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12☆ ズレた交差点

 君はいつも、憧れの彼を見ている。暇さえあれば、見ている。合奏中、彼が指摘されてそこを叩いたりしてると、彼を見ている。そして俺は、そんな君を見ている。

「想いってさ、視線だけじゃ伝わらないのかな」

 クラスメイトとの昼食。俺はなんとなく、友達に聞いてみた。

「どうだろうなぁ。以心伝心って言葉もあるだろうから、不可能じゃないんじゃないか?」

 優しい言葉を掛けてくれる。俺はこの友達が好きだ。もちろん、ライクだけど。

「ね、今日はどうだった!?」

 部活終わり。出たよ、おせっかい女。俺はハッキリ言ってコイツが苦手。クラスメイトだけでもおなかいっぱいなのに、クラブまで一緒とは。まさか赤い糸とか言うんじゃねーだろうな。イヤだぞ、俺は。

「全然ダメだよ。そもそも、俺が彼女に背を向けて座ってる時点で終わってる。目が合うハズもない」

「ネガティヴだな〜。振り向いて目ぇ合わせたら終わりじゃない」

 確かに終わりだよ。でもな、それで引かれたりしたらまさに終わり。違う字で、違う意味で惹かれてくれたらいいんだけど。

「そんな簡単にいかないよ。それに、俺はジックリ攻める派だから、そんなあからさまなことはしない」

「良いように言うよね。でもさ、女子ならそれでもいいと思うけど、あたしとしては男がそんなんじゃウジウジしててウザいけど」

「うるせーなぁ! あからさまにムカつくこと言うなよ!」

 思わずキレた。アイツもちょっとビビッてたけど、すぐに「短気は嫌われるよ!」と反抗してきた。マジ嫌だ、コイツ。


 帰宅後。俺は我慢できずに今日アイツに言われたことを友達に相談した。

「えーっと……吉岡(よしおか)(だい)()、吉岡大樹……」

 アドレス帳から友達の名前を見つけてメールを作成する。そんでもって、送信。でも、いつもなら1分もかからずに来る返信が、今日はやたら遅かった。

「どうしたんだろ……」

 心配になって何か変なことを書いてやしないか、メールをもう一度確認してみた。



――――――――――――

<0001>

 5/31(水) 20:58

宛先:吉山 亜紀

S b:(non title)

――――――――――――

今日さぁ、秦野のヤツにジ

ックリ攻める派の男子なん

かウジウジしててウザいっ

て言われたんだけど、実際

どう思う?



 別に文章自体に変なのはない。ただ、宛先を見て俺は血の気が引いた。

「間違って送ってる……」

 既に送信済みだ。今さら訂正なんてできない。そう思っているそばから、メールを受信した。



―――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:07

送信者:吉山 亜紀

件名:Re:

―――――――――――

どうしたの? 急に♪

メールなんて珍しいね(゜

∀゜)ノシ 

そうだな〜。私はジック

リってことは、慎重派っ

て思うから、全然悪いこ

ととは思わないよ☆

むしろ、勢いで突っ走る

人よりいいかも♪



「うわ……答えてくれてる」

 俺は吉山の優しさにまた弾かれた。ヤバい。手違いとはいえ、吉山と初めてプライベートでメールをしてる。とりあえず、正直に返信しよう。



――――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:08

宛先:吉山 亜紀

S b:(non title)

――――――――――――

ゴメン! 友達に送ったつ

もりが間違って吉山に送っ

ちゃった(;_;) でも答

えてくれて嬉しい。ありが

とうな☆



 今度は即行で返事が来た。



―――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:09

送信者:吉山 亜紀

件名:Re:

―――――――――――

そうなんだ(笑)

クールに見えてたけど、

意外と面白いところがあ

るんだね♪

でも、相談してもらえる

と嬉しいな(*´∀`*)

私のことを頼りにしてく

れてるんだって思えるか

ら☆ 何気にメール来た

のって、連絡網以外では

初めてだしね!



――――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:10

宛先:吉山 亜紀

S b:(non title)

――――――――――――

本当にありがとう。俺、ち

ょっと元気出た! 吉山も

相談とかあったらいつでも

メールちょうだい。



 ヤベ。返信来ない。調子乗りすぎたかな?

 20分ほどしてから、ようやくバイブ音が聞こえた。



―――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:33

送信者:吉山 亜紀

件名:Re:

―――――――――――

ありがとう。早速なんだ

けど、男の子って女の子

から告白されるのって、

どう思う?



 なんだ、このメール! いきなり恋バナかよ!



――――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:43

宛先:吉山 亜紀

S b:(non title)

――――――――――――

全然かまわないよ。むしろ

、勇気があってスゴいと思

うな☆

吉山、好きな人いるの?



 これを送信するのには勇気が本当にいった。でも俺の名前も「ゆうき」と読むから出せないことはないんだ。



―――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:48

送信者:吉山 亜紀

件名:Re:

―――――――――――

良かった☆

実はね…いま、冨岡くん

のことが少し気になって

るの…



 この後、俺はメールをどう送ったか覚えてない。しばらくしてから見直してみると、こんな文面を送ってた。



――――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:56

宛先:吉山 亜紀

S b:(non title)

――――――――――――

そうなんだ! 知らなかっ

たな〜。じゃあさ、俺、ヒ

ロに好きな人いないかどう

か、さり気なく聞いてみる

よ?



―――――――――――

<0001>

 5/31(水) 21:48

送信者:吉山 亜紀

件名:Re:

―――――――――――

本当!? 嬉しい♪

瀬戸くん、そういうの言

いそうにないから、余計

に嬉しい♪♪

ありがとう☆ また、い

ろいろ教えてね。

じゃあ、今から英語の予

習するから、今日はこれ

で♪ またね☆



「俺のバーカ……」

 勝算のないに等しい恋だ。でも、君と繋がっていられる。それなら俺は、キューピッド役でも構わない。

「いつか……俺の想いが君に交わりますように」


 今日も俺の想いは君とはズレてでもいいから、届いているかな?




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