Re:member 3rd I will tell from my heart...01
「先輩方。お疲れ様でした」
「お疲れさん」
「おう」
「はい、お疲れ~」
バイト仲間の挨拶に、三者三様の答え方をする先輩方御一行。
性格も様々で好みもバラバラ、唯一の共通点は同じ歳のバイト仲間であるって事。
こんな僕らだったが、恋においてはかなりの複雑事情
時に、三角関係。
時に、一方通行。
時に、新たな三角関係。
そして、恋のリセット。
ほんっと、恋って難しいよね?
そんなこんなで、大会終了の夜の事。
「さささ~お2人さん。今日はお疲れ様でした」
「どうもどうも」
「ほんとに疲れたな」
「でもさ~今日は2人にとってはいい記念になったでしょ?」
お互いの顔を見合わせる僕とアキト
「「ま~な」」
「アキトの頑張りがあったからな」
「ヒロの活躍もあったからな」
「すごいよね、すごいよね。だって”優勝”だもんね」
再びお互いの顔を見合わせる僕とアキト
僕らの口元が少しニヤけ、同時に彼女の顔の方に振り向く。
「「それは・・・」」
「ほへ?」
「「当り数だぁぁぁぁぁ!!!!!」」 「はうぅぅぅぅごめんなさいぃぃぃ」
~ Re:member 3rd I will tell from my heart...01 ~
確かに
彼女の言う通り、当り数は優勝だったのだけど・・・
今回の勝敗は当り数ではなく、対戦相手との勝敗で順位が決まる。
従って、結論から言えば僕達は優勝してはいない。
総合成績3位
これが、僕ら最後にして最高の成績となったのである。
顧問の先生には優勝をプレゼントできなかったが、この成績にはかなり満足の様子だった。
ま、最後の踏ん張りが利いたのだと思う。アキトと言う名の踏ん張りが・・・
「でも、しよも応援ありがとうな」
「え?あ、うん。でも~見てただけだよ?」
「それで十分だよな?ヒロ」
「ああ。それで十分だって」
「そかそか~ならよかったさ~」
「しよもヒロも今日はありがとな」
「お礼を言うのは僕の方だよ。ありがと」
「んじゃ~まとめて3人にありがとうって事で~」
「「そだな」」
僕とアキトとしよ。
3人の崩れていた関係が・・・少し戻った瞬間だったのかもしれない。
・・・・・
・・・
・
時が流れ・・・季節は、秋から冬に変わろうとしていた。
学校では、就職活動や進学やらで何かと忙しい日々を過ごし
恋(課外授業)のバイトでは、慰め役=友達の僕を演じ
未だ彼女との距離は平行線のままであった。
今日も何も変わらない。
いつもと同じように、バイトをしていた時
僕の背後から近づく影が1つ。現れたのはアキトであった。
「な。俺が言う事じゃないが、もうそろそろいいんじゃないか?」
「う~ん・・・今は今で、仲良くさせてもらってるんだけどな」
「そうだけども・・・お前はそれでいいのか?」
本当はすぐに否定は出来た。
でも、この先きに進む勇気がなかったのは事実。そして僕は自信がなかったんだ。
「正直、自信ないな・・・」
「・・・・・」
彼女を好きでいる時間は長かった。
実際、彼女が独りになった事で、僕にも可能性が巡って来たのだけども
どうしても前に進めない自分がいたんだ。
その理由に恋愛経験の乏しい僕が、アキト以上に”彼女を幸せにできるのか?”という事だ。
どうしても僕の行きつく答えは・・・NO・・・
だからと言って諦めているわけでもないのだけれど・・・
人を好きになるのは誰しも当たり前の事だと思う。
しかし、それを持続し続ける事の難しさも周りから学んだ。
だから・・・もう少しだけ・・・
「それは昔のお前だろ?」
「え?」
「だから、自信ないって考え方だよ」
昔の僕?アキトは何が言いたいんだ?
「でも、今も昔も、自信なんて・・・ないよ」
「あの子の言葉・・・忘れたのか?」
あの子?
『みんな最初はどうしていいかなんてわからないよ』
あ。記憶の中の言葉が甦り、僕を変えてくれた"あの子"の姿が頭の中に描かれる。
「しの・・・」
「思い出したか?自信なんてなくてもあっても同じなんだ。あの子も言ったように、付き合うって事の始まりってのは、わからない事だらけなんだって」
確かに彼の言う通りかもしれない。僕は、ただ・・・前に進む事が”怖かった”だけ。
「お前は、もう昔のお前じゃないって。彼女にはちゃんと告白出来ただろ?今回もほんの少しの勇気があれば大丈夫」
「アキト・・・ありがとう。結果はどうあれ、前に進まなきゃダメだね」
「そういう事。高校生活も残り少ないんだから、悔いは残すなよ」
そう言い残し彼は仕事に戻って行った。
そうだな・・・・・いつまでも逃げてばかりじゃダメだんだ・・・・・よし!
そして、決意を決める。
君を1度は諦めた僕だけど、どうしても心の奥底では諦めきれていなかった。
と、ここで思うだけはもうやめよう・・・とりあえず僕は進むと決めたんだ。
夜。
それは偶然なのか?もしかして仕組まれたのか?
