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Re:member  作者: 五流工房
高校3年編
31/53

Re:member 3rd Spring breeze04

それは、バイトと言う名の空間で

1人の女性に心を奪われた2人の友達(おとこ)

青春(じぶん)を捧げた物語。


今日は星がよく見える。

バイト先の窓ごしからでもはっきりと白く輝いている。

店内を掃除している彼女。時折、窓を見てにやけている。

その姿を見つめる僕。


こんなに近くにいるのに”心だけ”は離れている。

まるで2人は”二重星”


やはり僕は・・・彼女を・・・



~ Re:member 3rd Spring breeze04 ~



数週間過ぎ、また暑い季節が近づいて来てた頃。


「カラオケですか?」

「そや~ヒロくんは歌嫌い?」

「いえ。嫌いではないです」

「ほな決まりやな」

「他に誰が来るんですか?」

「そりゃ~ヒロくんのよく知ってる人達」

「アキトとしよ?」

「当り~。既に声はかけてるから」

「さすがに段取りいいですね~」

「ははは。もっと褒めろ」

「いや。今のは撤回で」

「なんや~連れんな~」

「で、いつ行くんですか?」

「来週の週末、って言っても木曜か金曜やね」

「わかりました。楽しみにしてます」

と、言うわけで、いつものメンバー?で、カラオケに行く事になる。


「すごい部屋やね・・・」

「きっと店員が勘違いしてるんでしょう・・・」

カラオケ当日。

その日がバイトだったアキトとしよ。

たまたま休みだった僕と先輩は、一足先にバイト先で待ち合わせ。

バイト中の2人には、先に部屋で待ってると報告を済ませ、店の真横にあるカラオケ屋に向かった。

「さすがに私も予想してなかったわ~」

「いや。予想が出来ていたら、僕は速攻で帰ってます」

「ははは、確かにそやな・・・とりあえず座ろっか」

先程から、一体”何を”驚いているのかと言うと、部屋の雰囲気である。

壁紙はピンク、薄暗いライト、椅子の変わりにベットに近いソファー。

正に、若いカップル専用の部屋ですと言わんばかり。

どうやら僕と先輩の2人で来たのが”間違い”だったのであろう。

「あの・・・やっぱアイツら待てばよかったんじゃないっすか?」

「ま~ええやん。この方が都合がええし」

都合がいい?それは先輩にか?それともアイツらにか?

あ、アイツらになら僕らが引けば都合がいいって事になるんだな。

「確かにこの部屋はアイツらにとっては良いですね」

「ちがう。ヒロくんにや~」

え?・・・何で僕?・・・ま、まさか!?

