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その5です。

違和感の正体がサラッと判明します。

 廃ビルにこだまする足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなると、ヴェリヨはやれやれと首を鳴らした。あまりの音の大きさに相棒の少年が身じろぎしてしまう。


 その怯えぶりに、ヴェリヨと少年の頭上のぬいぐるみが笑った。


「どうした、孕石。ビビり過ぎだろ」


「ヴェリヨの言うとおりなのだ。このルデルのくらとなったのだから、心配など一切無用なのだ」


 孕石泰地と呼ばれた少年は軽いめまいに襲われた。ツッコミどころが多すぎる。


 黙っている泰地に、ヴェリヨは好意的な誤解をしたようで、その背中を何回か軽く叩く。


「ま、初めての現場だから緊張するのも無理はないわな。つい数日前までは、こんな死体なんて見たこともないような高校生だったわけだしな」


 仰向けに倒れていた死体の手を取ってブラブラさせる巨漢の屈託のない笑顔に、少年はますます返す言葉を失ってしまう。冗談でもやっていい行為じゃない。


 というか、現状の維持とかが必要なんじゃないのか、と注意したいのだが、場の空気やら緊張やらでうまく舌が動かせない。この辺は、確かにヴェリヨの指摘したとおりだった。


「しかしまあ、今回は失敗したな。俺たちがさっさと現場を抑える予定だったのに、まさか管轄の連中に先越されるとはなぁ」


「責任はヴェリヨにあるのだ。先輩風を吹かせてラーメンを奢ったりするからなのだ」


「いや、それはお約束とか通過儀礼ってやつでしょ?」




 ……確かにあのラーメンはなかなか美味かった、とは泰地は言わなかった。


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