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Re:member  作者: 五流工房
高校3年編
35/53

Re:member 3rd calm...the destination of the heart02

「これは・・・?」

「1年前とは違うが・・・懐かしいだろ?」

「・・・うん。夏って感じがする」

「3人じゃなかったが・・・大勢ってのもいいだろ?」

「そうだね」

「今日は ありがとう」



~ Re:member 3rd calm...the destination of the heart02 ~



・・・3日前


「いらっしゃ・・」

それは閉店直前の事。私の目の前に1人のお客さん。

いつもなら元気よく「いらっしゃいませようこそ」と言う私だけどね

そのお客さんを見た途端、私は黙ってしまったの。

お客さんも私の姿をずっと見たまま動かない。

「お客様、1名でしょうか?」

明らかに様子がおかしいと思った彼が、お客さんに声を掛けたの。

「私、客じゃないです」

不機嫌な顔で返事をするお客さん。

「では、どのようなご用件で?」

彼は接客担当ではないけど、どうにか仕事をこなして行く

「アキトくんいますよね?」

アキトという言葉に彼が反応する。

もう彼は理解しているよね?このお客さんが”何者なのか”を・・・

「アキトに何の用があるんですか?」

「あんたには関係ないでしょ」

彼の態度が少しずつ、確実に変わって行くのがわかる。

ど、どうしよう?こんな所で?マズいよね?マズいでしょ?

「確かに関係ないかもだが、まだ仕事してるだろ」

不機嫌なお客さんに向かい、不機嫌に答える彼。

「あんた、客にそんな態度とるんだ」

「は?さっきお前は客じゃないって言っただろ?」

「・・・・・」

店内が静まり返る。とは言え、他のお客はもういない事は唯一の救いよね。

「しよ!」

「・・・はい」

普段、絶対に見せない態度の彼に少し恐縮してしまった私

「この子が・・・そうなんだな?」

「・・・うん」

私と彼の目の前にいる客。

それは、私の友達であり、アキトの"彼女"

「しよ。コイツ何?」

「悪いけど帰って」

「あんたまでそんな態度なの?ま、いいわ。アキトはもう私の・・・」

その言葉を最後まで聞かずに彼は口を開く。

「お前、アキトはしよの・・・」

「待って!・・・お願い・・」

私はとっさに、彼の右手を掴み首を左右に振った。

「しよ・・・ごめん」

「ヒロは悪くないから」

「アキトは何処?」

「会いたいなら店の外で待ってればいいでしょ?私以外にもう迷惑をかけないでよ」

気づけば私も怒鳴っていた。

「わかったわよ」

ようやく店から出て行った彼女。

とりあえず大事にならなくてよかった・・・

「ふぅ。ごめんねヒロ。迷惑かけたね」

「いや・・・いいんだ。・・・それより」

「ん?な~に?」

「て、手をね・・・」

「手?あっ」


強制的に拘束していた彼の手が解放される。

私の掌には・・・彼の感触が残ったままだったの。


「悪い、先に帰る」

「・・・お疲れアキト」

先程の彼女と一緒に帰ったアキト。

あの時から・・・彼はもう”答え”を出していた。

「ヒロ。一緒に帰らない?」

「ああ、行こうか」

帰宅途中、2人は家の近くの公園に立ち寄ったの。

そう、ヒロがよく行っていたあの公園。

ベンチに座り、少し気持ちを落ち着かせて・・・私はアキトとの事をヒロに伝えたの。

「えっと、結論から言うと、見ての通りなんだけどね」

「あ・・・うん」

「アキトに今の気持ちを聞いてみたのね、そしたら選べないって言われちゃって・・・正直悔しかったんだ。だって、先に付き合ってたのは私。彼女は彼の”知り合い”でしかないでしょ?それなのに・・・アキトは彼女に惹かれて行ってたみたい」

彼は私の言葉を受け止め、ただ静かにうなずく

「彼女に彼を会わさなければ・・・って後悔はした。だけど色々と考えてね、このままなら私も彼も彼女もきっとダメになると思ったんだ。だから・・・」

最後まで伝えようとしたのだけど・・・辛くなってきて言葉が出なかった・・・


「もういいよ・・・しよの言いたい事はわかった」


彼なりの優しさが伝わる。

その優しさは今の私には本当に暖かかったの

だから・・・甘えるように・・・私は彼の前で泣いちゃった。


こうして、私とアキト。約1年間の恋愛が・・・・・・・終ったの。



・・・1日前


あれから彼女は、表向きはいつもと変わらない笑顔を見せている。

しかし、僕には彼女が無理をして笑顔を作っているように見えていた。

なんとかして元気付けたい。何かいい方法はないものか?

