Re:member 3rd Spring breeze03
「じゃ~先に帰るね~」
「ああ。彼氏としっかりやれよ~」
「もぅ、こういう時は意地悪なんだね」
「ははは、まんざらでもないって顔だよ?」
「ふ~んだ。今度ヒロにラブラブなとこ見せ付けてやる~」
「はいはい、今でも十分見せ付けられていますんで」
「ならもっとすごいとこを見せ付けて・・・」 「しよちゃん」
「な、なによ?」
「時間・・・大丈夫?」
僕の指差す時計の針は、約束の時間5分前を指していた。
「あ、あぁ~」
「今からでギリギリかな?」
「飛ばせばなんとかなるっしょ~。じゃ、またね」
「気をつけてな~」
そして、彼女は去った・・・自転車を立ちこぎしながら・・・
「・・・さて、アキトに連絡しといてやるか」
僕は店の電話から”きっと遅刻するであろう”彼女の事を、怒らないでやってほいしとポケベルで伝えた。
「優しいんやね」
背後から先輩の声。
「単なるお節介ですよ」
「ヒロくん、今から時間ある?」
「ええ。大丈夫ですが」
「んじゃ、ちょっと近くで話せえへん?」
「わかりました。では店の外で待ってます」
「わかった~」
~ Re:member 3rd Spring breeze03 ~
店の外でぼんやり星を眺めながら先輩を待っている僕。
『ラブラブなとこ見せ付けてやる~』
ラブラブね・・・ほんっと、羨ましいことですな~
「ラブラブか・・・」
ため息混じりの声で独り言を呟く。
「お、ヒロくん妄想中?」
「え?」
振り返ると、そこには着替を済ませた先輩の姿があった。
「あ、お疲れさまっす」
「お疲れ。ごめんやで、驚かせたな」
「ははは、気にしないで下さい」
(このパターンはシリーズの決まり事ですから)
「ほなちょっと、飲み物でも買ってこよか」
「なら僕が買って来ますよ」
「いや、一緒に買いに行こうや」
そう言って、先輩は笑って歩き出した。
・・・・・
・・・
・
ヒロから届いたベルの内容は、どうやら彼女が遅れて来るとの事だった。
まぁ、大体の予想はつく。でも怒る事はないけどな・・・
この数カ月、俺としよは特に喧嘩もなく、ヒロのサポートもあってか
2人の恋愛は確実に成長して行っていた。
遠くの方から物凄い速さで、自転車のライトが迫って来る。
「お~い。アッキ~」
静まり返った夜の街に彼女の声が響く・・・
しかもその呼び名はやめてほしい。かなり恥ずかしいし
付き合い出して彼女は少し変わったんだ。
最初は友達の延長のような感じで接してた彼女
でも、ある時から・・・なんと言うか、その・・・ぶっちゃけ"俺に甘え出した"
嬉しい事だとは思うのだけど、今は少し恥ずかしいのは、わかってくれるよな?
「よ。ヒロとの楽しい時間はどうだった?」
「え?さ、さ~なんの事・・・ごめんなさい」
「いや、謝られたらヒロに俺が怒られそうだ」
「ほへ?どう言う意味?」
「ん?さっきアイツからベルあって、しよが遅れるから怒らないでと言われてな」
「ヒロが?・・・そっか。ヒロらしいよね」
「ああ。そうだな。さて、そろそろ行こうか」
「うん」
こうして俺達の日課が始まる。
「あ、そうだ。あのね・・・・・」
・・・・・
・・・
・
今から数日前。
放課後の教室で、自称姉からこんな話があって・・・
「ねぇ~彼とは順調?」
「うん。どうしたの?心配してくれてるのかな?」
「まーね。付き合い出して長いけどさ、私に彼の話してくれないしさ。もしかして何かあったのかなってね」
あ~確かに。みあには彼の話なんて全然してなかったっけ
「別に何もないよ。ずっとそんな話はしていなかったね?興味ある?」
「ば、バカな事言わないでよ・・・興味なんてないわよ」
・・・わかりやすいわね。でも男には興味ないのは知ってる。
かわいいのに。その気になれば速攻で彼氏なんて出来るのにな~
「みあは彼氏は作らないの?」
「え?今はいいかな。でも1つ質問したら、恋愛って楽しいの?面倒くない?」
「ん~最初はわからなかったけどね。今は楽しいから面倒ではないかな」
「そっか。楽しいならそれでいいけどね」
「うむ。なら1回私達と会ってみる?今度聞いてみるよ?」
私の提案に姉さんは考える・・・
「・・・ま、そっちがいいなら会ってもいいわ」
