Re:member after story05
プリムラという花をご存知だろうか?
冬から春にかけて咲く花であり
花言葉が9種類もあると言われ
それらは全て”青春”に関係した言葉。
多くは語るつもりはないけども
プリムラ種の全体の花言葉は”青春の恋”
高 校 生の自分達にとっては
とても似合いの花だったのかもしれない・・・
~ Re:member after story05 ~
「「「いただきます!」」」
突然だが僕達はみあの家で晩御飯を頂く。
彼女が自慢の手料理を、彼氏とおまけの僕に作ってくれたのだ。
話しは少々遡り・・・
「じゃー私はご飯用意するから、アキト達はゆっくりしといて」
「サンキューな」
「では2人の邪魔したくないので帰るよ」
そう言ってこの場から逃げ出そうとした時
「まー待て」「だから待ちなさいって言ってるの」
左右同時に声が重なる。
「久しぶりに会ったんだから、少し話しないか?」
「てか彼女から事情は聞いたし」
「え?しよから全部聞いた?」
「多分ね。あ、今日はわがままを聞いてあげてありがとうな」
この場にいない彼女の代わりにみあに一礼する僕。
「や、やめてよ!別にあんたに礼なんて言われたくないし」
「素直になったら楽な時もあるぞ」
「もう、アキトまでそんな言い方しないでよ」
そう言い残してキッチンへ向かったみあ。
部屋に残された幼馴染2人。
「少し話したら俺たちもキッチンに行こう」
「そうだな。あ、そういや聞きたいことあるんだよ」
「ん?何?」
『あんた達はしよに何をしたの?』
まだ頭に残っている彼女からの謎を解こうとすべく、彼に当時の事を質問してみる事にした。
「別に特別な事もしてないし、遊びに行く時はヒロもいただろ?」
「ま~何回かは遊んだけれど、2人では会ってはいなかった?」
「そりゃたまには会ったかもだけど、自分をアピールする事はしてないな」
「そうなんだ・・・」
「そう言うお前こそどうなんだ?きっと好きの始まりは俺より先だろ?」
と言われても・・・僕は本当に何もしてはいないんだよね
「そうかもだけど、僕は彼女の連絡先も知らなかったし、あの時は”あの子”の事もあったから」
その言葉を聞いて彼は納得する。
ますます謎が多くなって来た・・・と思ったのだけど、解決策はすぐに見つかった。
2人が何も思い当たらないと言う事は、彼女が知っている。
そう。僕らが”何をした”のではなく、彼女本人に”何かあったから”だと確信したんだ。
あ~さっきの電話で聞いときゃよかったな・・・
・・・・・
・・・
・
「何か手伝おうか?」
「遠慮しとくわ、もうすぐ終わるから待ってて」
2人はキッチンへ彼女の手伝いをしようとやって来たのだけど
真剣な表情で、手際よくこなしている姿を魅せられると、何も言えなくなっていた。
「どうだ?”しよ”より腕は上だろ?味も保証するぜ」
「・・・あの子は個性があるから」
彼女にフォローを入れるつもりが、墓穴を掘ってしまった気がする。
「あの子は少し不器用なとこがあるだけよ、属性付いて嬉しかったでしょ?」
なんだよその属性って。まぁ、なんとなくわかるけど。(しよの属性:ドジっ子)
「みあは属性付いてないのか?」
彼女を見つつ、若干棒読みで聞いてみた。
「そりゃあるだろ。俺には付かない属性がさ」
「「何?」」
彼女とハモってしまったが、僕には理解していた。(みあの属性:ツンデレ)
まぁ僕の場合はデレがないので、この属性は当てはまらないのかもしれないな
「素直な心を隠す恥ずかしがり屋さん属性」
彼が僕に装備された属性があまりにも明確すぎて思わず笑ってしまった。
「ちょ、あんた笑ったわね!」
「ああ~ごめん、でも当たってるのか?」
僕の問いには当然答えず、彼女が僕に指差しお決まりのセリフ。
