、ヒリト殿が出てくるとは。」
シュバイツ公爵家が薄ら笑いをする。
「シュバイツ公爵。あなたを国家反逆罪として処罰する。」
そう言って剣を抜く。
「いかに、王国最強といえどこの数を相手に勝てますかな?」
確かに城は制圧されて状態で、ここにいる貴族の護衛を入れても50人いるかどうか。
城を制圧したのであれば相手はおそらく1000人くらいはいるはず。
「首謀者の貴方が死ねばこの反乱は鎮圧される。」
そう言ってリヒトは敵に向かって駆け出す。それに合わせて、他の護衛や騎士たちも動く。しかし、数は相手の方が多い。この会場だけでも100人はいる。それに公爵の護衛ともなれば、それなりに力があるはずだ。
「確かに私が死ねば、反乱が終わるがそれは軽率だな。」
シュバイツ公爵さらに指をならす。
「ぐぁ!」
陛下の陰から黒い刃が出てきて陛下の腕を斬り飛ばした。




