Re:member 3rd Spring breeze01
「でね。この前ラジオで、私が投稿したやつが読まれたのよ」
「へぇ~すごいじゃない!で、どんな内容が読まれたの?」
「それがね、何故かわからないけれど、読まれる前に"シュレッダー"に掛けられたわ」
「何それ~ウケるんですけど~。でもさ、いい笑い話が出来てよかったじゃない」
「ま、そう言う事・・・なのかしら?」
「それじゃ~私はバイトなんで、まったね」
「ええ。また学校でね」
いつものように自転車を走らせる。
夏のような暑さも冬のような寒さもなく
過ごしやすい季節。
行先に見えてる桜も満開で、時折吹く風が花びらと共に頬を撫でる。
「よ。姫様」
「お~殿か。苦しゅうないぞ」
「今日、彼氏は1時間早いシフトだったね」
「そうなのよ。だから今日は一緒に来られないのが残念ですわ」
「帰りは一緒に帰ったらいいよ。僕は邪魔しないからゆっくり甘えておいで」
「な、私がいつアイツに甘えた」
「アイツに聞いたって言ったら?」
「・・・・・もしかして色々と知ってるの?」
「さ~どうだろう。お、到着だな」
「だね、今日も頑張るかな・・・って、誤魔化さないでよぉ」
私達は自転車から離れ、従業員入口へ向かう。
「じゃ、1つだけ、僕だけが知っている君の秘密を教えてあげよう」
「ほへ?そんな秘密あったっけ?」
彼の右手が私の頬に向かって来るのがわかる・・・
「じっとしてて、後で謝るから」
彼の指が私の頬に触れる。緊張なのか?心が少し震えた。
「はい、桜の木とお戯れでしたな?姫」
「あ、花びら?さっき風で飛んで来たやつかも~」
「そか、ごめんな。彼氏以外に触れられてほしくなかったかい?」
「んんや。君は特別に許そうぞ・・・ってキャラがブレブレだね」
「ま~な。さて、この花びらどうする?アイツに見せてやるか?」
「そだね、わざと頬に付けて、どう反応するか確かめるってのはどう?」
「よしのった」
そう言って彼は桜の花びらを私に手渡そうとした瞬間
春風が花びらを奪い去って行ったの
天高く舞う花びら・・・ここから始まる私達の最後の物語・・・
~ Re:member 3rd Spring breeze01 ~
バイトに入って3度目の春が来ました。
新人だった私も、今ではもうすっかりベテランになり
先輩と呼ばれる後輩も入ったりして、ますます騒がしくなる店内。
ま~給料は相変わらず高くはないんだけどね・・・でも楽しくやらせてもらってるからいいかなって。
そんな中、新たな新人さんが今日から来るという話を聞いたの。
「新人だってよヒロ」
「あ、ああ。どんな人だろうね?」
「いい男だったりして~あはっ」
「ったく、イケ面にすぐ食いつく癖はよせ」
「え?そんな癖あった?」
「ん?そんな癖なんてないって~」
「・・・・・」
「もしかして・・・アキトなりのボケ?」
若干、苦笑しそうな顔をしてる彼が”ヒロ”
アキトの友達であり、私の友達。
「まだダメか・・・」
若干、顔を赤く染めて照れてる彼が”アキト”
ヒロの友達であり私の彼氏。
「そうみたいね。少しは成長したけど~まだ照れがあるね」
「しよちゃーん会計お願いね」
「あ、わかりました店長」
とりあえず会計を済まして来よう。と言う事でヒロ交代!
おう。若干、元気いっぱい胸いっぱいのテンションで
笑顔を見せ会計に走って行った彼女が”しよ”
僕の友達であり、アキトの彼女である。
約1年前
それぞれが、それぞれの”きっかけ”に基づき
見えない恋の三角関係まで発展したこの3人
今は、僕が陰ながら応援する事で2人の仲が安定している。
言うまでもないが
彼女の事を僕が”好き”という事は、当然知りはしない。
いや、知られてはいけないと思っていたんだ。
この”秘密”を知る人物はアキトのみなのだ・・・
「たっだいま」
会計が済み彼女が帰って来た。じゃ、交代する?
う~ん、このままお願いしていい?
ああ。じゃ、このまま続けるね。
しばらく3人でボケとツッコミをしていると
裏口のドアを開けて新人さんが入って来た。
「あの~店長さん、います?」
「「「はい。少々お待ち下さい」」」
突然の登場で、声がハモってしまった3人。とりあえず店長を呼びに彼女がその場を去った。
「楽しそうなとこですね」
「ええ。毎日が騒がしいですよ」
「特にコイツが騒がしくて↑」
僕がボケた事を察したアキト。さあ、どうする?
「さ、騒がしいって・・・なんでやねん」
ぎこちない・・・ってか、いつから僕らはこんなキャラに?
ま~いい。それよりツッコミが甘い事に突っ込んでやろう。
「ちが・・・」 「あかん」
正に突っ込もうとした瞬間
新人さんが”割り込みツッコミ”を掛けた。
「あんた~ツッコミが甘いって、もっとスパーンと言わな」
「は、はぁ・・・」
見た目と性格のギャップにキョトン気味の彼。
「あの~作ってます?それともまんま?」
「え?あ。あ~作ってます~ほほほ」
その返答から、この方の性格が理解できた。
「お待たせしました。ここじゃ~アレなんでどうぞこちらに」
彼女が彼女を連れて行く・・・
「とんでもない人が来たね~」
「・・・ああ。美人なのに・・・」
「でも、面白い人には違いないな」
「たっだいま~」
「「おか」」
「あの人、私の高校の先輩らしいよ」
「ほうほう、なんとなく納得」
「なんで納得なの?」
「しよと似てるとこあるから~」
「そうか?俺は似てないと思うぞ」
「似てるとこって・・・顔?」
「「いや」」
「即答だね~・・・ま、お約束って事で」
笑顔を見せてはいるが、目元は少々つり上がっていた。
「元気のよさが似てるかな」
「ああ。なるほど」
「ん?そうなの?」
「ま、そのうちわかると思うよ~」
それから数分が過ぎた頃、新人さんが戻ってきた。
「さっきはどうも。挨拶遅れたので、ここでさせてもらいます」
「「「はい」」」
「私の名前は・・・」
彼女の挨拶が終わる。僕らも彼女に挨拶返しをした。
どうやら、彼女はしよの1つ上の先輩(現在は大学生)である事は確定した。
「アキトくん、しよちゃん、ヒロくんっと。これからヨロシク~」
「こちらこそ~先輩」
「よろしく」
「ヨロシクっす」
「あ、私の事は”もっちゃん”て言ってや~」
「「「もっちゃん?」」」
「そう。その方が言いやすいしな~」
そう言って彼女は大人の笑顔を見せた。
「ね~ヒロ」
「はい?」
「似てるって言った意味・・・なんとなくわかった気がする」
こうして
約1年間続いていた平坦な道が
新たな軌道へと進み始めた事は・・・僕達はまだ、知らなかったんだ。
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