護衛任務①
指名依頼を受けて数日が経った。俺たちは必要な物をここ数日で買い集め、荷物をまとめる。まあ、ほとんど俺のアイテムボックスの中に入ったが・・・
「さて、そろそろ時間だし約束の場所に向かうとするか。」
俺はそう言ってみんなと一緒に集合場所に向かう。
「貴族様と会うのか。緊張してきたな。」
ハンスが言う。
「(前にニコラスに会っているだろう。)」
と言いたくなった。
「あわわ、どうしよう。アリア。」
リーシャは既に混乱中。
「お、落ち着きなさい。リーシャ。」
うん、二人とも落ち着こうか・・・
「ハンスはともかく、二人とももう少し落ち着いたら?」
俺はそう言った。
「でも・・・」
リーシャが言うが
「もっと上のランクになれば貴族との付き合いも増えてくる。今のうちに慣れていた方がいいよ。」
俺は二人にそう言った。幸い、ここの領主の娘、伯爵令嬢は話しやすい。中には小説に出てくるような酷い貴族もいるのだから・・・そんなことを言いながら俺たちは、目的の場所に到着する。その場所にはすでに数人の冒険者と騎士が到着していた。今回の護衛依頼は俺たちだけでなく何組かの冒険者パーティーも参加している。
「結構な数がいるね。」
ハンスは感心する。
「まあ、貴族の護衛だからね。」
俺は言った。しばらくして、一人の少女が馬車から降りてきた。
「皆さん、初めまして。私はカトレア=ファブレと申します。道中の護衛よろしくお願いします。」と言った。
「彼女が?」
ハンスがいい
「そう、彼女が今回の護衛対象だ。」
俺はギルドマスターやニコラスと知り合いであるため、彼女とも何度か会ったことがある。そして、彼女の隣にいるのが騎士団を預かるルーク隊長だ。カトレアのあいさつが終わり俺たちは、護衛の配置や、夜の見張りなどの順番を決める。俺たちは馬車の近くの護衛となった。理由は護衛対象が女性であり、俺たちのパーティーはハンス以外、女性でSランクの俺がいることからそうなった。まあ、彼女本人も知り合いが近くにいてくれた方が安心するみたいだ。夜の見張りの順番は前から2番目となった。
馬車が動きだし、その周りを騎士団が囲み、その外を冒険者が護衛と言った形になる。ただ、「君たち「暁」は馬車の近くで護衛を頼む。」とルークに言われる。他の冒険者は俺たちを見るが、それだけであった。
「レティシア。すまないがカトレア様がお呼びだ。馬車の中に入ってくれるか?」
ルークにそういわれ、俺はハンスたちをみる。
「行ってきなよ。ご令嬢が呼んでいるのだろう?」
そうハンスに言われ、二人とも頷いたので俺は馬車に入った。馬車に入った俺は
「お久しぶりです。レティシア。」
とカトレアに言われ
「お久しぶりです。カトレア様。」
「もう、あなたと私の仲なのですからそのような敬語は不要です。」
「ですが・・・」
「ふ・よ・う」
カトレアに押されたのである。
「わかった。」
俺はそう返す。
「ふふ、本当にあなたは律儀ですね。」
そう言われるも
「あなたのお父上やギルドマスターから昔良くしてもらいましたので・・・」
「それなら、もっと気楽に話してもいいのでは?」
そう言われる。そんな些細な話をしばらくの間、俺たちはした。そしてカトレアから
「今回は護衛を受けていただきありがとうございます。」
と頭を下げられた。
「頭を下げられるようなことは何もしていません。どうか、おやめください。」
「でも、正直安心したんですよ。あなたが一緒にきてくれて。正直、今の私には知り合いがあまりいなくて・・・」
カトレアは顔を落とす。まあ、令嬢ともあれば、あまり屋敷から出してもらえなかったのかもしれないな。そのため知り合いも少ないのだろう。
「それであれば、今度、仲間を紹介しますよ。」
「そういえば、レティシアって今、パーティー組んでいたんでしたね。」
カトレアは顔を上げそう言ってきた。
「ちょっと前のあなたなら絶対になかったことです。」
「そうかもしれませんね・・・」
俺は窓の方を見てハンスたちを見た。
「ふふっ」
カトレアが笑う。
「どうかしましたか?」
「いいえ、今のあなたの顔。昔のあなたならきっとしなかった顔だと思っただけですよ。きっと、仲間に出会って変わったんだと思います。」
カトレアにそう言われ
「(俺が変わったか・・・)」
俺はそんなことを思った。
「そろそろ、休憩にしましょう。」
そう言って、カトレアはルークを近くに呼んだ。それから少し進んだところに広い街道があり、俺たちはそこで休憩をとるのであった。俺はその時にカトレアに仲間のことを紹介したのであった。




