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46♪ 男子と女子の事情~前編~

※注※ 翔、拓真、慎也のトークが普段より若干スイッチ(?)の入った濃いトークになっています。健全(?)な一般男子のトークなのですが、キャラのイメージが崩れる可能性が若干含まれていますので、イメージを崩したくない方は読むことをオススメしません(笑)



-Side 春樹-


「ごはん、ごはん!」

 皆さん、こんにちは。水谷 春樹です。只今、吹奏楽部の日曜日の練習中ですが、昼休みに入り、俺は学校の近くのコンビニへ昼ご飯を買いに行っていました。

「待ったー!?」

 勢いよく部室に入ると、3年生男子は全員いない。

「あれ?」

「あ、春センパイ。拓あんセンパイたちなら、トイレ行ってますよ?」

 さとっぺがおいしそうなサンドイッチを頬張りながら俺にそう言った。

「そうなんだ。俺も手ぇ洗いに行ってこよっと」

 俺はからあげ弁当を机の上に置いて、お手洗いに向かった。

 お手洗いからは、翔の大きな関西弁と標準語の声が二つ響いてきた。拓あん、慎也、翔の3人だ。合流しようとして、聞こえてきた言葉に足を止めた。

「うーん……どうだろうなぁ」

 拓あんがため息を漏らす。なんだか、深刻そうな話だ。

「まぁ、そういう雰囲気っちゃーそういう雰囲気やけど……進展あんのかいな」

 翔がここまで深刻そうな声を出すということは、よほどな話なんだろう。

「どうだろうな。2人とも奥手っぽいもん」

 2人? 奥手?

「どうだろ。直接聞いてみてもいいんじゃないか?」

 慎也が名案とでも言いたそうに言う。

「いやぁ……。俺、毎日一緒にいるけどアイツ、そういう話うまくはぐらかすしな」

「そうなんだ?」

「あぁ。もうちょっと翔みたいにオープンでもいいと思うけど」

「オレはオレなりに、うまく隠してるつもりなんやけど」

 もしかして……。

「春やんも、奥手ばっかでおったらはしもっちゃんに愛想尽かされるでなぁ」

 俺と絵美の話!?

「でも、どうやって聞くんだよ」

「そりゃ慎也。単刀直入に」

「キスしてるの?って」

 ボッ!と俺の顔が赤くなっているのが自分でも分かる。

「うわ! 拓あん、意外と大胆だな」

「だってさ、それ以外に聞き方なくね?」

「いやぁ、あるで!」

「どう聞くんだよ?」

「春やん! はしもっちゃんとチューしてんのか!?」

 拓あんと慎也が同時にブッ!と噴いた。

「それは露骨すぎるだろ~」

 慎也が呆れている。

「でも実際、どうなんだろ。春やん、ムラついたりしないのかな?」

「お? 拓あんにしては珍しいエロ発言?」

「エロって……普通じゃないのか?」

 その拓あんの言葉に慎也と翔が逆に赤くなった。

「ま、まぁ……」

「どうなんだよ? 翔。お前は朝倉さんとキスするシーンとか妄想しないわけ?」

「な、なんでオレの話になんねん!?」

「そうだ。俺たち、滅多にこんな話しないじゃん! 今日の昼飯は恋バナしながら食べよう!」

 慎也が珍しくテンションを上げている。

「決定だな」

「よし! じゃあ、中庭行こうぜ!」

 俺は慌てて部室に戻り、からあげ弁当を抱えて部室にいる部員に頼んだ。

「俺がいることは3年男子に言わないで! 絶対!」

「は、はい……」

 必死の形相に全員が唖然としていた。俺はとりあえず奥に隠れて(こういう時、背が低いとラッキーだ)翔たちが出て行くのを待った。

「あれ? 春やん知らない? さとっぺ」

「まだコンビニから帰ってないッスよ?」

 ナイス! さとっぺ!

「じゃあ中庭で合流できるんちゃう? 先行っとこ。メールだけオレから入れとくわ」

 翔たちがワイワイと階段を降りて行くのを確認してから、俺は「みんな! ありがと!」と部員たちに言ってから降りた。

 いたいた。

「まぁ、どうなんやろ」

 翔が続ける。

「春やんと橋本さん……ねぇ」

 何、その妙な言葉の間隔は。拓あん!