「勝負しなさい」
そう言って包丁を手渡された。
「なんでさ?料理対決なら僕は勝てないぞ?」
「あんたの得意な物で勝負してあげるわ」
包丁を使った得意な事ね・・・少し悩んだ結果、出た答えは
「山芋の皮むきでどうよ?バイトで培った腕前を見せてやるさ」
僕がボケたと思い、ため息をつき、首を左右に振るみあ。
「渋いとこで攻めたな、でも山芋は買ってないぞ」
「山芋が無いだと!?本当なのか?アキトぽ・・って危ないだろみあ」
僕がアキトぽんと最後まで言い終わる前に、おそらく全力で投げて来たであろう”大根”をかろうじて掴んだ僕。
その表情は明らかに怒っているのと恥ずかしがっているのが半々くらいだった。
「山芋の代わりにこれで勝負しましょ」
「まさか桂剥きなのか?」
「ならルールはどれだけ長く剥けるかでいいか?」
「いいけど、みあは桂剥きは苦手?」
「私が苦手だと思う?あんたが頑張ればいいだけよ」
・・・ですよね。
・・・・・
・・・
・
という事があり、現在食事中の3人。
楽しく会話しているカップルの邪魔にならないよう、大人しく食べている僕。
なんか羨ましい気分になるのは、2人の事を心から認めたから。
以前、この場合あの時か。僕は2人を嫌っていた・・・特に彼女は許せなかった。
だけど、自分の恋愛もろくに出来ない情けない男が口出しできる立場でもなく、見守る事しか出来なかった。
でも、これは僕にとっては最後のチャンスになった事もあり、結果的には2人には感謝する立場になるんだよな・・・なんか複雑なのですよ。
ま~今は仲良くしているわけであり、この時間を作ってくれた主犯の彼女も、僕が2人(元カップル)をサポートする事でバランスを保っていたように、彼女もまた、現カップルの2人と僕のバランスを保とうとしているわけで・・・
だから僕は”1番辛かった”であろう彼女の”1番の理解者”になりたい。
そう思っていた。
「もしかして、口に合わなかった?」
少し考え事をしていたせいか、きっと表情が暗く見えたのだろう
「そんな事ないよ、みあは本当に料理上手いんだな、アキトは幸せ者だよ」
と、いつもの明るさで答えた。
「変なお世辞言っても良い事ないぞ?」
「そうそう、褒めてくれるのはありがたいけれど」
「僕は正直に言ってるだけだよ?それとも彼女の手料理が1番だと言わせたかった?」
「「うん」」
綺麗なハモリ、息ぴったりだな
「・・・お前らほんとお似合いのカップルだよ」
・・・・・
・・・
・
「「「ごちそうさまでした」」」
食事も終わり、一息ついた所で、話題はやっぱりあの話しになる。
「アキトはしよの電話番号をどうやって知ったの?」
「え?今更どうしたんだ?てか今日はヒロからもよく似た質問されたな」
「あ~きっと僕とみあの聞きたい事は同じだと思うけどとりあえず答えて」
「どうやっても何もしよから教えてくれたんだけど」
驚くと言うよりも、あまりにも不可解な行動をとっている彼女に困惑するみあ。
やはりさっきの考えが間違いでない事を確信した僕。
「みあ、きっと僕もアキトも何もしていない」
「ん?なんか話がわからないな」
当然だろう、アキトには僕とみあのやり取りは全部話してはいない。
でも、みあは状況を把握したみたいなので
「解決方法はあるよ、だけど答えがわかるかは彼女次第になるかな」
「なるほどね、要するこういう事ね!」
そう言って、みあはコードレス電話を持ち出した。
「よくわからないが、アイツに聞くって事だな?」
え?今ここで??それはまずい
何故か?それはあの約束があるから・・・僕が直接かけてなくても
これは明らかに間接的に僕が彼女に電話で話して聞けと言っている。
それはつまり”僕が話したい”と言う事にならないか?
