嬉しいと悲しい
ひとしきり彼等から教会のやり口を聞いた後でクロスがこんなことを言い出した。
俺と手合わせしてみないですか?
自分達の年齢の半分もいかない少年が言った言葉に戸惑うも、リーダーのオスノさんが名乗り出た。彼も剣士なので興味がある。
ツーちゃんがクロスの表情を見て悲しそうと呟いたけど、僕は少し違うと思う。泣きそうだけどきっと喜んでる、いや、嬉しいのかな。理由はわからない。でも幼馴染だからこそ分かるんだ。
勝負は一瞬で終わると思った。けど全力を出さずにオスノさんに指導する形で闘っている。僕も昔あれやられたな。
彼のスピードは僕が目で追うのがやっとで、力もかなり上だ。つまり僕より強い、ケルトさんに勝ったとはいえ、世界にはクロス以外にまだ強い人がいたのか。
最終的に5人同時で闘っていたけど、クロスの指導は変わらなかった。
基礎能力は凄いけど無駄が多いかな。学園長に言って書物貰っていって下さい。多分、絶対その方が書物書いた人も喜ぶと思うんですよ。
なんでクロスはスサノオ様の名前言わないんだろ?
そして数日後、明日から連休だ。それぞれ自由に過ごすためクラスでパーティーをしている。
今の話題は将来の夢だ。
ねぇリリウスちゃん。素敵なお嫁さんになりたいんでしょ?俺いつでも歓迎だよ?
キシャー!
振られてやんのー。
最近リリーが男子と話すときはキシャーしか言ってない気がする。
へぇ、ツーちゃんは教会のことが片付けれたら悪質ハンターを取り締まるハンターになりたいんだ。
言うなれば、はんだぁ!なんでチョップするんだよクロス!
今のはいけない。
意味が分かんない。
おい、クロス。お前のことだからなんかでっかい夢でもあんの?世界征服っても驚かねぇぞ。
もしかして、なんてね。僕の夢は世界一の剣士だよ。と心の中で言ってみる。
うーん。まぁ、そんなおっかねぇことしないって。夢かぁ。なんだろな?言葉にし辛いわ。
そっか、そうだよね。なんかその後も皆の話し合いが続いてる。でも僕は気が付いたらその場から離れてた。
魔獣の森か。世界一の剣士になるためには遊んでる暇なんかないや。もっと奥地に行って修行しないと。
立ち塞がるモンスターを薙ぎ払いながら進んでいく。今僕よりも強い人が現れたんだ、あの人より強くなればきっと世界一に近づく。
そして世界一に……。なってどうしよう。
力が入らない。膝から崩れて動けないでいる。
モンスターが僕を補足したのか複数の殺気立った気配がある。倒さなきゃ。でも動けない。なんで、
一瞬でモンスターが消えた。呆けてる僕の足元には絵本と数冊の本。それに挟まった紙が置いてある。
絵本は僕が一番好きだった、勇者であるあなたが魔王エストリカを仲間と倒してお姫様と結婚するやつだ。
他の本は、見慣れた字で強くなるための僕用のトレーニングを書いたやつ、剣士になるためや、剣に頼らない剣士や魔法と自然の摂理を融合した魔法科学の本なんてのもある。
挟まった紙にもおんなじ字で。俺の夢は魔法使いだ変わってないぞ。とだけ。
なんだよ、クロスのばぁーか。
あ、紙は後もう一枚あった。明日からダンジョンで修行な。死ぬほど辛いけど絶対強くなるから安心しろ。って。
見なかったことにしよっかな。
部屋に戻りツーちゃんとリリーの3人で話した。うん。僕はもう迷わない。
相変わらずの拙い文ですので誤字脱字あれば報告お願いします。
本作は私の文章力の低さに相まって、カギ括弧を使わない構成になっていますので余計にわかりにくいと思います。




