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Re:member  作者: 五流工房
高校3年編
32/53

Re:member 3rd Spring breeze05

「ここでいいかい?」

「十分だよ。ありがとね」

「気にしないで」

「んじゃ~また会おうね」

「ああ。お疲れさま~」

「お疲れさ~ん」


右手を振る僕と左手を振る彼女。

彼女の姿が見えなくなったのを確認し、僕は家路に向かう。


『私の他に、誰か付き合ってる子いない?』


僕が予想もしていなかった言葉が頭を過る。

そして数分前の事を思い出していた。


「いや。僕が知ってるのは”しよだけ”なんだ」

「・・・・そう。ごめんね、変な事聞いちゃった~」

「もしかして、最近アキトとは上手く行ってない?」

僕の質問に、困った表情を浮かべた彼女。

「そんなんじゃないんだけどね・・・最近多いんだ」

「会ってくれない日が?」

「うん」

若干小声ではあったが、かろうじて聞き取れた。

「そっか~。なら、今度アイツにそれとなく聞いてみるよ」

「あ~待って。さっき私が言った事は・・・」

「内緒にしとくからさ。心配しないで」

「・・・ごめんね。ヒロ」

「別にいいよ」


冷静に答えてはいるものの、内心はかなり驚いている。

まさか・・・アキトがしよ以外の()と付き合ってる事なんて

あるはずがない・・・いや、あってはダメだ。



~ Re:member 3rd Spring breeze05 ~



放課後の部活

サボり続きだった(アキト)がめずらしく来ていた。


「久しぶりに来たか」

「たまにはやっとかないとな」

「てか、毎日来いよ」

「まーそう言うなよ」

「また大会近いんだから、真面目にしてくれよ?」

「わかってるって。俺達の最後の大会だしな」


そうなのだ。

今年は、僕らにとって部活動最後の年。

今年こそ優勝したいと願う部員達。

無論、僕もそうだった。


「そうそう、しっかり頼むよ」

「はいはい」


的に向かって弓を引く僕とアキト

ほぼ同時に放った矢は、勢いよく的に向かう。

すぱーん!!

見事に的を射抜く僕

かす!!

見事に的を外すアキト


「・・・・・あら、サボりが仇になったか」

「そう思うなら、これから特訓な~」

「え~」


すぱーん!

かす!

すぱーん!!

かす!!

スパーン!!!

カス!!!


