呼び出し
リーシャとアリアがメンバーに加わってからしばらく経つ
「うむ、今日も良き一日であった。」
俺はそんなことを言う。
「レティシア。これ以上近づかないで、臭い。」
ハンスが俺に言う。ちょっ!臭いって失礼な!
「リーシャとアリアもはっきり言っていいからね。」
ハンスが二人に言った。
「え、えっと・・・」
リーシャは戸惑い
「臭いね。血の匂いが・・・」
アリアが言った。今の俺はオークの返り血で真っ赤である。最後の方は大鎌で斬って、斬って、斬りまくったせいだ。
「みんな酷いな。クリーン。」
俺は仕方なく魔法で返り血を落とす。
「ハンス。レティシアっていつも、あんな戦い方するの?」
アリアが聞いてきて
「ああ、いつもあんな感じだな。」
「聖女って・・・」
リーシャは聖女について考え出す。
「僕はもう慣れたけど、二人もなれた方がいいよ。疲れるから・・・」
ハンスが二人に対してそう言った。リーシャもアリアも以前より動きがよくなってきているが、この光景にはまだ慣れていないようだ。そして、俺たちは今日の依頼を終わらせて帰るのであった。
「そういえば、リーシャとアリアの昇格祝いまだだったね。」
俺は町に着くとそんなことを言った。リーシャとアリアはつい最近Cランクになったのである。毎日、オークを討伐していたため、ギルドの功績が上がりCランクになった。また、周りの冒険者やギルドからの評価も変わりつつある。
「ああ、言われてみればまだ、してなかったね。」
ハンスも言う。
「そんな、祝いなんて・・・」
「そうです。ただでさえパーティーに入れてもらったのに・・・」
リーシャとアリアが遠慮して言う。
「もう、仲間なのだから、遠慮しない。」
「そうそう、仲間だからね。」
俺とハンスは二人にそう言った。二人が仲間になってからは前衛がハンス、後衛はリーシャ、遊撃がアリアと言った感じでバランスが良くなった。俺?俺はまあ、前衛で支援魔法と回復魔法、そして大鎌で切るか殴るかな?多分・・・
「さて、ギルドで依頼完了して打ち上げでも行こうか。」
俺がいい
「うん、いいね。」
ハンスが同意しギルドに向かう。
「あ、「暁」の皆さん。お待ちしておりました。ギルドマスターがお呼びです。」
ギルドを潜ると受付嬢にそういわれてしまったため、仕方なくギルドマスターのところへ行く。
「おう、来たか。」
ギルドマスターが言う。
「何か用?」
俺は若干機嫌が悪く言った。
「おお?何だ?ご機嫌斜めだな。」
ギルドマスターが言う。
「これから打ち上げ予定だった。」
「ああ~悪いな。それは・・・」
ギルドマスターが額に手を当てて言った。
「もう、レティシアも子供じゃないんだかあらさぁ」
ハンスに慰められる。
「私たちの事なら気にしなくていいですから。」
「そうそう。」
二人からも言われた。仕方ない・・・
「それで一体何の用ですか?」
ハンスが再度尋ねた。
「ああ、実は折り入って頼みたいことがあってな。」
内容は近々、王都でパーティーがあるようでそのため、この間、成人した領主の娘をパーティーにっと招待状が届いたようだ。
「(社交界テビユーってやつか)」
俺はそう思った
「その王都のパーティーと僕たちに何の関係があるんですか?」
ハンスが聞くと
「実はその王都までの護衛を君たち「暁」に指名依頼が来ていてね。」
「え?どうして私たちが?」
リーシャが驚く。
「確かに気になりますね。」
アリアも同じ反応をする。
「貴族の護衛であれば基本は貴族に仕えている騎士の役目では?」
俺もそう聞いたが
「いや、騎士たちの同行もあるけれど、息子が君たちにも参加してほしいと言い出してな。」
「伯爵様が?」
俺はそう聞いた。
「ああ、息子直々の指名だ。」
「わかりました。伯爵様の指名であればお引き受けしましょう。」
俺は即答する。
「ハンス。すまないけど今回の依頼は・・・」
「わかっている。僕も断るつもりはないよ。」
ハンスがいう。二人も俺たちが決めたことに反対はしなかった。こうして俺たちは護衛任務の依頼を受ける。
「そうだ。ギルマス話が変わるけど相談があるんだ。」
俺はギルドマスターに言った。
「相談?」ギルドマスターが聞いてきた。俺は「青の翼」のラルクが魔眼持ちの可能性があることを報告する。
「それは本当なのか?」
「わからないが、俺はあの男の目を見たときに違和感を感じた。」
「そうか、お前がそういうのであれば、そうなのであろう。わかったこちらも少し調べてみよう。」
ギルドマスターが言ってくれた。正直俺たちでも調べてが、はっきりしたことまで分からなかった。
「そういえば、領主もご令嬢も上級職でしたね。」
ハンスが聞く。
「ああ、剣姫という上級職だ。」
ギルドマスターそう返した。
「上級職ならラルクが狙ってくるかもしれないですね。」
ハンスの言葉に
「確かに可能性があるが・・・」
ギルドマスターもそう返すけれど
「可能性があるなら対策をとらなくては?」
ハンスが言うと
「・・・可能性があるのであれば対策は必要だな。確か魅力防止の魔道具があったはず。それを孫娘に持たせるとしよう。」
ギルドマスターはそう言った。
「あ、あの~、魅力防止の魔道具って一つだけですか?」
リーシャが聞いてくる。
「ああ、魅力防止の魔道具、自体珍しいものでね。」
ギルドマスターが言う。
「そうですか・・・」
「どうかしたのか?」
ギルドマスターが聞いてきたので、「サーシャが魅了されている可能性があるんです。」アリアが言う。その言葉に
「・・・なるほど。」
ギルドマスターがうなづいた。
「レティシアお前なら、何とかできないのか?」
ギルドマスターの問いに
「魅力自体は、ディスペルで解除可能です。」
俺はそう言った。
「じゃあ!」
アリアが俺の方を向く。言いたいことは既に分かっているので
「ああ、今度、彼女と接触したら使ってみよう。ハンスもそれでいいね。」
「うん、それでいいよ。今、あの二人がどこにいるのか分からないから・・・」
ハンスが言う。その後、出発時刻などの確認を取り、俺たちはギルドを後にする。その後、遅くなってしまったが、二人の昇格祝いをするのであった。
第三章開始です。




