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血濡れVS死神

今俺は、盗賊の頭領らしき男と戦っていた。


「オラオラ!さっきまでの威勢はどこに行った!!」


頭領が大きな両手剣をもって俺に斬りかかってきた。俺はそれを避け反撃に出ようと思ったが、予想より早く両手剣を切り返してきたので回避に徹した。そして、今の俺は頭領お攻撃を避けているところである。


「(ふむ、元Bランクと言うだけのことはあるか。純粋な剣術であれば俺より上かもしれないな。どうして盗賊に身を落としたのか・・・)」


俺はこの男が盗賊に身を落としたことが気になった。これほどの腕があれば普通に冒険者として生きていける。むしろAランクにだってなれるだけの実力を彼は持っていた。俺は距離をとって


「どうして、それほどの腕がありながら盗賊なんてくだらないことをしているの?」


「あ?んなもん、こっちの方が面白いからじゃねえか。」


「面白い?」


「ああ面白いね!だって他人の者を盗めるし、人だって好きなだけ殺せる。欲しい女は奪って犯せる。最高じゃねぇか!」


「・・・」


初めは痛めつけて終わるつもりだったが、戦っている内にこの男の強さに疑問をもって聞いてみたけど、腕は確かでも中身はゴミのような男であることが分かった。そのとき


「レティシア。この男、゛血濡れ゛のガベールだ!」


盗賊どもを倒したハンスが駆け付けてそう言った。


「血濡れ?」


「ああ、この男は・・・」


ハンスが言うには、ガベールは元Bランク冒険者で実力的にはAランク寄りだったが性格に難あり。人を殺すことに喜びを覚え、同じ冒険者を事故に見せかけ殺したそうだ!それだけではなく、商人や女など物を奪っては女を犯し、そして最後には殺すといったことを繰り返していた。そしてガベールは犯罪者となり、姿を消したとの事。それが3年前らしい。俺がこの世界に来る一年前の事か・・・


「ハンス、よく知っているね。」


「むしろ、レティシアが知らなすぎ。」


そうハンスに言われてしまった。まあ、ハンスもこの男の顔をみて思い出したみたいだけど。さっき助けに来たときに確認してほしかったと少し思った。


「でも、ありがとうハンス。もう、この男についてはどうでもいいわ。」


俺はそう言ってガベールを見る。


「ああ?俺をガベールと知っても、怖気つかねぇとは驚きだ。」


「むしろ、ハンスの説明中に何もしてこなかった方が俺は不思議でたまらない。」


「ああ、俺の正体を知ったときのお前の顔を見てみたかっただけさ・・・まあ、全く顔色一つ変わらないけどな。」


ガベールはそう言って「さて、続きをするか。」と言って、俺に斬りかかろうとしたが、すでに遅く、ガベールの手足は切り飛ばされた。


「え?あぎゃああああ」


ガベールは血を吹きながら倒れた。


「レティシア!いったい何をしたの?」


ハンスが驚き俺に聞いてきた。


「俺の大鎌゛アダマスの鎌゛の能力だ。この大鎌で空間そのものを切り裂いたんだ。」


「空間を!」


「そう、以前メタルオーガの足を斬ったのもこの力だよ。」


どれほど優れた防御力があろうと空間そのものを斬ってしまえば何の意味もない。そして、俺が指定した空間に鎌を振り下ろせば、たとえ離れていても問題なく斬ることができる。ただし距離がある分、魔力もそれなりに使うし、あくまで見える範囲限定だけど・・・


「へ、へぇ~。すごいね。その武器。」


さすがにハンスも驚いた。まあ、俺も最初は驚いたけどね。さて・・・俺は手足を失ったガベールのもとへ向かい



「言い残すことはあるか?」


「て、テメェ何もんだ?」


既に大量の血が出ているためガベールは意識を朦朧とさせながら言った。このまま放っておいても出血多量で死ぬだろうけど


「冒険者からは死神って言われている。」


「し、死神!あのSランクの?」


「そう、その死神だ。」


「はっはっは。そうか、あの死神がお前のような小娘だったとはな・・・」


ガベールはそう言って、息を引き取った。こうして、俺とガベールの戦いに幕を閉じた。頭領を失った盗賊は戦意喪失し、残った盗賊を捕らえ町まで連行することになった。勿論、捕らえた盗賊から情報を聞きたし後日、騎士団がアジトに向かうことになった。


「皆さまお疲れ様でした。」


カトレアが騎士団と冒険者たちにそう言い、お礼を言った。


「我々はカトレア様をお守りすることが使命ですので。」


ルークはそう言い、騎士たちはカトレアの前で膝をつく。冒険者からは「これが俺たちの仕事だ。」とそう言った。そして俺たちは、捕らえた盗賊たちの監視をし、そして辺りの警戒をしながら目的の王都を目指すのであった。しかし


「すまない。ラルクという男が姿を消した。」


ルークにそう言われた。どうやら、俺たちが盗賊討伐をしている隙に逃げ出したようだ。


「仕方ありません。あの状況であればそこまで手が回らなかったでしょうし・・・」


俺たちは今回、盗賊退治で手がいっぱいだった。そのためラルクにまで目が回らなかった。


「逃げてしまったことは仕方無いけど、とりあえず俺はギルドと領主様にこの事を報告するね。」


俺はそう言ってアイテムボックスから魔道具を取り出し、ギルドマスターとニコラスに伝えたのである。そして、後日、ラルクは指名手配されるのであった。

次回に閑話を入れて第3章は終わりの予定です。

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