18
その18です。
獣のような咆哮を発しながら小鬼が襲い掛かってくる。はっきりとは見えないが、幽霊も同様だろう。
小鬼の大きく開けた口に並ぶ鋭い牙、生臭い息、肉食獣のように鋭く尖った爪、すえた臭いを発する薄汚れた毛並み……それらの一切合切は、一瞬にして鮮血と肉片となって乱雑に飛び散った。
説明するまでもなくヴェリヨの攻撃による一方的な殺戮なのだが、その方法が予想外だった。
てっきり大型の拳銃を懐に忍ばせているのかと思っていたのだけど、彼の両腕が機関銃に変形したのだ。マンガなどでロボットによく搭載されてるギミックである。
三十秒とかからず赤い前衛的な装いとなった部屋を前に、ヴェリヨは「やっぱ呆気ないな」と舌打ちする。その腕は、既に筋肉まみれな人間のそれに戻っていた。
「あの……終わったんですか?」
ものすごく間抜けな質問なのは分かっていたが、それでも泰地は確認せずにはいられなかった。返答が頭上からの「見たとおりなのだ」であったのが納得いかなかったのだが。
「いやでも、あのオニみたいなのと、幽霊とかいましたよね? 幽霊を銃撃しても倒せないでしょ?」
あーそっちか、とヴェリヨは頷くと、左手を軽く掲げる。すると、肘の一部が変形した。唐突だったので泰地が唖然としていると、ヴェリヨはそこから何かを取り出した。
「じゃじゃーん。気化聖水弾~♪」
「いや、そういう分かりやすい演出とかいらないですから」




