Re:member 2nd Summer Days05
夏の終わりに帰国する少女。
スカイブルーの空の下で、家族との再会。
そして
遠くから見守る2つの影。
「「おかえり・・・しよ」」
~ Re:member 2nd Summer Days05 ~
久しぶりのバイトで緊張気味の彼女
しかし、その働きぶりは見事なもの。
腕は衰えていなかった。
「いらっしゃいませ~」
「5名様でしょうか?」
「あちらのテーブル席をお使い下さい」
「15番テーブル5名様入られま〜す」
「はい。お会計ですね」
「3500円頂きます」
「1万円からでよろしいですか?」
「6500円のお返しになります。お確かめ下さい」
「ありがとうございます。またお越し下さいませ~」
店に、元気いっぱい胸いっぱいの声が響く。
その声は、働いている皆にも元気を分け与えてくれる。
彼女の存在はバイト仲間にとってもかなり大きい存在だと、改めて思ったんだ。
閉店時間になり
皆が片付けに入る頃、彼女が彼氏と話をしているのが見えた。
その頃の僕は、気持ちの整理を済ませていて
2人の幸せを”応援しよう”という気持ちになっていた。
僕は、楽しく話している2人の姿に安心し、先に店を出た。
1人で帰宅する途中、懐かしの公園に寄り道をした。
暗い闇を鈍い光で照らす街灯・・・
街灯を見ると、あの時の笑顔と涙が甦る。
でも・・・今となっては、いい思い出。
だから・・・
♪ぴぴぴぴぴ
ポケットに入れていたポケベルが鳴る。
10105(いまどこ?)
アキトからのベルだ。
とりあえず返事を送ろうと、公園の電話ボックスに入る。
あれ?公園って・・・どう打つんだ?
しばらく悩んだ結果
5-02164(こーえんにいるよ)
なんだか無理矢理だけども、この暗号が理解出来ていた事は今でも不思議と思う。
公園のベンチに座って10分が過ぎようとした時
自転車のライトの光が、段々と近づいて来てるのがわかった。
「おーい」 「お疲れ~」
「お疲れ、よくここがわかったね」
「んー、5-0が難しかったが、アイツが理解した」
「さすがっしょ?ヒロも褒めていいよ~」
「はは、調子にのんなって」
「あ~、のってくれてもいいじゃない」
僕の突っ込みに少々不満気味の彼女。
「ほれほれ、こういう時に慰めてあげるのが彼氏だろ?」
僕は冗談でアキトにネタを振ってみた。
「いや。こういうのは得意じゃない」
彼はボケでも突っ込みでもない。いたって平凡な性格
きっと3人の中では”1番まとも”な人間である。
いや、彼女と僕は”ボケとツッコミ”という仲なのだろう。
「で、僕に何か用?」
話の軌道を元に戻した。
「ヒロ。約束・・・覚えてるよね?」
「花火の事だろ?覚えてるけど?」
「なら今からでもいいか?」
「え?あ~でも、花火まだ用意してないんだけど?」
予想通りの展開で2人は笑っている。
「ふふふ。そんな事だと思ってね」
彼女が自転車に向かって歩き出す。
「ヒロには色々と世話になったし・・・」
話の途中で彼女に聞こえないように僕に
「同じ人を好きになって悪かった」
彼なりの思いやり
不器用な言葉だけども、心に響く物があった。
「いや、彼女にはお前がお似合いだ」
「サンキューな」
「どんな形でも、僕とアキトは友達だ」
「違うよ」
気が付けば彼女が戻って来ていた。
「え?何で?」
「話・・・聞いてたのか?」
少し動揺を見せる2人
「聞いてたよ。ヒロとアキトが友達だってとこから」
「「え・・・そうなんだ」」
どうやら2人だけしか知らない事は聞かれずに済んだみたいだ
「なんで違うって言ったんだい?」
僕は再度、彼女に聞いてみた。
「だから~私をのけものにしないで」
あ、なるほど
「ごめん。しよとアキトは恋人同士だしな。僕はひっそりと2人を見守るよ」