「・・・・・」

「もしかして・・・スランプ?」

「おっかしーなー。何がダメなんだろう?」

「ちゃんと集中してる?」

「・・・あ、いや・・・してるつもりだ」

明らかに集中していないな・・・

「ま、大会まではまだ時間あるから」

「そだな・・・すまんな」

「気にすんなって、そろそろ終わりにしよっか」

「ああ」


部活が終わり、僕とアキトはバイト先に向かっていた。

「この前は、カラオケ行けなくて悪かったな」

「別にいいよ。用事あったんだろ?」

「あ、うん。ちょっとな」

なにか曖昧な答え方。


『私の他に、誰か付き合ってる子いない?』


彼女の言葉が頭に浮かぶ

「な。最近しよとは上手く行ってる?」

「え?何でだ?」

「いや、特に意味は無いけども、気になったから」

「まー普通だな」

「ふ~ん。じゃ、最近何か変わった事なかった?」

「それはどういう事だ?」

「例えば、服買ったとか、うまい飯屋見つけたとか」

「う~ん・・・特に無いけど」

「そっか。ならしよとのデートで変わった事ってない?」

「さっきからどうしたんだ?何かあったのか?」

「何も無いけど、興味あったからね」

「特に変わった事はないが・・・友達と会った」

「友達?しよの友達?」

「ああ。1度、アイツが友達連れて来てて、一緒に遊んだ事があったかな」

「なるほど、僕は知らない人だよね?」

「ああ、しよの学校の子だしな」

しよの友達ね・・・


『私の他に、誰か付き合ってる子いない?』


・・・まさか、ね・・・

とにかく今は確信がなかったので、もう少し様子を見よう。


・・・・・

・・・


「はいはいは~い。お皿通りますよ~」

「お客様お帰りで~す」

バイト先では、今日も元気な先輩としよの姿が見える。

「さて、俺達も頑張るか」

「そだね」

それぞれの持ち場に向かう2人。

「いらっしゃいませ~ようこそ~」

「いらっしゃいませ~」「ようこそー」

「4名様ですね~ほなこちらにどうぞ~」

今日もバイト先は活気に満ち溢れていた。


「ヒロくん。ちょっとええ?」

客足も途絶えた頃に先輩が僕に話し掛けてくれた。

「はい、なんでしょう?」

「この前は強引でごめんやで」

若干、しよに気づかれないように話を進める先輩。

「いや、お陰で楽しい時間が過ごせました」

笑顔で答える僕、その笑顔を見て何かを悟る先輩。

「ほ~。どうやら少しは成長したんやね?」

「さ~どうでしょ。でも、前よりは楽になった感じです」

「そか、それがヒロくんの”答え”やね?」

「・・・ええ。少なくとも”今は”ですけども」

僕の意外な答えに先輩が驚く

「ほんま一途なんやな~ヒロくんは」

「そ、そんなんじゃ・・・ないです」

「ははは。あ、今日の帰り時間空けといて」

「何かまたするんですか?」

「ん?いや、そんな時間はとらせへんから」

「わかりました。空けときます」

「さんきゅ~な、ほな、また後でな~」

先輩が軽く右手を振り持ち場に帰る。

僕も残りの作業に取り掛かった。



「お~い、ヒロ。ラップ手伝って」

営業時間が・・・ん?どうしたしよ?交代する?

うむ。では改めて。営業時間が終わる頃。

いつものように片付け作業に入るバイト一同

私がめずらしく作業に手間取っちゃって、彼に助けを求めたの。

「へいよ~任しときな~」

「すまないね~」

「いえいえ。姫の為なら喜んでやらせていただきます」

「おうおう、良きに計らえ・・・って、その言い方やめい」

いつもの流れから彼は仕事モードに切り替わる。

手際よくラップをかけて行く彼。

その隣りに私は近づき、周りに聞こえない程の声で、彼とお話したの。

「この前はありがとね」

「いやいや、いいって」

空気を読んくれたのか、彼も声を合わせてくれた。

「んで、何かわかった?」

「う~ん、これといった事はないみたいだね」

「そっか、安心していいのかな?」

「安心してもらわなきゃ困るんだけどな」

「それもそうね。でも・・・ちょっと不安かな」

「ま、僕ももう少し様子見ようと思ってるから」

「うん。ありがとね」

「でも、しよも逃がさないようにしっかり捕まえとけよ」

「そだね~私もしっかりしなきゃね」

「そうそう、って事で。お~いアキト」

ちょうど片付けが終わった彼を呼ぶヒロ

「なに?」

「片付け終わったんだろ?なら、彼女を手伝ってやりな」

そう言って、アキトを私の隣に連れて来てくれた。

「ふぅ~お疲れ」

3人が揃った所に姿を現した先輩

「「「お疲れ様です」」」

「あ、ちょうどいい、ヒロくんには先に話したけども、アキトくんもしよちゃんも、バイト終わったら少しでええから時間空けといてくれへん?」

「いいですよ」

「もちろんですよ~」

「んじゃ~外で待ってるから後で来てや~」

「「「了解っす」」」



着替え終わり、先輩の元へ向かった私達。

先輩は笑顔で出迎えてくれました。

「待ってたで、君らにはちゃんと話ときたかったからな」

「なんですか?話って」

「気になるな」

「ちゃんとって言う所で、いい話ではないって事ですよね?」

「相変わらずやな、ヒロくんは。感がいい」

「ん?俺にはさっぱりわからんが」

「何か悩みがあるんですか?」

心配そうに先輩を見つめるしよ。

その仕草に、大人の笑顔(通称:フェロモンスマイルと名付ける)を見せ、私の頭に手を置く先輩。

「しよちゃんはほんまかわいいな」

そう言って優しく頭を軽く撫でてくれたの。

「あ、あの~恥ずかしいです」

先輩の行動に少し照れる。その光景を眺める男が2人。

「アキトは、あ~ゆ~のどう?」

「マニアなら喜ぶだろうな、きっと」

「ははは。違いないな」

・・・たまに私は、2人の考えが理解出来ない時があるわ~

ま、男の妄想ってやつよね?きっと。

「お?君らも撫でてあげようか?」

「「結構です」」

「え~最後なんやからいいやんか~」


先輩の”最後”という言葉に一同は驚いた。


どうやら先輩は、私達に”最後のお別れ”を言いたかったみたいなの。

初めて会った時から、親しみを感じてくれて、今までよくしてくれた。

これからも続くだろうと思ってた楽しい時間は・・・今日で終わるみたい。


それぞれ先輩に挨拶をし、先輩を笑顔で見送る事を決意した私達。


「先輩には・・・色々と感謝してます」

「違うで。感謝してるのは私の方や。短かったけども、ヒロくんやアキトくん。そしてしよちゃんに会えて、楽しいバイト生活を送れたわ。ほんま・・・ありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「しよちゃん。アキトくんとヒロくんを頼んだで~」