「じゃ、今度聞いてみるね」
・・・・・
・・・
・
僕と先輩は、店から歩いた所の自動販売機で飲物を買う。
そこから約2分歩いた所にある、バス停のベンチで僕らは話す。
「先輩は彼氏いないんですか?」
唐突な質問だったが、先輩は笑って答えた。
「あはは。今はおらんのよ~。私はダメな女やからね~」
今は・・・か。なんか悪いこと聞いたかな
「いや、先輩は美人だし、しっかり物だから、大丈夫ですよ」
「ありがと。でも、あまりお世辞言い過ぎには注意やで」
「ははは。お世辞ではないですけどね。覚えときます」
「ヒロくんから見ての私のイメージはそうかもだけど、女って結構"本性見せへんよ"」
いつもの大人の笑顔で僕を見る先輩。
「そんなモノですかね?僕はわかりかねますけどね・・・」
和やかなムードで会話をしていた僕と先輩。
だが、話題はやっぱアノ方向に・・・
「ヒロくん」
「はい?」
「しよちゃんの事どう思ってる?」
正にストレートな質問
「え?えっと・・・いいお友達ですよ」
「恋愛感情は?ほんまに友達としか見てないの?」
この時、先輩はやはり”知ってしまった”んだと確信した。
「・・・ええ」
やや歯切れの悪い返答に先輩は確信を突いてくる。
「好きなんやろ?今でも」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしかして、フラれた?」
「いえいえいえ、それ以前です」
は!また僕は墓穴を掘ってしまった・・・
「そっか。なんで告白しなかったん?」
「・・・あの子にはアイツがお似合いだと思ったからですかね」
「アキトくんとヒロくんは昔からの友達だっけ?」
「はい。長いですね」
「恋より友を優先したわけやね?」
「・・・・・ぇぇ」
僕が語らずとも、先輩は理解してくれていた。
「他に好きな子を見つけようとせえへんの?」
「今の所は・・・無理ですね」
「しよちゃんモテモテやなぁ」
「ははは。あの、彼女にはこの事、内緒にして下さい」
「どうしよかな~、言った方が面白くならない?」
先輩は意地悪く笑った。
「お願いですから~。彼女を困らせたくないんです」
「ほんま・・・優しいんやね」
「いや・・・そんなんじゃ」
「仕方ない、しよちゃんには黙っててあげよう。でも~」
「でも?あ、バイト仲間にもダメですからね?」
「あら?わかっちゃったか~」
「当然です。ってか誰にも言わないで下さい」
「はいよ。しよちゃん好き好きなのは十分わかったから」
「あ~だから~・・・」
完全に先輩に弄ばれてる僕
「でもな、ヒロくんを応援したくなったな」
「応援って、どういう事です?」
「あ~なんでもない。ヒロくん、手を出しな」
先輩の言われるがままに、僕は右手を差し出した。
その右手を包み込むように先輩の両手が重なる。
包み込まれた手の中に、冷たい感触がするのがわかった。
「な、なんですか?」
「ヒロくんにプレゼントや」
そう言って先輩の両手が僕の手から離れる。
残された冷たい感触が気になり、僕は視線を手に向けた。
それは掌に収まるくらいの鉄の棒
「あの・・・これは?」
「ハブステップや~」
「はぶすてっぷ?」
「自転車の後輪に付けて人を乗っけるやつなんよ」
「へ~初めて見ました。なんで僕に?」
「ま~ないよりはあった方が、後々役立つと思ったんよ」
「そうですか~。でも乗せる相手なんていませんよ?」
「そのうち使う時が来るって。いいから貰っとき」
「あ、はい。ありがとうございます」
「気にせんでええよ。後で付け方教えてあげるから」
「助かります」
・・・・・
・・・
・
デート中。彼女が何かを思い出したようで
「あ、そうだ。あのね、今度会う時、友達も連れて来ていい?」
「え?しよの友達?いたの?」
「な。失礼ね~私だって友達いますわよ~」
「はは。ごめんな。俺は構わないよ?」
「そう?なら決まりね」
「ああ」
・・・・・
・・・
・
僕と俺と私。それぞれの出来事がきっかけで・・・
みんなの固定関係が・・・静かに崩れ始める・・・
(↑※この部分は3人でナレーションをしてます)
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