Re:member winter piece04
その日の街は・・・白銀の雪化粧
普段、見慣れている光景でも
今日は特別に見えた
雪雲の隙間からほんの少しだけ顔を見せる太陽
光が溶けかけの雪と反射して白い色を七色に変える
その光の奥に見える物
それは僕と仲間が過ごした大切な時間
そう・・・・・大切なウインターピース
~Re:member winter piece04 ~
「ほら、早くしないと~」
「う~、あと靴だけだから~」
君の旅立ちの日
たまたまなのか?仕組まれたのか?
とにかく偶然にも僕と彼女が休みだったので
2人で見送りをしようと決めたんだ。
「ほいな、おまたせ~」
いつもの笑顔とテンションで、ドアを開け出てきた彼女。
実はここは彼女の家。
正式には彼女の家の正門である。
朝、自宅からお迎えに参上したといった所なのだけど
「お、今日も元気そうだな」
「おうよ~ヒロも相変わらずで」
「クールだろ?」
「いや、普通だね。てかクールなんてよく言えたね~」
「やっぱそう言われるか~」
お互い笑顔で会話が続く。
5分くらいした後、僕達は見送り場所へと出発する。
「なんかこんな時間から出掛けられるのって久しぶり」
「確かにね。これって店長の優しさだったりするのかな?」
「さ~どうだろう。何か企みがあったりするかもよ?」
「あ~やっぱそう思うか・・・僕も何か嫌な予感がしてるんだよ」
「だよね~。でも、そのおかげでしのちゃんを見送れるし」
「そうだな。しよともゆっくり出来るしな」
「ふふふ。それにしても白いね」
「昨夜に結構降ってたみたいだからね」
「ヒロは雪は好き?」
「雪はめずらしい物に入るんで好きだなぁ。でも冬は嫌いだけど」
「私も雪は嫌いじゃない。なんかスキーしたくなる」
「お、スキー得意なのかい?」
「ほへ?・・・いや・・・まっすぐ滑るくらい」
「ははは、そうか。僕は辛うじて曲がれるくらいだな」
「ヒロも得意じゃ~ないんだね」
「うむ。弓道ならしよに教えてあげられるが・・・」
「そういや私やったことなかったね~難しいんでしょ?」
「う~ん、慣れるまではね・・・」
「そっか。でもやってみたいかも」
「なら今度、こっそり部室に行ってやってみる?」
「いいの?でもヒロは部活終了したでしょ?」
「まだ卒業してないから部室の鍵はあるし」
「でもいつ入るの?」
「夕方はダメだから入るなら夜になるな」
「バレたら怒られちゃうね」
「ま~ね。前に1度アキトと入ってるし、きっと大丈夫だろう」
「あ~そういや大会前に徹夜したよね?」
「そうそう。あの時ね、しよの事で少し言い合いになったんだよ」
「私の事?」
「うん。ま、男心は複雑なのですよ~」
「何それ~」
「ははは、もしよかったらいつでも教えるんで考えといてね」
「はいよ~」
・・・・・
・・・
・
君を見送るのはこれで2度目だね
そうだね、あの時、君が来てくれたのは本当に嬉しかったよ
覚えてる?あのメモ用紙
ええ、思えば私のメモ用紙から始まり君のメモ用紙で終わったね
僕も君も少しずつ成長していく
私も君も少しずつ変わってゆく
少ないけれど 過去の思い出は 僕たちの心の中に・・・
「わざわざ来てくれてありがとう」
「なんか、あっという間だったね」
「高校卒業する前に君に会えてよかったよ」
「私もみんなとまた会えてよかった」
「またいつか会えるよね?」
「うん。必ず」
「向こうに帰ったら、彼氏と仲良くね」
「うん、ヒロくんも・・・あ、しよちゃん」
「ほへ?」
「最後にほんの少しだけ、ヒロくんと話していい?」
何かを思い出したかのように急にそわそわしている君
彼女は少し不安そうな顔になったけれど
「うん。お持ち帰り以外ならよし」
冗談まじり口調で答えた。
「ありがとう。ヒロくん・・・ちょっとだけこっち来て」
「あ、ああ」
僕らは、しよから話し声が聞こえない所まで離れる。
しかし、決して僕らが見えない程の距離でもなかった。
「ね、ヒロくん。しよちゃんとの関係なんだけど・・・」
「ああ・・・この前話した通りさ」
「ねぇ。ホントにそれでいいの?」
真剣な眼差しで僕を見る・・・
「・・・・・」
すぐには答えが出なかった・・・
いつもなら笑顔を見せて「ああ」って答えてる自分がいる。
でもそれは表向きの顔、つまり誤魔化しだ。
誤魔化し?
