VSラルク&サーシャ
決闘を了承した俺たちは訓練所に向かっていた。
「しかし、意外だったな。まさか、俺たちに味方してくれる奴らがいるなんて。」
正直、俺は「青の翼」との揉め事に、見物していた冒険者は無視をすると思っていた。だが、意外にも俺たちに味方してくれる冒険者が多かった。
「お前は、ここの冒険者をどう思っているか知らないが、お前はそこまで嫌われてないぞ。」
ギルドマスターが俺に言った。
「嫌われてない?あれほどのことを言ったのに?」
俺が聖女になったとき、冒険者たちに言ったこと、「俺はヒーラーだったとき、誰もパーティーに入れてくれなかった。だから、これからも誰とも組まない。」とはっきり言った。それ以来、ここの冒険者とは、ほとんど関わりを持っていない。
「確かに、お前は冒険者たちに向かって、そう言っていたな。だが、それでもお前は彼らを助けてやっただろ?」
俺が聖女になった後、お金がなく、ケガをした新人冒険者の傷の治療を格安で受けたり、聖女や聖者クラスでないと治せないケガを負った、冒険者などの治療もした。また、苦戦していた冒険者を助けたこともあった。ただ、あれは、聖女になった俺の力を見せつけてやりたかっただけだ。「俺はお前たちが、いなくてもこれくらいは出来る」と・・・
「お前は、別に人助けをするつもりは無かったのかもしれないが、周りは、そう思っていなかったみたいだな。」
そうギルドマスターに言われた。
訓練所にて
「ハンス!逃げずによく来たな!」
ラルクが言った。
これから俺たちの決闘が始まると言うこともあり、あの場にいた冒険者が見物に来ていた。
「別に逃げる必要も無いからね。」
そうハンスがいい。
「そんなことを言っていられるのも今のうちよ。」
とサーシャが言う。
「(早く始まらないかな~)」と俺だけはワクワクしていた。そして、隣ではハンスが呆れていた。
「それでは決闘のルールを説明する。」
ギルドマスターが言う。
「武器は自由、魔法もあり、ただし、必要以上の攻撃、及び殺しは禁止。戦闘不能か戦闘継続が不可能、もしくは降参で試合終了とする。両者異論はないな?」
俺たち全員問題ないと頷いた。
「ふむ、異論なし。両者指定の位置へ!」
俺たちは指定された場所に移動し構える。お互い準備が整い、「始め!」ギルドマスターが力強く叫んだ!
「オラ!さっさとかかって、グハッ」
ラルクが挑発しようとしていたところを、俺は思いっきりラルクの顔面を殴り飛ばした!開始と同時に魔法で肉体強化を使ったのだ!
「ラルク!ちょっといきなり、きゃあ」
サーシャが何か言おうとするよりもハンスが剣でサーシャをふっとばす。ハンスはオリハルコンの剣でなく、訓練で使っている刃を潰した武器を使っているため相手を切ることはない。
「敵を前に余所見とは余裕だね!サーシャ。」
ハンスはバカにするように、サーシャに言った。まあ、裏切った彼女にはいい言葉だね!俺はハンスの笑顔を見てそう思った。今のハンスは初めて会ったときの笑顔をいている。まさか、こんなにも早く機会がやって来ると思わなかったのだろう!
「(相変わらず、いい笑顔をする。全く惚れてしまいそうだ!)っと、それは置いといて、いつまでうずくまっている、さっさと起きたらどうだ?」
俺はラルクに言う。
「このアマ!良くも俺の顔を!」
ラルクは顔を抑えながら言ってきた。
「そんな、どうでもいい事より、さっさと構えなよ!叩き潰してあげるからさ!」
俺はラルクを挑発する。挑発されたラルクは「調子に乗るな!」怒り任せに突っ込んできた!
一方ハンスは
「不意打ちとはやってくれたわね!」
サーシャが言うも
「余所見している方が悪い。」
「マグレで攻撃が当たったからっていい気にならないでね!」
そう言ってサーシャが突っ込んでくるも、ハンスは体を捻り、サーシャの剣を避け、そして、蹴りを入れる!
「きゃあ!」
サーシャが吹き飛ばされた!
「弱いね!サーシャ!本当に聖騎士なの?」
「調子に乗らないでね!この程度の傷すぐに治せるわ!」
そう言ってサーシャは回復魔法を使う!聖騎士はヒーラーより高い回復魔法を使えるが、サーシャはまともに魔法の練習をしていないので、ヒーラーより少し回復量がある程度だった。
「(さて、ハンスの方は余裕っぽいね。)」
俺はラルクと戦いながら、そう思った。
「(それにしても、コイツ弱すぎじゃない?)」
ラルクと戦いながらそう思う。魔法剣士という上位職のくせに、ただ剣を振り回すだけ。多少剣を振るう速度が速いだけで、それ以外は特にこれといったものがない。正直残念だ!
「はあ~、ねえ、もっと本気でやれば?弱すぎるよ!」
はっきり言ってやった。
「なっ」
ラルクは顔を真っ赤にして距離を取る。
「舐めるのも大概にしろ!」
ラルクが叫び!
「なら、これで終わらせてやる!」
そう言って、ラルクがファイヤーボールを使う。俺はファイヤーボールを見て思った。小さくて遅いと・・・
俺はこれくらいなら問題ないと思い右手に魔力まとわせて、ファイヤーボールを片手で握り潰した。さすがのラルクも驚きを隠せずにいた。隙だらけのラルクの懐に俺は即座に入り込み、腹パンを食らわせ、その勢いのまま回し蹴りをお見舞いし、吹っ飛んだラルクにトドメの光魔法、ホーリージャベリンを叩き込んだ。ホーリージャベリンが容赦なくラルクを襲い土煙を出す。土煙が収まったころにラルクは股間を濡らし気絶していた。それと同時にハンスもサーシャの首筋に剣を突き付けていた。
「そこまで!」ギルドマスターの声がし、決闘が終わったのである。