「どうなんだろうな。橋本さんも、そんな積極的なタイプじゃなさそうだし」

「積極的? 気になるな~、慎也。慎也と田中っちはどうなん?」

「ど、どうって」

 それは確かに気になる。仏頂面に近い慎也と、百面相みたいに表情豊かな田中さんのカップリングって正直、俺にもなかなか想像できない。

「チューとか、すんの?」

 翔、エロ大臣だな。

「意外と多そう」

 拓あんも負けてないか。

「……。」

 慎也が赤くして続けた。

「ま」

「ま?」

「毎日……美里の家の前で別れるときに……」

「!」

 予想外の発言に、拓あんと翔も赤くなった。

「っていうか恥ずかしすぎるだろ! おい、翔はどうなんだ? 俺が言ったんだ。お前は言わないとか絶対にさせねぇぞ!?」

 慎也が翔の襟をつかみあげた。

「わ、わかったから落ち着けって!」

 ゲホゲホと咳き込んでから間を開けて、翔は言った。

「と、とりあえず」

「とりあえず?」

「お前と似たようなもんや、慎也」

「え!? じゃあ翔も家の前で!?」

 拓あんが顔を赤くする。

「ちゃうわ!」

「どう違うんだよ」

「つっ……つくし野川の……陽乃の家の前の、土手」

「……大胆~」

 慎也が笑う。

「ち、違うねん! あそこ意外と人気がないから」

「へぇー! そういうの、計算づくでやってんだ!」

「もぉ! 拓あん!」

 俺は3人のやり取りを聞いて驚くばかりだ。まさか、翔と慎也が朝倉さんと田中さんと、そんなに……キスをしていたなんて思わなかった。

「春やんはどうなんだろ」

 再び、俺の話題。

「さぁなぁ……。奥手やから、アレちゃうか?」

 翔の発言が胸に突き刺さる。

「最後のキスは、去年のクリスマスとか!」

 図星だ。なんでわかるんだよ!

「いやぁ! それはねぇだろ!」

 慎也が笑う。笑うな!

「だって、バレンタインデーあったんだぜ?」

「いや、あの2人のことやから、バレンタインはこんな感じや。『絵美のチョコレートがあったら俺それでいい~』、『もぅ、春くん!』」

「アハハハハ! 翔、春樹のモノマネ似過ぎだろ!」

 なっ、なんだよ!

「なんだよ! 皆して俺のことバカにして!」

 気がついたら、声に出てた。

「……。」

 拓あんは目が点になってる。

「……春やん……」

 翔も言葉が出ないらしい。

「あ、えっと……その……」

 慎也が何か言おうとしたけど、俺はいたたまれなくなって弁当を放り投げて走った。

「は、春やん!」

 拓あんがようやく声を上げた。

「待って! ち、違うねん!」

「どこが違うんだよ! 何が違うんだよ!」

 俺は振り向き様に思い切り叫んだ。

「全員、大嫌いだ!」

 その後はもう、どこをどう走ったのか覚えてない。気がつけば、なぜか俺は屋上に続く階段を駆け上がっていた。



-Side 拓真-


「……。」

 誰も何も言わない。言えない。

「……。」

 春樹が放り投げた、からあげ弁当だけが残った。

「サイテー……だよな」

 慎也が呟いた。

「自分のことばっか考えてて、春樹の気持ち……考えてなかった」

 俺は何も言えず、春樹が開けもせずに放り投げていった弁当を持ち上げた。幸い、蓋が開かなかったのでこぼれることはなかったけど、中身がグチャグチャになっていた。

「春やんのさ……」

 翔が呟いた。

「その弁当……春やんの、気持ちみたい」

「……何。詩人?」

 慎也がクスッと笑った。

「探しに……いや、謝りに行くか……」

 翔が立ち上がった。

「そうだな」

 けど、俺は2人を止めた。

「やめとこう」

「なんで? 悪いことしたんは、オレたちやん」

「そうだけど……いま行ったって、春やんは絶対怒りまくって、俺たちに話しかけるどころか、見向きもしてくれないと思う」

 俺の脳裏に、春やんの顔が浮かぶ。


 ――全員、大嫌いだ!


 2年以上、一緒に過ごしてきた仲間から「大嫌い」と言われるとは夢にも思わなかった。いま、春やんに近づいても春やんが近づくことを許してくれないだろう。春やんが俺たちに、近づくことを許してくれるのをまずは、待とうと思った。

「……せやな。もう少し、待ってから行こう」

「うん……」

 翔の言葉に慎也もうなずく。春やんが放り投げていった弁当を持ち、俺たちが部室へ上がろうとしたときだった。

 バタバタと朝倉さん、田中さん、伊原さんが駆け下りてきた。

「ど、どないしてん」

 翔が驚いて聞く。

「エッ、エミリン来なかった!?」

「来てへんけど?」

「どうしよう……」

 田中さんがオロオロとしている。

「どうかしたのか?」

 慎也が聞く。朝倉さんが半泣きで答えた。

「あたしたち……エミリンに最低なコト言っちゃったの」







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