ああ、そうか・・・これが正直な答えなんだな。
「・・・わかってるよヒロくんの気持ち」
「・・・なぁ・・・僕は彼女に迷惑を掛けてるのかな?」
その問いに君は優しく微笑んで
「迷惑ならヒロくんと一緒にいないと思うよ」
「そうか・・・残り少ないけど、精一杯大切にしようとは思うから」
「まぁー、お熱いことで」
「よせって」
2人の間に笑顔がこぼれる。
「なんか余計なお節介でごめんね」
「いいんだよ、心配してくれてるってのはわかったから」
「んじゃ戻ろうか。しよちゃんが怒る前に」
「そうだね」
離れた位置から彼女に向け手を振る僕ら。
すると彼女も手を振り返してくれた。
気のせいだろうか?
振り返す手の数が3本に見える。
「な?なんか増えてないか?」
「そうだね。でも嬉しいな」
そこにいた人物はアキトとみあ。
しよの後ろに隠れて見えないようにしてたようだけど
・・・バレバレだって。
「よう。バイトまで時間あるから見送りに来たぜ」
「ま、そう言う事ね」
「なんか騒がしい事になってるけど許してね」
「ううん。アキトくんもみあさんも、来てくれてありがとう」
「いつから?ってか最初から仕組んでたのか?」
「え?さ~なんの事かしら~」
おいおい、しよが仕組んだのか・・・
そういやあの時
『ほら、早くしないと~』
『う~、あと靴だけだから』
どうりで・・・
出てくるのが遅いと思ったよ・・・
でも、しのが喜んでるからいいんだけどね。
「しのが帰ってきて楽しかったぜ。また戻って来いよ」
「待ってるから、今度は彼氏付きで来なね」
「ええ。またこっちに来た時はよろしくお願いします」
「ほ~」
「な、何よ?」
「いや、優しいところもあるんだな~って」
「ふふふ。あれがみあの素だって」
不覚?にも僕に素の姿を見せてしまい
「こらこら~余計な事をアイツに言うなぁぁあ」
恥ずかしさのあまり赤面するみあ。
その姿を見て笑顔を見せる一同。
「みあさんもヒロくんも、これからは仲良くして下さいね」
その言葉に互いの顔を見る2人。
「別に喧嘩しようだなんて思ってはないんだけど」
「そうそう、ただあんた見てたら・・・なんかこう・・・」
「「むかつく」」
若干冗談まじりの顔つきで貶し合った。
「もうすっかり打ち解けてる感じだな」
「そうだね、とりあえず安心ってとこかな」
「いえいえ、お互い"心変わり"にはご注意を」
君の口から出た意外な言葉。
思わずお互いを見てしまった元カップル。
「まさか・・・ね?」
「いや・・・ありえるかも」
すっかり怯えモードに突入した2人。
「あのー、今の冗談ですよ?本気にしないで・・・」
彼女の言葉を最後まで聞かず
「「やっぱ仲良くなるな~」」
僕とみあの間に2人の両手が入る。
「も、もしかして、事態をややこしくさせちゃった?」
「いや、いつもの事だから気にするな」
・・・旅立つ時が迫る────
「あ。どうしてもしよちゃんと話したい事あるから・・・いい?」
「うん、いいよ」
「しよちゃん。あっちで話しましょ」
「わかった~じゃ、行ってくるさ」
先程のように声が聞こえない所で話が始まる。
「アイツが引越ししなかったら今頃はどうなってたかな?」
「さ~ね、でも現実はこうなんだから、それでいいんだよ・・・きっと」
「ったく、それでなきゃ困るのは私なんだけどな」
「あ、そうだな。これからもよろしくな」
彼女の肩に手を置くアキト。
「で、あんたは未練でもあるの?」
「え?さ~ね。色々とあり過ぎたからわからない」
「それって誤魔化してない?」
「・・・そうかもしれない。でも今の気持ちは嘘じゃない」
「だったらそれでいいんだよ」
「だね。ヒロ、しよをお願いね」
それは────初めて僕に見せた笑顔だったのかもしれない。
「みあ・・・ああ、わかった」
・・・・・
・・・
・
「しよちゃん。ヒロくんの事、本気で好きなの?」
「えぇ!?・・・な、何で?」
「ちゃんと答えて」
「・・うん。本気だよ。悪いけどしのちゃんには譲れない」
「なら・・・どうして?」
