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閑話~青の翼編③~

リーシャとアリアを追放してからしばらく経って


「クソがッ」


ラルクはイライラしていた。決闘後、ラルクはリーシャとアリアを追放した。自分の栄えあるパーティーに下級職は必要ないと。しかし


「二人を追放したというのに、なぜ上手くいかない。」


決闘後ラルクが二人を追放したことは既に冒険者たちにも広がっていた。しかも、冒険者たちからは「簡単に仲間を切り捨てる薄情な奴。」と言われるようになった。当然だ、仲間を切り捨てる奴は冒険者から信頼されないからだ。しかも一度だけでなく二度もだ!冒険者だけでなく、ギルドからも信頼を失っていた。


「しかも、降格だと!ふざけるな!!」


今回の決闘で「青の翼」はDランクに相応しくないと評価され、Eランクに降格が決まった。リーシャとアリアは既に追放されていたため降格は免れた。


「あの役立たずの村人がBランクで、なぜ、俺様がEランクに降格なんだ!」


ラルクはこの対応に納得がいかなかった。普段から態度が悪く、人を見下す癖があるラルク。それだけでなく、剣・魔法の腕も酷いものだった。実力がDランクに相応しくないのはあの場にいた誰もが分かった事だ。


「それだけじゃねぇ。どうして、あの女に俺の魔眼が効かなかった。」


ラルクはレティシアに魔眼が通じなかったことイライラしていた。ラルクの魔眼はレティシアの予想通り上級職の異性を魅了する魔眼であった。しかし、レティシアは見た目だけが女で中身が男のため通じなかったが


「いや、魔道具で防いでいたかもしれないな。クソッどこまでも腹の立つ女だ。」


ラルクは魔道具で防いだものだと勘違いしていた。


「しかし、この田舎ではやはり上級職の人間が少なすぎる。」


ラルクはそう言うが、実際上級職に転職できる人間など一握りである。転職に必要なレベルは60で、レベル50を超えたあたりからレベルが上がりにくくなる。そのため、最初の天職の儀で上級職に選ばれた人以外は正直、転職が難しいのである。それでもAランク以上の冒険者であれば辛うじて60に到達する人もいる。レベル70を超えればそれこそ英雄とも呼ばれる。


「その際、拠点を移すか・・・いや、しかし」


ラルクは拠点を変えようか考えたが、今の手持ちの資金では正直それも難しい。


「どうしたものか。」


ラルクは腕を組んで考えていた。このままでは宿の支払いも難しくなってしまう。


「この際、リーシャとアリアを連れ戻すか。」


そのような事を考え出したが、すでにリーシャとアリアはレティシアたちの「暁」に入っている。もちろんその事はラルクには知るよしもなかった。


「ただいま~」


サーシャが帰ってきた。


「サーシャどうだった?」


俺はサーシャに今の「青の翼」の噂が気になって確認してもらうことにした。


「もう、最悪だったよ。何あの評価。」


サーシャは愚痴りだす。内容を聞くにギルドでは「聞いたか、「青の翼」の事。」「ああ、知ってる。降格だろ。前から偉そうで気に入らなかったんだ。ざまぁみろっての。」「それだけじゃないわ。あのラルクって男、魔法剣士だって偉そうにしていたのに、聖女にボコボコに殴られたって。」「それ俺見てたわ。一方的にボコってたな。いい気味だった。」など話題になっていた。


「私なんて、村人に負けた聖騎士って笑いものにされたわ。」


サーシャが怒り出すが


「(クソッ、何でこの俺様があいつらの笑いものにされなきゃならんのだ。)」


ラルクはイライラしていた。


「そうそう、それとリーシャとアリアの二人、ハンスたちのパーティーに入ったって噂されてたわよ。」


「何だと!」


ラルクが立ち上がる。もう一度入れてやろうと思ったのに、よりによってあの役立たずのパーティ-に入っただって。どこまでも俺をなめやがって!俺は座り直し


「ふん、役立たずのパーティーに入ったか。お似合いじゃないか。」


「そうね。」


サーシャも同意する。魅了されている状態のサーシャはラルクのいう事に従順になっている。


「とはいえ、このままでは不味いな。」


俺たちの悪い噂が広がっている事を何とかしないといけないとラルクは思った。また、急いでパーティーメンバーの補充が必要とも思っている。「だが、現状、打開策がない。」今の「青の翼」はギルドから、そして冒険者からも白い目で見られている状態だ。この状態を打開しなければとラルクは本気で思った。


「そういえば、近々、領主の娘が王都に向けて出発するって言っていたな。」


ラルクがそんなことを思い出す。


「ええ、なんでも、王都のパーティーに今回初めて出席するみたいね。」


「ふむ、確かこの間、成人になったとか、それも上級職を授かったと聞いている。」


領主の娘が上級職を授かったことは既に領民に知れ渡っている事をラルクたちも知っていた。そしてラルクはニヤリと笑う。


「そうだ、領主の娘を俺たちのパーティーに入れれば、いいんじゃないか。」


ラルクはそんなことを言い出す。


「いいわね、上級職の彼女が入れば、私たちの評価も変わるわね。」


サーシャも反対はしなかった。


「さすが俺様!頭がいい!」


ラルクは機嫌よく笑うのであった。


これで第二章は終わりです。次回から第三章となります。よろしくお願いします。

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