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追放?

俺は広場で出会った二人を連れて宿に戻った。ハンスが勇者と分かった日に確認したが、リーシャとアリアに関しては特に思うことが無いと言っていた。「青の翼」の時にも仲が悪くはなかったのこと。そう言った理由で俺はハンスに二人を合わせることになった。二人には事前にハンスが何かしらの恨みを持っているかもしれないこという事は伝えてある。


「ここが、俺たちの泊まっている宿だよ。」


俺はそう言って二人を入れる。


「おかえり、遅かったね。」


ハンスが扉を開けてくれた。


「ああ、少し時間がかかってしまってね。それよりも会わせたい人がいる。」


俺がそう言うと「会わせたい人?」ハンスが首をかしげる。そして、「入っておいで。」と俺が言い二人が入ってきた。


「リーシャ、アリア・・・」


ハンスが言う。


「あ、あの・・・」


「とりあえず、入りなよ。」


とハンスがリーシャの言葉を遮り言った。


「レティシア、会わせたい人ってこの二人?」


「ああ、まずかったか?」


さすがの俺もハンスの無表情の顔には、そうしか言えなかった。


「いや、大丈夫だ。僕も二人とは話したいと思っていた。」


ハンスからの言葉に


「え、私たちと?」


アリアが言った。


「ああ、先に言っておくが、別に僕は君たちには特に何も思うことはない。」


ラルクやサーシャにはいろいろ思うことがあったハンスだが二人には特に思うことがなかったようだ。俺はその言葉にホットした。


「ただ、僕が追放を受けたとき二人は何も言わなかった。その部分だけ気になった。」


そうハンスは言った。


「ご、ごめん・・・」


リーシャが言うが


「謝らなくてもいい、ただあの時、何か言ってほしかった・・・」


あの時の二人はずっと下を向いていただけで何も言わなかった。もし二人が何か言ってくれたら結果は変わっていたかもしれない。もう終わってしまったことだが・・・


「ただ、二人は先ほど言ったように僕は何も思っていない。だから二人とは話をしてもいいと思った。」


ハンスは二人にそう言った。


この二人とは、「青の翼」の時からそれなりに話している。ラルクのように他人を見下すようなことはしなかった。だから追放の時に何も言ってくれなかったのが悲しかっただけで、別に恨んでいるわけでもない。


「それで、レティシアがこの二人を連れてきた理由は?」


「ああ、二人が広場で俯いていたのを見て、声をかけたんだ。」


俺はあの時広場で俯いている二人が気になって声をかけた。そしてこの二人が「青の翼」を追放されたことを伝えられた。


「はあ?二人が追放?なんで?」


ハンスも驚いた。



理由は使えない下級職だからだと・・・二人は当時のことを話し出した。



ハンス達と決闘が終わったからしばらくしてラルクは目を覚まし、


「俺が聖女ごときに負けた?上級職の俺が?」と言って、その後、サーシャが駆け付け「何か卑怯なことをしたに違いない。」って言っていた。

リーシャたちは後ろで二人の会話を聞いていた。二人はハンス達の罵倒ばかりで自分たちは悪くないと一点張り。正直、リーシャたちは呆れ果てていた。そんな彼女たちを見たラルクは「俺がこんなことになったのはお前たちのせいだ!」と八つ当たりをしてきては「そうね、あなた達が悪いわね。」とサーシャまで言ってきた。指名依頼が失敗したのもリーシャたちが何も用意していなかったのだと「下級職ならこれくらいして上級職の俺たちに貢献しろ!」などと自分勝手なことを言い出す。挙句の果てには「お前たちはハンスと仲が良かったな?今回の決闘もお前たちが裏で何かしたんだろう?」と疑ってきた。さすがに私たちも何か言おうとしたけど「言い訳なんてみっともないわよ。」とサーシャに言われ「これまでの恩を仇で返すとは、本当に使えない下級職だな。もういいお前たちのような下級職は俺の栄えある「青の翼」に必要ない。追放だ!今すぐ出ていけ。」とラルクに言われ追い出されてしまった。


その話を聞いた俺たちは


「「ないわ~」」


俺もハンスも同じことを口に出した。さすがにここまでクズだったとは俺もハンスも思っていなかった。


「ハンス。お前、あのパーティー抜けて正解だったな。」


「うん、僕もそう思う。」


二人の会話を聞いてそう思った。


「まあ、理由は分かったけど、なんで広場にいたの?」


「私たちお金があまりなくて、今夜の宿どうしようか考えていたの。」


そうアリアが言う。


どうやら、二人はDランクだが、魔法使いと盗賊といった組み合わせで、難しい依頼は受けなかったらしい。また、ラルクたちがケガをしたため、その治療費も払わされたとの事。当然、お金は返してもらっていない。そう言った理由で現在、二人はお金が無い状態だったらしい。


「なら、今日はここに泊まっていくと言い。もちろん君たちがいいのであれば。」


俺はそう言った。


「そうだね。一応男の僕がいるから、そのことを考えて決めてほしい。」


ハンスも反対はしなかった。この部屋は俺とハンスで寝泊まりをしている。初めて会った部屋よりは大きめの部屋に移したが


「え?いいんですか?」


リーシャが聞いてきた。正直二人で、広場で寝ていたらどうなっていたか分からなかった為、俺の誘は渡りに船だったようだ。


「ああ、構わない、部屋も大きいから四人でも問題はないが、ベッドをどうするか。」


部屋自体は四人でも問題ないけどベッドは二つしかない。初めて会った時は一人用の部屋で「ハンス一緒に寝る?」って誘ったっけ。当然断られたけど・・・その後、俺は下に降りて追加料金を払い、毛布など寝具を借りた。当然今回もそうなるわけだが・・・


「いえ、私たちは床で構いません。」


そうリーシャが言い、アリアも頷く。


「(いや、さすがに女の子二人を床で寝かせるなんてな~。)」


俺はハンスの顔を見る。ハンスも俺の方を見てきた。やっぱり同じことを考えていたようだ。仕方ない、まだ時間もある、下へ行って部屋を変更できるか、もしくは二人部屋を借りれるか聞いてこよう。俺はそう思って部屋を出た。下で確認したところ二人部屋とは、満席だった。一人部屋は一つしか空きがなかったので除外する。四人部屋はちょうど空いてたので、そこに移動させてもらった。急な変更だったのでお金は少し高かったが・・・その後部屋の変更を伝え、俺たちは移動した。リーシャとアリアは隣同士、俺とハンスが隣同士の配置で決まりその日は四人で食事をとり眠った。

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