僕の決心を一念発起させる出来事があった。
ぷるるる~♪ ぷるるる~♪
電話のベルが部屋に響く。
時刻はちょうど23時。
この時間帯に掛けてくる子は過去に1人だけ・・・
左手にコードレスの子機を握り、親指で通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「・・・もしもし」
ぎこちない声。それでいて控えめな態度。
間違いなく”あの子”だ。
「やぁ。久しぶりだね」
「うん。お久しぶりです」
「ま~こんな時間に電話してくるのは君だけかなって予想はしてた」
「そ、そうなんだ。ごめんね?こんな時間に」
「いや。いいんだよ。元気してる?」
「ええ。すっかり”こっち”の生活にも慣れたから」
「そうなんだ。”彼氏”とは順調かい?」
「ま~ぼちぼちってとこかな」
「お、すっかり言葉まで変わったかな?」
「もぅ、からかわないでよー」
彼女は、バイトでアキトが話していたあの子さん。名を"しの"
僕の恋愛の恩人でもある彼女。
しのをきっかけに僕は初めて恋愛の楽しみを知る。が、同時に辛さも知った。
「はは、ごめんね。で、今日はどうしたのかな?」
「えっと、お正月辺りに時間空いてる?」
「ん?バイトが休みの日なら大丈夫だけど~」
「あ~まだ頑張ってるんだ」
「ああ、あと少しだけどね。それに・・・」
「好きな人いるからでしょ?」
「・・・うん。今度こそ告白する事に決めたんだ」
「おお!やっと決心がついたんだぁ」
少しテンションが上がったのがわかる。そして喜んでいる姿が浮かんだ。
「ああ、やっぱ言わずに”さよなら”より言って”ありがとう”がいいしね」
「それは・・・私みたいに?」
「・・・そう・・・だね。君がいたから僕は変われたしね」
あれ?何故か受話器の向こうが静かになる。
何かまずい事言ったかな?少し不安になる僕であったが
どうやらその心配は無用だったようで・・・
「ねえ?1つだけ変な質問していい?」
「え?うん。いいよ?」
「ヒロくんが告白したとして、上手くいった時、私が現れたら・・・・・・どう?」
「う~ん。別に大丈夫でしょ?君にはいい彼が出来てるし」
「え?あ、えーと・・・そうじゃなくて」
「あれ?答え方が間違ってたかな?」
「あの、あのね。私に会っても迷惑じゃない?」
「ん?僕は迷惑じゃないよ?ってあれ?なんか話しが逸れてるような・・・」
「そう?本題にもう入ってるんだけどなー」
「だってお正月辺りって・・・・・・・あ、もしかして」
「気づいた?そっちに行こうかなって」
沈黙の理由は、彼女が僕の迷惑になるんじゃないかと心配し
こっちに来る事を伏せようか迷ってたみたいだ。
「実家に帰るって事かな?」
「この場合は実家と言うのかは微妙だけどね」
「なる。じゃ~会えたら会おうよ」
「いいの?なら来年のお正月辺りに約束だよ?」
「ああ。必ず」
「久しぶりに会えるんだね。楽しみだなー」
「僕もしのと彼氏さんに会えるのが楽しみだ」
「残念、今回は家族のみなんだぁ」
「そっか~どんな人か見たかったんだけどな」
「写真なら見せれるよ?」
「んじゃ、その方向でよろしく」
「はい。私もヒロくんの彼女さんに会えるのが楽しみだな」
「う、仕返しですか?」
「まさか。応援してますよ」
楽しく会話は続き、日付が変わろうとする頃
「それじゃー今日はこのへんで」
「うん。あ、ごめん最後に確認したい事が・・・」
「わわ。どうしたの?」
僕はどうしても、"この偶然"がヤツの仕業ではないのかが気になったので
「ここ数日の間にアキトから電話あったりした?」
「え?アキトくん?ないよ。だって彼は電話番号知らないと思う。何で?」
「いや、ないよね?だよね~ははは。ごめん」
「なーんか、怪しいぞー。勘違いにしても気になってくるなぁ」
「あ~ほんと僕の勘違いだから。ただ1つだけ言える事は、今度こそ進む。どんな結末であれね」
「・・・・・うん。頑張れ、ヒロくん」
「ありがとう。しのに勇気もらった」
「や、やめてね・・・ヒロくん、たまに恥ずかしい事を平気で言える人だって知らかったでしょ?」
「え?・・・そうだったんだ」
こうして
なんか後味の悪い電話が終了したのです・・・
あ~こんな事なら確認なんてするんじゃなっかたな・・・
・・・・・
・・・
・
次の日のバイト終了後。
更衣室で僕とアキトが着替えてる時の事。
「悪い、俺は彼女のとこ行くから」
「ああ。僕も勝負してくるよ」
「お!早い決断だったな。頑張れよ」
「うん。結果はどうあれ、覚悟を決めてくるさ」
「そうか。返事は今度聞かせてくれ」
「ああ」
先に更衣室から出たアキト
さて、僕も行くかな。
僕が更衣室を出た時、ちょうど彼女も更衣室から出てきた。
「あ、しよ」「お、ヒロ」
「今から帰る?」「うん。そだよ」
「なら、送らさせてくれ」「どうしよっかな~」
「・・・ダメかな?」「ダメじゃないよ」
「ならいいよね?」「お願いします」
僕と彼女は店を出る・・・
2人並んで走り出す自転車。
君を好きになって今日までの時間
長かったようで短かったようで
何気ない事も笑い合えたし、バカな事もした。
僕はこのバイトに来て、色んな事が”大切な思い出”
その中で、きっと君が”1番の思い出”となる・・・
「なぁ・・・しよ」
「うん?な~に?」
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