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ムシャムシャさん

作者: もちゃり

ボクは小学三年生の藤宮たかしです。

ボクは転校してきて友だちがいません。

とってもさびしかったです。


でも、そんなボクにうれしいことが起きました。

それはボクにも友だちができたことです。


友だちの名前は「ムシャムシャさん」といいます。

ムシャムシャさんは公園のすみっこにいたのをボクが声をかけました。

とっても小さくて黒いボクの友だちには顔がありません。だけど大きな口がいつもニコニコとわらっています。


友だちのムシャムシャさんはボクに言ってくれました。

「きみのきらいなものはなんでも食べてあげるね」といってくれました。


だから、ムシャムシャさんにおねがいして、ばんごはんのニンジンを食べてもらいました。

すると、ムシャムシャさんは、とってもおいしそうにニンジンをムシャムシャと食べてくれました。

ニンジンがなくなったのでお母さんからもほめられて、ボクはうれしくてムシャムシャさんの頭をナデナデしました。するとムシャムシャさんは少し大きくなっていました。


次の日はトマトがあったのでそれを食べてもらいました。

次の日もきらいなものがあったので食べてもらいました。


ボクのお願いをムシャムシャさんはいやな顔をせずに、いつもニコニコとわらっていました。


ムシャムシャさんは他の人からは見えません。

お父さんもお母さんもムシャムシャさんが近くにいるのに見えていません。

でもボクの友だちは気にせずにいつもニコニコとわらっています。


ある日、ボクは学校で先生におこられました。

テストのてん数が悪かったからです。

いつもやさしい先生は、ボクのきらいな人になったのでムシャムシャさんに言いました。

するとムシャムシャさんは、わらって先生を食べてくれました。

先生は大きなこえを出しましたがムシャムシャさんが大きな口でムシャムシャ食べると先生のこえは聞こえなくなりました。

ボクはうれしくてムシャムシャさんにだきつきました、ボクの友だちはニコニコとわらっていました。


あと、先生のついでにテストの紙もムシャムシャさんに食べてもらいました。

ムシャムシャさんは一口で食べてしまいました。

とってもうれしかったです。


きょうは学校の帰りにクラスの子がいじわるをしてきました。

大きなこえでおこってきたので、その子のことがきらいになりました。

するとムシャムシャさんはその子にだきついて食べちゃいました。

その子はなにか大きなこえでおこっていましたが、だんだん赤くなってなにも言わなくなりました。


ボクの友だちはとってもエラいです。



通りすがりのおじさん くるまをうんてんしていたひと じてんしゃにのっていたおばちゃん


みんなきらいです。

だからみんなムシャムシャさんが食べちゃいました。


ムシャムシャさんはいつもニコニコしているのでボクもとってもニコニコしています。

いまはボクにも友だちができたからとってもしあわせです。


でも、きのう、お父さんとお母さんにテストのことでおこられました。

ボクはわるいことしていないのにおこられました。

ないておへやにいくと、ムシャムシャさんがニコニコして「きらい?」ときいてきたので「きらい」と答えました。


きょうの朝おきると、お父さんとお母さんの大きなこえがきこえました。

げんかんを見てみるとムシャムシャさんがお父さんとお母さんをムシャムシャ食べていました。


ボクはおこってムシャムシャさんに「きらい」と言いました。

するとムシャムシャはいつもはニコニコしていたのに、きょうは口をとじてしまいました。


ボクはとってもおこっていたので「みんなきらい」と言いました。

ムシャムシャさんはわらって「きみは?」ときいてきたので、お父さんとお母さんをきらいと言ったボクもきらいなので「きらい」と答えました。


そしたら、えがおだったムシャムシャさんは大きなお口をガチガチと鳴らしながらボクに近づいてきました。

ボクはなきながら走りました。ボクの友達だったムシャムシャさんはガチガチと音をならしてボクをおっかけてきました。

こわかったボクはおうちのやねうらべやにかくれています。


ムシャムシャさんはお父さんみたいに大きいです。でも、手はあるけど足がありません。

だからやねうらべやにはこれないので安心です。



やねうらべやのまどを見るとパトカーがたくさんいました。

でも動いていません。けいさつかんの人も見えません。

下からたくさんのこえが聞こえました。でも大きなこえがしばらく続くと、しずかになりました。


いまでもムシャムシャさんはおこっています。

ごめんなさいをしました。でもムシャムシャさんはおこっています。

大きな口をガチガチとならしています。


ガチガチガチガチガチガチガチガチ

ガチガチガチガチガチガチガチガチ


下からガチガチきこえてきたのに、いまは下からはきこえません。


そのかわり、やねうらべやからきこえます。



ガチガチガチガチ右からきこえてきました。


ガチガチガチガチ左からきこえてきました。



ガチガチガチガチどこからかきこえてきました。



でも、ムシャムシャさんはどこにもいません。






あっ






いたっ

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― 新着の感想 ―
[一言] 特徴的な文体で、ホラーを効果的に演出することに成功していると思いました。子供目線というのが、なおさら不気味ですね! ラストも、ぞっとする終わり方で、大好きです。
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