「あ~ちょっと待ってお願い!」
慌てて電話のボタンを押すのを止めさせた。
「ど、どうしたのよ急に?」
「さっき彼女と何かあったのか?」
「実は・・・」
2人に事情を説明し、今日聞くのは待ってもらおうとした時
「今日聞かないでいつ聞くのよ!」
と、無駄な抵抗だったようだ。
彼女は電話が繋がると、ハンズフリーに切り替え
僕らに聴こえるようにしてくれた。
「あ、しよ?今、少し時間ある?」
「うん、大丈夫だよ~」
「よ、元気してるか?」
「お、彼女の家で食事なんだ?」
「ああ、お前の相方もいるぞ」
「やぁ、さっきぶり」
「あは、そだね」
「ごめんね、ヒロにご飯作っちゃった」
「いえいえ、気にしなくていいよ」
「なんか久しぶりに4人て感じがするな」
確かに正月辺りから皆が揃う事はなかった。
3月に入り、僕らの唯一の情報交換の場所であるバイトも終わり、
予定もみなバラバラになってしまっていた。
そして彼女は県外へ旅立ったり・・・
なので、こんな形だけどまた時間を共有できるのが嬉しかった。
約束は破ってしまったけどね。
「電話したのはね、このメンバーだけのぶっちゃけトークをしようかと」
「ん?そんな流れで電話かけたのか?」
「さあ、ま~間違ってはない気がする」
「これってハンズフリー?」
僕らの声が時間差なく聞こえてくるのを理解した彼女。
「そうよ。で、どう?私達が揃って話す事ももうないかもしれないしさ」
少しの沈黙の後
「わっかたよん、でもどうせ話すなら平等に1つずつ質問して答えて行こうよ」
「俺はそれでいいよ」
「僕もそれで構わない」
「OK。じゃー最初は私からしよに質問!」
「ええ!?いきなり私なの?」
当然の流れであろう。今回ばかりはみあのペースに乗るしかない。
みあがどうしても知りたい答えはもうすぐだ。
「そうよ、じゃ質問ね。学校では男達には見向きもしなかったのに、どうして2人は恋愛対象になったの?」
「そ、それは好きになれたからだよ」
・・・そりゃそうだ。だが求めている答えはそうじゃない。
みあの聞きたい内容と彼女の聞き取る内容が噛み合わない。
日本語ってのは伝わり方が様々な時もあるのだと感じた瞬間でもあった。
要するに、聞きたい内容に辿り着くまでの説明を先にしとけばいいのだから
「みあ、昼の話をもう1度話して同じ事を聞けばいいんだよ」
「わ、わかったわ。あのね・・・」
ようやく話が伝わる。
そして彼女から真実が告げられた。
「・・・と、色々説明したけど簡潔に言えば、”可愛かった”からかな・・・あは☆」
あは☆じゃね~し。
なんか拍子抜けの3人。
「ほんとにそれだけ?」「うん」
「子供っぽいのか?俺達」「そうじゃなくて」
「学校で告白して来た男に問題があるわけだね?」「そう」
「当時、私に寄ってきた男共はカッコ付けたがりな奴ばっかで、地味なふりを演じてる私なら簡単に落とせると思ってたんでしょ。だからこの学校にはろくな男はいないと思ったわけなのね」
「んで、バイトで知り合いになった俺らは、お互い自然な付き合いが出来たから、恋愛対象になったと言う解釈でいいか?」
「そうね、でもアキトとヒロとでは好きになる理由は違うからね?そこは内緒でお願いします」
「可愛かったって意味は何?」
「私にとって最初2人は”兄や弟”のような感覚だったの、だから何事にも楽しく接してこれたし、相談もしたいなと思ったからアキトに電話番号教えたし」
「話が逸れるかもだけどなんでヒロには教えなかったの?」
数秒沈黙になった。
「これ話していいの?多分ヒロにも被害来るよ?」
ハンズフリーを気にしてるのか彼女が僕に先に理解してと言葉を投げてきた。
被害?僕と彼女が知ってて2人は知らない。
言い返せば電話番号教えなくても話せるって事か。
あ、わかった!
「なるほど、公園だな?」
きっと彼女が答えづらいと思い、先に僕が答えた。
「ヒロいいの?」
「ああ、隠す事でもないし」
「公園?しよの近所の公園か?」
「何なに?2人はそこでずっと会ってたわけ?」
「あのね、会ってたじゃなく、私が声を掛けてたの」
「ま、そう言う事になるかな」
話はどうやら、僕の過去話にバトンが渡るようだ。
4人の夜は過去の思い出話で花が咲く
そう、プリムラの花のように




