シンクの超越
ある男がいた。
彼は一週間に渡る大仕事を終え、一息ついたところだった。
旅行にでも出かけたいな、と思った。
思い立ったが吉日、早速彼は準備に取り掛かる。
必要なものを揃えたあと、彼は自分の家を見て回った。しばらく留守にするのだから念入りにしなくてはならない。
戸締まりは……よし。
火の元も……よし。
うん、問題ない。彼は安心して出発した。
だが、彼はひとつ忘れていた。
水を出しっぱなしにしていたのだ。
彼は旅行を楽しんだ。
しかし帰宅後、愕然となった。
「しまった……」
街という街が、水に沈んでいた。