王城にて
武闘大会は悪魔の出現で中止になってしまった。とはいえ、試合自体は、決勝まで行われたわけで、事実上、俺が優勝者となった。そして、優勝した俺と俺のパーティーメンバーが今回の主催パーティーに特別に参加することを許された。勿論、ドレスを着るのも自由だし、冒険者の恰好のままでもよいと、王様からそう言われている。
とはいえ
「あわわ、どうしましょう。パーティーなんて」
「大丈夫よ。私たちはタダの冒険者。壁の隅でじっとしていれば目立たなくて済むわよ。」
相変わらず慌てている、リーシャと壁の隅で目立たないようにしようとするアリアである。
「ハンスはどうするの?」
サーシャがハンスに聞き
「ん?僕は冒険者だからね。この格好で行くよ。」
「そう、なら私もこの格好かな。」
サーシャがそう言った。少し前に比べると最近のハンスとサーシャはよく話すようになった感じがする。いい傾向だ。もしかしたら昔のように恋人に戻れるかもしれないな。俺は二人を見てそう思った。
「ところでレティシアはどうするの?」
ハンスが聞いてきたので
「ん?俺にドレスなどに会わない、当然このままでいくに決まっている。」
正直、パーティーなんかに興味はないがカトレアに「王命なので参加してください。」と頼まれれば、こちらとしては断ることも出来ない。
「ええ!もったいないですよ。レティシアさんってドレスすごく似合いそうなのに。」
「そうですね。レティシアさんってすごくスタイルが良くて綺麗ですからドレスがすごく似合いそうです。」
アリアとサーシャがそんなことを言ってくるが
「勘弁してくれ。ドレスなんて着た日には、羞恥心で死んでしまう。」
本気で勘弁してほしいと思った。見た目は女でも中身は男だ。そんな俺がドレスなんて着れるはずがない。想像するだけでも鳥肌が立つ。そして、ハンスよ!下を向いたまま、肩が震えているぞ。笑っているな、コイツ!
「とにかく俺もこのままの恰好で出るのでよろしく。」
俺はみんなにそう言った。
夕方
「皆さん準備は出来ましたか?」
カトレアが俺たちを迎えに来てくれた。本来であれば俺たちがカトレアの方に出向くのが礼儀だが、今回は「貴族いるパーティーは初めてでしょうから、こちらから出向きます」と言われ、カトレアが俺たちを迎えに来たのである。その後、俺たちはカトレアの用意した馬車に乗り込むのであった。
「結局みなさんは、冒険者の恰好で参加されるのですね。」
カトレアは俺たちの分の服も用意してくれていたが俺たちは冒険者なのでいつもの恰好が落ち着くのである。そのため
「申し訳ありません。どうもドレスなどは、自分たちには似合わないので」
などと言い訳をした。だが
「まあ、みなさんなら、そう言うと思っていました。」
どうやらカトレアは俺たちが冒険者の恰好で参加するのではないかと予想していたようだ。
「今回は陛下も冒険者の服でもよいとおっしゃっていたので特に問題はないですが、もし、このような機会があった場合は確りとした恰好で参加してくださいね。」
カトレアに言われるが、おそらく二度とないだろうと俺たちは思った。むしろ二度とそういった機会は来ないでほしいと願うのである。そんなことを思っていると
「もうじき、城につきます。」
カトレアがそう言い、門番に招待状を見せる。確認した後、王城の門が開き中に入って行った。そして
「すごい!お城の中ってこんなに広いんだ。」
アリアが驚く。勿論、みんなも同じ気持ちだ。俺も異世界に来てからこれほどの建物を見たこともなければ中に入ったこともないのである。
「さあ、みなさん。行きますよ。」
カトレアが先導してくれた。さすが伯爵ともなれば、城に入る機会はいくらでもあるといったところか、落ち着いている。そして、途中で出会ったメイドに部屋まで案内してもらった。
「それでは皆さま、パーティー開催まで時間がありますのでこちらで、おくつろぎ下さい。」
メイドはそう言って、部屋を出てった。
「皆さん、まだ時間がありますので、もう少し肩の力を抜いてはいかがですか?」
「カトレア様、わかっているのですが、こういった場面に出くわしたことが無いので・・・」
「死神と言われたレティシアでも緊張するのですね。」
カトレアにそういわれるが、貴族のいるパーティーに参加なんて普通は縁がないので緊張してしまうのだ。
「そういえば、陛下もエレノア様もSランクの冒険者に会いたがっていましたよ。」
カトレアが俺にそう言った。今のところは俺がSランクであることは黙っててもらっているが、問い詰められれば答えてしまうかも入れない。例えば「王命だ!」とか言われれば、その場合は仕方ないと諦めるか・・・それからしばらくの時間が過ぎ、いよいよパーティーの時間が始まる。俺はこれから戦場に行く覚悟で向かうことにした。
「レティシア、これから戦場には行かないよ」
ハンスにそんなことを突っ込まれるが、聞かなかったことにしよう。