「先輩・・・誘ってます?」 「アホか」

「ははは、ですよね~」 「ナイスボケやったで~」

いや、少し真面目に聞いた僕がバカでした・・・

それはさておき

何故、僕に都合がいいんだ?さっぱり理解できないが

はっきり言える事といえば、先輩は何かを企んでいる・・・

しばらく考え込む僕。

「こらこら~いらん心配せんでええから歌おうや~」

「あ。はい」


悪趣味な部屋で1時間が経過した頃。


部屋に設置されているインターホンの音がした。

それと同時に部屋のドアが開く

「おっす。来てやったぜぇ~」

「お疲れさん。待ってたぜ~」

「やっと来たか~はよ座り」

「あ、はい。失礼しま・・・なんですか?この部屋」

やはり・・・ツッコむべき所は、みな同じか。

「気にするな、僕はもう慣れた」

「・・・そうなんだ」

「あれ?アキトくんは?」

「あ~なんか用事出来たと言って先に帰っちゃいました」

「え?そうなんだ?」

「うん」

「ま、用事あるなら仕方ないわな。それに・・・」

「「それに?」」

「あ~なんでもない」

「よっしゃ~歌っていいかな~?」

「いいよ~好きなだけ歌え~」 「弾けちゃえ~」

「では。いっきま~す♪」

こうして、僕とハイテンションガールx2の歌声が

狭い空間に色づき広がった。


退室10分前のコールが店員から告げられ、延長するかどうかで僕らは迷っていた時。

「ちょっとトイレ~行くわな~」

「「いってらっしゃ~い」」

「まだ歌い足りない?」

「そだね~途中参加だし」

「だよね~僕は延長してもいいよ」

「ほんと?私も延長したいな~」

「後は先輩の答えを聞こう」

「きっと先輩も延長でしょ~」

先輩がトイレに行ってからもうすぐ10分が経とうとしてた。

「いや~遅くなったな~」

「もう退室時間来ましたね、延長しようと思ったんですが・・・」

「そう言うと思って、さっきついでに直接言っといたで」

「え~。本当ですかぁ」

先輩の気のきいた計らいに喜ぶ彼女

予想道りのリアクションに満足の先輩

「ほんまやで~。だからもう少し2人で楽しんでや~」

「え?」「ほへ?」

「ごめんやで、今からちょいと用事あってな~」

申し訳なさそうだが、口元は何故かにやけている。

「あ、しよちゃん。今日は自転車なかったけど、歩き?」

「あ、はい。ほんとはアキトに送ってもらう予定だったんですが」

「そか~。だったら、ヒロくん。ハブステ持っとる?」

「え?あ、持ってます」

「しよちゃんを送ってあげてや~」

「は、はい。了解しました」

「しよちゃん、ちゃんとヒロくんに送ってもらうんやで~」

「あ、は、はい」

僕達の意見を聞かないままに、強引に事を運ばせる先輩。

「んじゃ~先に帰るわな~」

「「お、お疲れさまでした」」

「お疲れ~・・・あ、ヒロくん。ちょい」

去り際に先輩が僕を呼ぶ

彼女を部屋に残し、僕は先輩と部屋を出た。


「これは一体どういう事なんです?」

「ヒロくん、いや。ヒロ」 「は、はい」

いつになく真面目な顔になる先輩。

「私が出来る事はこれくらいや、後はヒロ次第」

「でも彼女には・・・」

「後悔しない生き方、してみな」

その言葉には・・・かなり重みがあった。

「偉そうな事言ってごめんやで」

そう言って、僕に大人の笑顔を見せる先輩。

「いえ、こちらこそ・・・ありがとうございます」

僕は先輩に頭を下げ、少しだけ苦笑いを見せた。

「さて、帰るかな~っと。あ、そうそう。ここの部屋代は私がおごるから、後で請求してや~」

と、最後に言い残し、お節介な先輩は帰って行った。


「おまたせ~」

「先輩はなんて?」

「あ~、先に帰るお詫びに、ここの部屋代おごるからって」

「え?それは先輩に悪いでしょ~」

「だよね。後で先輩には言っとくさ」

「よろしく~。さ、どうしよか?先に歌う?」

「いや、しよが先にどうぞ」

「そ、そう?んじゃ~何を歌おうかな~」

「しよの得意な歌聴きたいな~」

「それは無理。あ、じゃ~デュエットしよっか?」

「ムリデス」

「なんでカタカナなのよ~」


・・・・・

・・・


カラオケを終えた僕としよ。


「ちょっと待ってて」

先輩からもらったハブステップを自転車に装着

「ヒロがステップ持ってたのは以外」

「そう?確かに以外かもな」

先輩にもらわなければ”一生”使わなかっただろうな。

「ほんとにいいの?歩いて帰るよ?」

「いいんだよ。送らさせてくれ」

「んじゃ、頼もうかね~」

「おう。さ、乗ってくれ」

「いっくよ~・・・とりゃ」

彼女が元気いっぱいにステップ目掛けてジャンプする。

うまく両足をステップに乗せたが、勢い余って僕の背中に倒れこむ。

「おわ!!ふ、普通に乗りなさい」

「ははは。ごめん~」

体勢を整える僕、僕の肩に両手を乗せる彼女。

(しよがこんなに近くにいるのか・・・)

