スキル報告
パーティー名が決まってしばらくして
「さて、次の報告をしたいのだが構わないだろうか?」
俺はみんなに言う。
「報告?」
ハンスが言う。リーシャとアリアは何のことか分からないようだ。まあ二人は昨日のことを知らないからな・・
「ハンス。昨日、俺たちはスキルに関して調べていただろう?その報告だよ。」
昨日は二人のことがあり報告をすることができなかった。そのため今日、報告しようと思っていたのである。
「ああ、そうだったね。ごめん、こっちはあまりいい情報が無かったから。」
ハンスはどうやらギルドでは関係のありそうなスキル情報を経ることができなかったようだ。
「スキルですか?」
リーシャが聞いてきた。
「ああ、実は・・・」
俺はラルクにパーティーに誘われた時のことを二人に伝えた。
「変な感覚ですか?」
リーシャが言う。
「念のために確認するけど、リーシャとアリアはラルクと一緒にて、特に変わったことはなかった?」
俺は確認するように二人に聞いた。
「いえ、特に変わったことはなかったです。」
アリアがそう答えた。
「ん~、じゃあ、魅力・洗脳の類は無いか。」
ハンスが言うが
「いや、それがそうでもない。」
「実は昨日、特殊なスキルがあることが分かった。」
俺はスキルの中に特殊なスキルが存在することを知った。その中に魅力系のスキルが存在することが分かった。ただ、
「そのスキルは「限定魔眼」というスキルだ。」
俺はみんなに言った。
「限定魔眼?」
ハンスが聞き返した。
「ああ、限定魔眼とは・・・」
限定魔眼とは、一定の条件を満たした場合のみ他者を魅了することができるといったものだ。
「そして、その中には異性の上級職のみ魅了出来る魔眼が存在するようだ。」
「上級職のみ・・・」
ハンスが反応する。
「ああ、だからリーシャやアリアには通じなかったのかもしれない。」
「ならサーシャは?」
「サーシャは聖騎士だからね。可能性はあるかな?」
俺はハンスに言った。
「そうか・・・」
ハンスは下を向く。
「ハンスさん・・・」
リーシャがハンスを見る。
「でも、レティシアさんはどうして通じなかったの?」
アリアが聞いてきた。
「ん~」俺はどう答えたらいいか考える。正直、前世が男だったため、感覚的(心が)男よりだからとしか言いようがない。そのためラルクの魔眼に対しても変な感覚程度で終わったのではないかと俺は思っている。
「(さて、どう言い訳するかな。)」
俺は言い訳を考えていると
「レティシアは魅力など防げる魔道具を持っているからじゃないかな?」
下を向いていたハンスが助け舟を出してくれた。実際にそう言った魔道具が存在するのも事実だ。
「そういう事だったんですね。」
とアリアが納得する。
「それで、どうしましょう?」
とリーシャが聞いてくる。
「どうするとは?」
俺がリーシャに聞き返すと
「サーシャさんは操られている可能性があるってことですよね。その、助けるとか・・・」
リーシャの言いたいことが分かった。だから俺は
「ハンスはどうしたいの?」
とハンスに確認する。
「僕は・・・」
ハンスが再び下を向く。
「(本音としては助けたい。だけど操られていなければ・・・そう思っているのだろう。)」
もし俺の推測が外れていればサーシャは自分の意志でハンスを裏切ったことになる。そしてハンスは顔を上げ
「もし操られているのであれば助けたい。でも、もし自分の意志で僕を裏切ったのであればその時は僕の手でケリをつけます。」
そうハンスは覚悟して言う。
「わかった・・・まずは、ラルクがそう言ったスキルを持っているか調べるところから始めよう。」
俺はそうみんなに言った。そして話が終わり、食事をするために下の食堂に移動する。リーシャとアリアには先に食堂に向かってもらう。俺は二人が部屋から出て行った後
「それで、もしサーシャが昔のサーシャに戻ったら君はどうするの?」
俺はハンスに聞く
「わからない。正直サーシャを昔のサーシャに戻ったとしても、もう以前の関係には戻れない気がする。」
ハンスはそう言った。おそらく、彼女に傷つけられたからであろう。操られていたとしても彼の負った傷は癒えることはない。それが好きな人からの言葉なら特に。
「すまなかった。答えにくいことを聞いてしまった。取りあえず今出来ることを俺たちはしよう。」
俺はハンスに謝る。
「いや、いいんだ。むしろこっちこそ心配させてしまってごめん。」
「謝る必要はない。俺は君のサポート役なのだから、だから君は自分の思うようにしたらいい。」
俺はそう言った。その後、俺たちはリーシャたちと合流し食事をとるのであった。
「(ハンス。仮に君が出した答えが、俺の望んだ結末じゃなかったとしても、俺は最後まで君のために働こう。)」
俺は心に誓ったのである。




