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ギルドマスターに会う

ハンスの装備を購入し俺たちは、次に冒険者ギルドに向かう。時間は既に昼を過ぎていたので、近くの屋台で簡単な食事をとってから、ギルドに向かった。入り口をくぐると、冒険者がちらほらいる。まあ昼過ぎなのでこんなものだろう。初めはハンスの装備に驚く冒険者もいたが、俺が隣にいるため、からんでくる奴はいない。昔、聖女になってからんできた馬鹿どもを半殺しにしたのが原因だ。俺たちはそのまま受付にいって、「ギルドマスターに取り次いでもらえるかと」訪ねた。しばらくして、俺たちはギルドマスターの部屋に呼ばれた。


「珍しいな。お前が私に用があるなんて。」


そこには五十代くらいの男がいた。彼がこの町のギルドマスター、アルフレット=ファブレ。この町のファブレ伯爵の先代当主だ。今は息子のニコラスに当主の座を譲り、ギルドマスターをしている。昔はなんでも凄腕の剣士だったとか。職業は剣聖だったはず。


「すみません。忙しい中訪ねてしまって・・・」


「いや、構わない。この町ただ一人のSランクの君だ。」

そう言ってギルドマスターは笑った。そして、ハンスを見て


「君は確か「元青の翼」のハンス君だね。」


「どうして?僕の名前を?」


「ギルドに所属している者は皆、私にとっては仲間。覚えていて当然だ。」

ギルドマスターはそう言った。


「それで、君たち二人は私になんの用なんだ?」


俺たちはギルドマスターにパーティーを組むことと、彼が実は勇者であったことを話す。


「ふむ、パーティーを組む件に関しては、私の推薦とレティシアの同意があれば問題ない。」


本来、SランクとFランクの人間がパーティーを組むことはありえないが、ギルドマスターの推薦とSランクの同意。すなわち俺の同意で問題はない。


「それでリーダーはどうする?SとFではランクが離れすぎて、難しい依頼は受けれないぞ。」


「問題ありません。ハンスがリーダーなので。」


「え?聞いてませんよ!そんなこと」


「ハンス。君は勇者だ!すぐにランクなんて上がるし、彼らを見返してやるんじゃなかったのか?」

ハンスはそう言われ「うん。そうだね。わかった」と返事をした。


「話はまとまったみたいだな。次に勇者についてだが、これは隠した方がいいだろう。」

そうギルドマスターが言った。


確かに勇者は世界で3人しかおらず、1人1人が単独で軍を相手にできるレベルだ。もしかしたら小国くらいなら単独で落とせるかもしれない。そのため、どの国も勇者を保護しようと躍起になっている。


「ギルド所属の勇者にはできないんですか?」


「難しいだろう。ただでさえ聖女である、お前を教会に引き渡せってうるさいのに。」


そういえば、教会がそんなことを言っていたな。聖女は教会に所属するものであるって、何かアホなことを言っていた気がする。まあ、どうでもいいけど。


「お前に関してはSランクだから、多少の無理はできる。現にギルドにいる聖女たちは皆、高ランクのパーティーに所属しているため、教会もそこまで強く出れない。さすがに高ランクの冒険者を引き抜こうとすれば、冒険者と教会の衝突は避けられない。だが勇者は別だ。冒険者と事を構えてでも手に入れようと考えるだろう。」


まあ、勇者と聖女では格が違うからな。戦争をしてでも手に入れようとするだろう。しかし・・・


「そう、お前も分かっているだろうが、それはあくまでも未熟な勇者を保護しようとした場合だ。高ランクの勇者であれば国も迂闊には手を出せない。」


その通りだ。未熟な勇者はまともな戦闘経験がなく、力に振り回されるだけの存在。だから、国としても未熟なうちに確保し、自分たちで育て、国に忠誠を誓わせようと考える。だが、高ランクになった勇者は既に自分の力を完全に使いこなしているため、国も手を出せない。最悪、自分たちの国が滅びるかもしれないのだ。現に1人だけ、Sランクにまで辿り着いた勇者がいる。


「なるほど。ではハンスを鍛えて高ランクにすればいいんですね。」


「その通りだ。とりあえず、彼の職業は隠しつつランクを上げる必要がある。」


「じゃあ、俺の推薦とギルマスの推薦で最低Bランクにはできますね。」

俺はそう言ったが、


「そんな事をしたら、周りに怪しまれるわ!」

とあっさり拒否された。


「まあ、確かにそうですね。でも、アルフレット様は良いのですか?貴族としては?」

俺はあえて、名前で言った。


「国に忠誠を誓うものとしては、彼は欲しいと思うが、俺、個人としては彼には自由に生きてほしいと思う。国に縛られる人生でなく、自分で選び自分で決めてほしいとね。」

そうアルフレットは言った。


「ふふ、さすが貴族様。言うことが違うね。それでハンスはどうする?さっきの話を聞いて?」


国は勇者を手に入れようと考えるが、貴族のギルドマスターは自分で決めろと言っている。


「俺は国に縛られたくはありません。それだと、彼を見返せないから・・・」

そうだね、ハンス、君は自分の力で彼ら「青の翼」と見返してやらないと・・・ね。


「そうか・・・なら、ハンス君。君は自分の選んだ道を進むといい。」

ギルドマスターはそう言った。


「じゃあ、話は、まとまったね。それでギルマスどうするの?」


「とりあえず、ハンス君にはさっそくランクアップの試験を受けてもらおう。ギルドに対しての貢献度だけであれば、すぐにEランクにできる。そして、今回は試験官と戦ってもらい、その結果次第ではDランクになってもらう。」


「うん、それが妥当だね。」

俺も同意する。


「では、明日の朝、訓練所でハンス君のランクアップ試験を始める。とりあえず、今日はEランクのカードをこの後、発行しよう。」

そうギルドマスターは言った。


「そういえば、すぐにEランクにできるのであれば、どうして今までFだったの?」

俺の言葉にハンスは


「雑用はFランクで十分だって。申請すらさせてくれなかったんだ。」


その話を言いて「ふむ、「青の翼」の評価を改める必要があるな。」とギルドマスターの中で「青の翼」の評価が下がった。「青の翼」ざまぁ・・・



その後、俺たちは下におり、受付でEランクのカードを発行してもらい、宿に戻るのだった。

少し書き方を変えました。

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