「じゃ、じゃ~行くよ~」

「はっしぃ~ん」

ゆっくりとペダルをこぎ始める僕。落ちないように僕の肩に力を入れる彼女。

背中には彼女の温もりが伝わって来るのがわかる。

かなりの緊張・・・体中の熱が上がる。


ほどよいスピードで風を切り走る自転車

風が彼女の髪を靡かせる。


「そういや~」

「何かね?」

「初めてだね、バイト以外で2人一緒にいるのって」

「そ、そうだっけ?」

「きっとそうだよ。たまに2人でいた時間もあるけど、ちゃんと過ごした時間は、今日が初めてだよ」

彼女が僕の右肩の方に体重を預け、目線を僕と同じ所まで持ってきた。

僕は体重を、やや左に持って行きながらも顔を右に向ける。

視線と視線が交わる。

自然と笑顔がこぼれる2人。

「しよは、ハブステ慣れてるんだね」

そう言いながら顔を進行方向に戻す僕。

「え?あ~そうかな?慣れてるって言えばそうかも」

彼女も定位置に体を戻した。

「だよね~。いつも乗せてもらってる人いるもんね」

「ま~ね・・・」

気のせいだろうか?

彼氏の話題を出して、やや表情を曇らせた彼女

「あ、そ、そういや~次の角を右に曲がるんだっけ?」

慌てて話題転換させる僕

「そうそう、狭い道だから気をつけてね」

「了解」


しばらく沈黙が続く・・・不意に頭の中に先輩の言葉が浮かぶ。

『後悔しない生き方、してみな』


後悔。この言葉は1年前からずっと背負ってる。

あの時・・・言えなかった想い・・・ここで伝えるか?

否。

彼との約束がある。

『彼女はお前に任せた。必ず幸せにしてやってくれ』

あの時に託した想い・・・現に彼女は幸せだ・・・

ならどうしたらいい?

頭では理解してる。でも、やっぱり後悔したくない。

だが、伝えてどうなる?どうしたい?


僕の望みは・・・何?



「・・・ろ・・・ね?・・・ヒロ!?」

誰かに呼ばれる声がする。

それと同時に考え事が途切れる。

「こら~ヒロ。寝てるのか?」

「え?あ、ごめん。考え事・・・ちゃんと起きてまっせ」

「・・・ヒロって変わってるって言われない?」

ははは・・・懐かしいフレーズだな

「ああ。今頃気づいたのか?」

「うん。妄想好きだったとは・・・」

「それは、言い過ぎだって・・・」

再び笑顔がこぼれる2人。

笑いながら彼女の方に視線を向ける

彼女も気づき、優しく見つめてくれる

なんともいえない感覚。


この時・・・やっとわかった・・・

僕の望み・・・でも。もう遅い・・・

だけど。伝えよう・・・”今だけは後悔しないように”


「な~しよ・・・」

「ほへ?」

「あ、あの・・・か、かゎ・・ぃぃょ」

「は?・・・なに?風があるから聞こえない」

「かわいいよ・・・そうやって笑ってるとこ・・・」

「な・・・なななな・・・冗談でしょ?」

意外な言葉に困惑する彼女。

「いや、素直に言っただけなんだけど?」

少し真面目な口調で言ってみる。

「そ、そうなんだ・・・あ、ありがとう」

「僕は、君がそうやって笑ってくれて・・・見つめてくれるとこ・・・す・・・・・好きだよ」

「・・・・・・・・・」

僕の肩に置いてある彼女の手の力が少し抜けて行くのがわかる。

「な~んてね。しよの長所を言ってみた」

「・・・え?」

「あ~さっき言ったのは、しよの社交的な性格が好きって事」


多少強引ではあるが、彼女を説得した。

結果的に、彼女を”騙して”しまったが、これが”今の精一杯”


「なるほどね~。てっきりヒロが私の事好きなのかと」

「好きだよ、友達として。あまり言ってたら彼氏に悪いし」

「ははは。ね、ヒロに聞きたい事あるんだけど?」

「どんな事かな?」

「さっきから気にしてる彼氏の事でね」

アキトの事で何かあったのか?

「そういや、今日は用事って言ってたっけ?」

「うん・・・アキトとヒロっていつから友達なの?」

「家が近所だったから、小さい時からずっとかな」

「そうなんだ。・・・なら、隠し事も知ってたりする?」

僕は”隠し事”というフレーズに動揺した。

が、冷静に考えて見ると、彼女が聞きたい事は

”僕”の事ではなく”彼”の事なのだと理解した。

それと同時に彼女と彼の間に”何かあったんだ”とも理解した。

「もしよかったら話してくれない?わかる事なら話すし」

「あのね・・・」



「私の他に、誰か付き合ってる子いない?」



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