「なんか・・・やけになったか?」
「じゃなくて、私は3人で楽しくしたいの。そりゃアキトとはこうなったけどさ・・・」
軽く照れる彼女。ま~これもいつもの流れだ。
しよが言いたい事はわかってる。でもこの先はこのままってのも・・・な。
「ははは、どんな事があったって・・・僕達は・・・」
「僕達は?」「ほへ?」
続きの言葉を待つ2人の前に立ち、僕は真面目な声で・・・
「友達でいてもいいのかな?僕はこの先・・・邪魔にならないかな?」
ひと時の静寂。
お互いの顔が向き合う2人。そして軽く笑って僕に振り向き
「当たり前だろ」「ヒロは私らの大切な人なの」
あっさり否定。
僕の投げた問いは見事に、場外へ飛んで行く程の爽快さで、答えを打ち返された。
それはとても気持ちが晴れる気分。
心の中で2人に感謝して、僕は今度こそ迷いなくこのセリフが言えると思ったんだ。
「なら、どんな事があったって僕達は友達だ」
「ああ」「うん」
夜の公園を鈍い光で照らす街灯・・・
街灯を見ると、あの時の笑顔と涙が甦る。
でも・・・今となっては、いい思い出。
そして・・・もう1つ・・・新たな思い出が刻まれる。
「じゃ~ん。花火持ってきました~」
「お~ありがたいです」
「では、やりますか」
花火の火が明るく公園の姿を映し出す
それと同時に僕らの表情も明るさを増す
「公園で花火ってのもいいね」
「夜だから貸切だな」
「私、今年は花火初めてなんだよ」
「確かにそだね。勉強してたしな」
「ヒロに感謝しとけよ」
「そだね、ありがとね」
「いや、肝心の花火は僕は用意してなかったから」
「でも、きっかけは作ってくれたしな」
「そうそう」
「・・・・・そか。じゃ、思いっきり楽しもうよ」
「ああ」
「お~」
時間が経つにつれて、残りの花火も少なくなってきた。
そして、最後に残った花火・・・それは線香花火だったんだ。
地味な花火だが、なんだかコレが夏らしいと思った。
「私はアキトも好きだけどヒロも好き」
「だってよ。二股賭けしてるぜ?」
「バ〜カ。もっと危機感を持てって」
「え・・・マジ?」
「ははは」
「僕は友達としてって事だよね?」
「・・・うん。がっかりした?」
「さ~どうだろ。でも、嬉しいかな」
「あー友達としてね」
「アキトはもう少し面白くなってね」
「な、何で?」
「う~む、ボケたアキトなんて想像がつかないが」
「そこのギャップがいいと思わない?」
ちょうど彼女の会話でアキトの花火の火が落ちた。
「まさにいいオチだったな」
「ははは~うまいね~ヒロ」
「俺は何もしてないやん」
「ま、これから彼女と長い付き合いになるんだし、彼女が喜ぶいい男になってやれ」
「そうそう・・・って私ネタはやめい」
残り3本になった線香花火
「ね、最後はみんなで」
「そだな」
「わかった」
横に並んだ3人
ゆっくりと線香花火に火が灯る
弱々しい火を消さないように
ゆっくりと互いの手が触れる所まで花火を持ってゆく
3本並んだ線香花火
「これからもよろしくね」
「よろしくな」
「よろしく」
夏の終わりと共に僕の恋も終わる。
でも、どんな形でも、僕とアキトとしよの関係は変わらない。
そして、遠くに行った彼女との関係も・・・みんな僕の大切な仲間
そりゃたまには上手く行かない時もある。
失うモノがあれば手にするモノのある
俺もヒロもしよも、たまにはぶつかり合うだろう
でもね。それも大事な事だと思うの。
この先、私達はどうなるのかわからないけれど
今と言う時間を大切にして・・・
ーこれからも共に笑って行こうー
~ Re:member 2nd season END ~
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