「え?あ、はい」

「アキトくん。しよちゃんとヒロくんには感謝してるかい?」

「あ、ええ」

「なら、これからも仲良くやって行けるね?」

「はい。大丈夫です、きっと」

「ヒロくん。色々大変だろうけど、頑張ってや~」

「心配しないで下さい。僕は大丈夫ですから」


別れの時、先輩は1人1人の背中を両手で突き飛ばしたの

何故だと思う?・・・それはね・・・

「少ないけど、みなの"背中を押してあげた"から。この意味・・・わかる?」

そう言って、大人の笑顔を魅せてくれました。


「ほな。また会える日まで・・・バイバイやで。みんな」

「「「さようなら。先輩」」」


私達は手を振る。旅立つ先輩に・・・

感謝と悲しみと憧れを込めて。


・・・・・

・・・


それから1週間が過ぎた日の事。


『少ないけど、みなの"背中を押してあげた"から。この意味・・・わかる?』


あの時の先輩の行動はまるで、"人生の課題"を押し付けられた気がした。

だって、あの言葉は・・・明らかに"頑張れ"と僕には聞こえたんだ。

これが大人の対応力なのか?単に面白い展開の望んでいるのか?

その答えは直ぐには出せないだろう。

でも・・・僕は、僕達はこれかれも"変わらない"。いや、"変わらない方がいい"

そう考えていた。だから・・・"あの件"も早く解決させなきゃな・・・


先輩がいなくなったバイト先は、若干活気が減ったものの

客の流れはいつもと変わらなかった。

ただ・・・

「ヒロ、今日は先に帰るから」

「それはいいが、しよを送ってってやれよ」

「・・・・じゃ」

「おい、アキト」

アキトは何も言わず帰ってしまった。

「やっほ~ヒロ。一緒に帰らない?」

「え?ああ。いいよ」

どうしちまったんだ?アイツ・・・


帰り道

彼の代わりに僕は彼女と一緒に帰っていた。


「あ、あのさ・・・アキトと喧嘩でもした?」

「え?いや、なんでそんな事聞いたの?」

「え?あ、いや、先にアイツが帰ったからさ」

「あ~今日も用事あるんだって」

「そうなんだ。でも、しよを送ってやる事は出来るだろうに」

「ははは・・・ねぇヒロ」

「何?」

「なんでそんなに私らを気遣ってくれるの?」

「なんでって・・・なんでだろうな・・・友達だからじゃダメ?」

「何その答え。ふふ。ま、ヒロらしいのかな」

「こっちからも聞いていい?」

「どうぞ」

「最近、アキトとはどうなの?」

「え?・・・どうなのって・・・ま、普通かな」

少し戸惑って曖昧な返事を出す彼女。

「そか、やっぱアキトが原因か」

「・・・・・原因は私の方」

私の方?この言葉を聞いた時、アキトとの会話を思い出した。


『特に変わったことはないが・・・友達と会った』


もしや、彼女は気づいたのか?だったらその答えは間違ってる。

「・・・え?それは違うだろ。しよは、ただ会わせただけでしょ?」

「え?ヒロ。・・・知ってたの?」

「いや、しよの言葉で確信が持てたって感じだ」


その後、僕がアキトから、しよの友達と会った話を聞いたって事を伝えた。


「そっか。私もあれから考えてたんだけど、思い当たるのは友達だけなんだよね。だから、もしかしたら私の友達が怪しいかなってね」

「なら今から友達の所に一緒に行く?今ならなんとかなるだろ?」

「あ~待って。まだ友達だって決まったわけじゃないでしょ?」

「それはそうだけど・・・」


沈黙の時間が続く。

そして、彼女が悩んだ末に出した答えは・・・


「今度・・・ちゃんと話してみるよ」

「・・・そうだね。それが1番いいかも」

「ごめんね。心配かけて」

「あ、別に気にしないでいいって」


「もうすぐ夏だね」

「ああ。今年は行かないよね?」

「ん?ホームステイ?うん、大丈夫」

「なら、夏休みは色々と遊びに行けるね」

「そだね~。去年遊べなかった分、遊ばなきゃ」

「高校最後の夏休みだしね」

「うん。また3人で楽しめたらいいな・・・」



僕とアキトとしよ

明らかに崩れ始めた固定関係(バランス)

季節は夏・・・僕と彼と彼女の2度目の夏は・・・



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