その一言で、視線を下に降ろすしのちゃん。それから言葉が途切れたの。
それと同時に、しのちゃんの言いたい事が理解できた私。
私は彼女に優しく微笑んで語り始める。
「アキトにフラれてから、もう恋愛はしないと思った。だから夢を先に叶えると、心に誓ったの。でも、ヒロの想いを聞かされた時、正直迷ったのね。このまま友達のままで楽しくやって行けば、"もう誰も悲しまなくて済む"って。でも違ってた・・・私は頭の中では誤摩化せても、実際は・・・2人を、ヒロを大切に思い過ぎてたの。だから受け入れたのね」
「だったら尚更、別れなくてもいいでしょ?」
小さくて、それでいて力強い声と共に、視線を私に戻す彼女
「やっぱキミは、ワタシを優先してくれるんだね」
「え?」
「あ~驚いた?これは私が彼に言った言葉なの」
「それって、つまり・・・」
「あは。しのちゃんはヒロの事、理解出来る人なんだね。少し嫉妬するかも」
「あ、いやー・・・ごめんなさい」
「いや、謝るのはこっちの方。しのちゃん、ごめんなさい。ヒロってばあんな性格だからさ、わかるでしょ?」
「はぁー・・・要するに、2人はお互いの意見を尊重する形でこうなったと?」
「まぁ〜そうなるね。本当は私だって辛いんだよ?んでもって、もっと辛いのは彼だよね・・・」
「・・・でも2人が選んだ事なら、私が意見する事はもうないよ」
「しのちゃん」
「じゃー最後に2つだけ言わせて」
「う、うん」
「1つ。これはケンカじゃないからね?私はしよちゃんとヒロくんを心配してるって事」
「あ、それはわかってるよ。私にとって、しのちゃんは大切な友達だもん」
そう言って私は右手を差し出し、しのちゃんも答えるようにその手を握ってくれました。
「私もしよちゃんは大切な友達だよ」
お互いの柔らかい感触が2人の気持ちを晴らして行く感覚
「じゃ、2つ。しよちゃんはさっき、ヒロくんの事を譲れないって言ったけどね。私は向こうで大切な彼が待ってるから」
「あ。それは失礼しましたぁ」
私としのちゃんの笑い声が空に舞う。
この先、私達の結果がハッピーエンドでないものだとしても
今は多く笑っていたい。そして彼を大切にしたい。
改めてそう思ったの。
・・・・・
・・・
・
そして────
「みんな本当にありがとう」
「「「「元気で」」」」
旅立つ君に何度も手を振る僕ら
「また・・・会おうね」
君が僕らに残した最後の言葉。
その日の街は・・・白銀の雪化粧
「な~しよ」
「うん?な~に?」
「僕は君を忘れない。そして君を精一杯大切にするから」
「・・・うん。ありがとう」
「お、やる時はやるって感じですかー」
「よく恥ずかしいことを平気で言えるわね」
「ははは」
「さてと、飯でも食べに行こうか」
「んじゃ僕らはこの辺で」
「何言ってるの?あんた達も来るのよ」
「ほへ?そんな約束だったっけ?」
「約束なくっても私たちに付き合いなさい」
「お前ら2人で行けばいいだろ?」
「なによ?私らの誘いが聞けないっての?」
「あのな~これは誘いじゃなく強制だ」
「ま~そう言うなって、飯だけだから。後は好きにしたらいいだろ」
「う~ん・・・行こっか」
「はい、多数決であんたの負け」
「・・・・・わかったよ」
「ところで、何処に食べに行くんだ?」
「ああ、行く所はもう決まってるんだ」
「あんたもよく知ってる所だから安心よ」
「よく知っている所?・・・それってまさか」
僕らが辿り着いた店は”回転すし屋”バイト先である。
「な・・・」
「そういう事だったの」
「売り上げ協力だと思ってくれ」
「ま、そう言う事ね」
そう。何もかも全てはこのバイト先から始まったんだ────
雪雲の隙間からほんの少しだけ顔を見せる太陽
光が溶けかけの雪と反射して白い色を七色に変える
その光の奥に見える物・・・それは────
それは、僕と仲間が過ごした大切な時間
そう・・・・・大切なウインターピース
~ Re:member winter piece END ~
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