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怒り

「ラルク!」


ハンスが言う。


「こうなったら!」


ラルクがカトレアの手を掴もうとするも、俺が割り込んだ!


「ほんと、くだらない事ばかりするな!君は。」


俺はラルクに向かって言う。


「また、お前か!ハンスといい、お前といいどこまでも俺の邪魔をする。」


ラルクが叫びだす。


「ラルク!!」


ハンスは剣を抜きラルクに斬りかかる。


「このっ!」


ラルクも剣を抜きハンスの剣を受け止める。


「ラルク!」


サーシャが駆け付けようとするも


「君の相手は俺だ。」


俺はサーシャの前に立った。


「リーシャとアリアはカトレアを守って。」


俺は二人にそう言った。二人は俺に言われた通りカトレアの護衛につく。


「邪魔をしないで。」


サーシャが俺に斬りかかるも


「遅い。」


俺は半歩引いてサーシャの剣をよける。


「操られていると、ここまで動きが鈍るのか?」


俺は疑問に思いながらサーシャの攻撃をよける。以前の決闘でハンスが「サーシャは昔より弱くなっていた」と言っていた。初めは、訓練をサボっていたからだと思ったが、サーシャが操られていることが分かったので、魅力のせいではないかと思った。


「まあ、ハンスとの約束だ。ディスペル!」


俺はサーシャに魔法をかける。魔法をかけられたサーシャは気を失うように倒れた。どうやら操られていたようだ。


「サーシャ。」


ラルクが言うも


「この、クズ野郎が!」


ハンスは怒りに任せてラルクを斬った。サーシャが操られていたことが分かったハンスは我を忘れるほど頭にきていた。ラルクは剣が自分に当たる前に避けたが、完全によけきれず、右肩からスッパリと切り落とされた。


「ぎやあああ」


斬られたラルクは血を吹きながら叫ぶ


「貴様のせいで、サーシャは!!」


ハンスが、ラルクにトドメをさそうと剣を振る。俺は、これ以上は不味いと思いラルクとハンスの間に割り込みハンスの剣を大鎌で受け止める。しかしハンスの全力を受け止められるはずもなく


「ぐはッ」


俺は吹き飛ばされ、その衝撃で気絶した。


「あっ」


俺が吹き飛ばされたことでハンスは冷静になった。その後、駆け付けた騎士と冒険者たちによってラルクは捕まった。一応、ハンスが斬り飛ばした腕は、カトレアが用意したポーションでもとに戻したようだ。





「うっ」


俺は痛みと共に目を覚ます。


「大丈夫!」


ハンスが心配そうに俺を見た。


「ここは?」


「近くの村の宿だよ。」


とハンスに言われた。どうやら俺は丸一日眠っていたようだ。


「そうか・・・」


俺は体を起こそうとするも


「まだ動かない方がいい。」


とハンスに止められた。そして


「ごめん、俺のせいで・・・」


ハンスが下を向いたまま、俺に謝る。


「気にしなくていい。あの状態であれば君が怒るのも無理はない。」


「それでも、俺は・・・」


ハンスは仲間を傷つけてしまったことを後悔していた。


「ハンス。もし、俺を傷つけて後悔しているのであれば、それは間違いだ。」


俺はハンスに言う。


「俺は、君の剣を受け止めるつもりで割り込んだ。その結果、俺は飛ばされた。それは俺が弱かったからだ。君のせいじゃない。」


俺は、はっきりという。


「だから、今度は君の剣を受け止められるほど強くなる。」


とハンスに指をさして断言した。ハンスはポカンとして・・・


「ふふふ、本当に君らしいね。」


とハンスが笑う。


「ふふっ」


俺もハンスにつられて笑った。


「ありがとう、レティシア。でも、もう二度と同じ過ちはしない。」


「ああ、ハンス。君になら出来るよ。」


「それで、俺が気絶した後どうなった?」


俺は自分が気絶した後のことをハンスから聞いた。俺が気絶した後、冒険者と騎士団にラルクは捕まった。そして、見張りの順番は俺以外の「暁」のメンバーが初めに見張りをしたそうだ。そして、気を失ったサーシャはリーシャとアリアが看病しているとの事。サーシャはラルクの魔眼で操られていたせいで、今も目が覚めない状態だそうだ。


「そうか、みんなには迷惑をかけたな。」


「君のせいじゃないよ。」


「・・・あとで、リーシャとアリアにお礼を言っておくよ。そして、ありがとう。ハンス。俺をここまで運んでくれて。」


「いや、いいんだ。」


ハンスが言った。


「ハンス。彼女が目を覚ましたら君はどうするの?」


「サーシャの事?」


俺は頷いた。


「わからない。ラルクに操られている事を知ったときは頭にきたけれど、冷静になった今は、彼女に何ていったらいいのか・・・」


ハンスは迷っている。彼女を許すのか、どうか・・・


「ハンス。俺は君がどのような答えを出したとしても、俺は君の選択を尊重するよ。」


そうハンスに言った。


「うん、ありがとう。」


ハンスが言う。そして


「サーシャさんが目を覚ましました。」


とアリアが扉を開けて、言った。


「言ってきなよ。」


俺はハンスにそう言う。


「でも・・・」


「もう、俺は大丈夫だからさ。」


そう言ってハンスを送り出す。ハンス後悔のない選択をするんだよ。俺は心の中でそう言った。

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