決勝
武闘大会2目
俺は順調に勝利を収めて行った。さすがにここまで勝ち抜いてきた強者という事だけあってレイナールとは違い、油断できない戦いだった。だが結局、素手で勝利を収めて行った。
「すごいですね、カトレア。レティシアさんついに決勝まで進みましたよ。」
「ええ、本当にすごいです。」
カトレアは内心驚いていた。聖女という職業がどういったものか、昔、本で読んだことがあった。しかし、レティシアの戦い方は本に書かれていた聖女の戦い方とは大きく異なっていた。聖女とは後方に待機し仲間を支援魔法で、仲間を強化したり状態異常を解除したり、ケガを回復させるといった。あくまでも後方支援の職業だと書いていたのにも関わらず、レティシアは素手で敵に殴りかかるわ、巨体の男を投げ飛ばすわ、正直、聖女らしくない戦い方をしている。正直言って、格闘家の方が頷けるほどだ。エレノアの方は完全に格闘家だと思っているようだ。
「しかし、格闘家の人は素手で剣すら弾き飛ばせるのですね。」
エレノアが言った。
「いえ、さすがに格闘家でも素手で剣は弾けないはずです。」
ローゼン公爵がエレノアに言う
「そうなのですか?」
「ええ、私の雇っている冒険者に格闘家がいますが、彼はいつも手を守る装備をしていますので・・・」
ローゼン公爵はそう説明した。まあ、普通素手で剣とやり合おうなんて無謀なことはしないだろう。レティシアがおかしいだけである。
「とはいえ、決勝まで進むとはすごい事じゃないですか。」
エレノアが言った。
「そうですな。ワシの代表は準決勝で負けてしまったからのぉ~」
ローゼン公爵がそう言う。実際にローゼン公爵の代表は準決勝で第二王子派のシュバイツ公爵家代表に負けてしまったのである。
「そういえば、第二王子はどういった方なのですか?」
ハンスが言聞いた。実際、第一王子は、アリシアの婚約者という事もあり、以前に聞かされた、なんでもアリシアと同じようで、貴族、平民関係なく接したりして、平民を見下したりはしない方だという事だ。それに対して第二王子は完全に貴族が上位の存在と認識し平民を見下す癖があるようだ。王様はそう言った考えを改めろと、よく言っているようだけど治そうとはしていないらしい。
「まあ、第二王子派のシュバイツ公爵がそう言った考え方をしているのが関係しているのかもしれませんが・・・」
エレノアがそう言った。そんな話をしていると、決勝戦がそろそろ始まる時間になっていた。
「さあ、やってきました。今大会、決勝戦!泣いても笑ってもこれが最後!」
司会が言う。
「そろそろ、始まりますね。」
エレノアが言った。
「そういえば、陛下もご覧になっているとか?」
カトレアの問いに
「ええ、お父様とお母様は別の部屋で観戦しています。」
そう言ってエレノアが指を差す。その先には陛下と王妃と、そしてアリシアがいる、その隣に一人の男性の姿があった。
「アリシア様の隣にいるのが・・・」
「ええ、私の兄、第一王子のレオンハルトお兄様です。」
エレノアがそう言った。昔は兄妹仲が良くいつも三人一緒だったようだが、最近では派閥のせいで、みんなギクシャクしている。そのため、アリシアとも距離を置くようになったようだ。
「(また、昔みたいにみんな一緒になれないかな・・・)」
エレノアは心の中でそう思った。
「(さて、決勝の相手は確か第二王子の派閥の奴だったな。)」
俺はそんなことを思いながら、舞台に上がる。すでに対戦相手は舞台に上がってきており黒い兜から赤い目を光らせている。全身真っ黒な鎧を着た黒騎士と言ったところだろうか。
「(今までの敵とは気配が全く違うな。それにあの黒い霧は・・・)」
俺は対戦相手の黒騎士を見ながらそんなことを思った。
「さあ、やってきました。今大会、決勝戦!泣いても笑ってもこれが最後!」
司会がそう言い「はじめ」と合図をした。俺はとりあえず相手の出方を見ることにした。しかし、相手は俺の予想を超える速さで突っ込んでくる。
「プロテクション!」
俺は咄嗟に見えない壁をだして相手の攻撃を凌ぐ。そして、こちらの攻撃をしようにも黒い霧のせいで攻撃が届かない。
「(どうする。このままでは防戦一方になってしまう・・・)」
俺は相手の攻撃を避けたり防いだりしながら考える。
「(せめて、あの黒い霧を解除できればこちらの攻撃が当たるのだが・・効くかどうか分からないけど、ディスペルを試してみるか。)」
俺はそう思い、相手の攻撃をかわし懐に飛び込む。そして「ディスペル」を発動させた。その瞬間、対手の黒い霧だけでなく、鎧まで消し飛んだ。さすがの俺も予想外だったがそれ以上に驚くことがあった。
「まさか、我が闇の衣を飛ばす者がいようとは。」
そうった相手は人間ではなかった。鎧がなくなったことで正体が露になったのである。その男は、角をはやし、蝙蝠のような羽と尻尾を持っていた。そう、゛悪魔゛だ。
「・・・」
悪魔は俺を睨みつけ飛び去って行った。