そんな事を考えながら仕事をしていた時。


「先輩、そろそろ始まりますよ。窓の外見て下さいね」

バイト先で知り合った後輩が僕に話し掛けて来た。

「え?何があるんだい?」

「夏の夜に空を彩るやつですよ」

「あ、花火か」

「そうです。花火はいいですよね」

花火・・・ね。よし

「な、ちょっと君に協力してもらいたい事があるんだけど」

「はい?何ですか?」

「あのね~・・・・・」



そして当日の夜。


「アキト、今日もすぐ帰る?」

「ああ、悪い」

「少しだけでも・・・無理?」

「・・・無理だな」

「そか。じゃ、またな」

「ああ・・・ほんと悪い」

足早に店を出るアキト。ほんとはアイツにもいてほしかったんだが・・・


「せんぱ~い」


遠くから後輩が僕に駆け寄る。

「どれくらい集まった?」

「今日バイトしてた人ほぼ全員います」

「OK。んじゃ~あとは僕の方だけか」

「では、先に行って待ってます」

「頼むね。ああ~先にコレ渡しておくから、みんなと分けといて」

「了解っす」

元気よく走って行く後輩。

店の外に出る前、僕に向かって振り返り

「先輩って変わった人ですね」

「ああ~よく言われるよ」


さて、主役を誘いに行きますかね・・・



「しよ~いるかい?」

ほへ?

女子更衣室の前で彼の声がする。

「ほいほい~まだいるよ~」

「んじゃ~着替えるまで待ってていい?」

「え?いいよ~すぐ着替えるから」

「ゆっくりでいいよ~」

「そう?あ、さてはこっそり覗くつもりじゃなかろうな?」

「じゃ、また後でな」

「な、ちょ、ちょっとスルーなの?」


私のフリを見事に紳士スルーする彼。

なんだその紳士スルーって?

あ、ここでツッコミしないでよね?

はいはい。では2分弱の着替えが済んだ彼女からね

おう。てかもう言っちゃてるじゃん。


「お待たせです」

「お疲れです」

「では帰ろっか」

「その前に、時間ある?」

「え?ま~あるよん」

「よし、じゃ~少し夏の遊びをしようか」

「夏の遊び?」

「ああ。さ、行こう」

彼は私の手を握り、店の外に連れ出してくれたの。


「・・・・・これは?」

私の目の前に映し出される沢山の光

「お疲れ様です先輩」

バイト仲間達の声と共に、目の前が明るく照らされる。

その光は私を中心に半円を描いているようにも見えたの。

「みんな・・・・・どうしたの?」

「驚きました?ヒロ先輩が仕組んだんですよ」

「ヒロが?・・・どうして?」

私は驚きの眼差しで彼を見る。

「1年前とは違うが・・・懐かしいだろ?」

再度、周りを見渡す。そして去年の出来事が頭に描かれたの。

「・・・うん。夏って感じがする」

「んじゃ、僕らも参加しようぜ」

「うん」


色鮮やかに咲き誇る夜の花。色んな色に囲まれてみんなの表情も色付いていたの

気が付けば、私も自然に"笑えていた"


「先輩、打ち上げ花火使いますよ?」

「ああ。気をつけてな~」

「あの時・・・楽しかったね・・・」

「3人じゃなかったが・・・大勢ってのもいいだろ?」

「そうだね」

自然と笑顔になっている私を横目で確認して、彼は優しく微笑む。

「やっぱしよは笑顔が1番だな」


(アキト)(ヒロ)

以前、2人は似てると思った事があったっけ・・・

でも、彼と付き合って、君と接して来て

彼と別れて、君に慰められて

1つだけ"誤解してた"事が見つかったの。

え?それは何かって?それはね~今は内緒。

でも。言わなくても解ったでしょ?


「ふふふ。ね~、ヒロ」

「ん?」


「今日は ありがとう」



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