Re:member 2nd Summer Days02
さっきまで右手で持っていたコードレス電話を
充電器の上に置いた頃
時計の針は午前0時を指していた。
日付が変わり、新たな1日の始まり・・・
そして、僕達も・・・
~ Re:member 2nd Summer Days02 ~
-他の人を好きになっても友達でいてくれますか-
彼女が僕に伝えたかった言葉
そして、僕が彼女に伝えたかった言葉でもあった。
10分前・・・。
「まだ、返事はしてないの」
「確認だけど、その子が嫌いなのかい?」
「そうじゃないけど・・・きっと、貴方と同じ状況だよ?」
相変わらず僕と似てて・・・まったく、彼女には敵わないや
「だから・・・ヒロくんと、どうしても話したかった」
「大体の状況は理解できた。しのは僕に気を遣ってくれてる?」
「うーん・・・ヒロくんは今でも大切な人だよ」
「それはこっちも同じ。でも・・・」
-変わって行くんだ・・・お互い-
「でも、君が幸せになるのは僕の望みでもある」
「・・・うん、ありがと」
「僕の事は気にしなくていいから、自分に素直になりな」
「ヒロくんは・・・幸せになれそう?」
「さぁどうだろ?でも、しのと話し出来たおかげで前に進めそうだ」
「いい人、見つけたのね?」
「察しのとうりです。でも、僕じゃダメだな・・・きっと」
「そんな事ないって。私にはちゃんと言えたでしょ?」
う・・・しの様の一言で、昔の記憶が甦る。
(君が好きだ・・・付き合ってほしい・・・)
「あ~あ~電波悪くてキコエナ~イ」
僕の動揺混じりの声に彼女は笑った。
「ヒロくんなら大丈夫。私が保証しますよー」
「あ、ありがとう」
「・・・あ。ごめんなさい。もうこんな時間なんだね」
「別にいいって、電話くれてほんと嬉しかったから」
「私も久しぶりにお話し出来てよかった。また掛けてもいい?」
「うん。いつでもいいよ。悩み事あれば相談にも乗るしね」
「ありがと」
「彼氏候補にしっかり返事しなさいね」
「うん・・・・・あっ」
彼女が何か言いかけて途惑っている。
「・・・自分に素直にね」
その言葉で彼女は決心し、最後に僕にこう言ったんだ。
「他の人を好きになっても友達でいてくれますか?」
そんなの、答えは決まっている
「もちろん、僕からお願いしたいくらいさ」
ついさっきまでの出来事を頭の中で整理し、眠りにつく
・・・変わって行くのは僕だけじゃない
・・・彼女も前に進もうとしている
・・・僕も前に進まなくちゃ・・・
それから数日が過ぎたある日の事
日曜のバイトは忙しい。
飲食業界では当たり前の事みたいだけども
体にくる疲労もいつもより多く感じる日なのである。
閉店時刻を30分オーバーし、やっと客が居なくなった時から
バイト仲間の帰宅合戦が幕を開ける・・・
「醤油しまって」 「割り箸ないよ」 「ベルト止めて」 「皿持ってきて」
「ゴミまとめて」 「在庫確認」 「ガス閉めた?」 「ラップかけて」「テーブル拭いて」
「残りのすしはみんなで食べよう」「レジ大丈夫?」 「鍵閉め忘れない?」
「タイムカード押すよ」「店の電気切った?」 「はい、お疲れ様」
一種の祭りのようだが、皆、早く帰宅したい気持ちは理解できる。
だが、バイトは早く終わっても、早く帰りたがらない人達もいる・・・
それが僕達3人。
「まだ時間あるよ~今日は何処行く?」
「コンビニでアイス買いたいんだが」
「なら近くにコンビニあるからそこにしない?」
「「OK」」
アキトとしよの声がハモる
そして僕達はコンビニでアイスを買い、いつものように楽しく会話をしながら過ごした。
ーいい人が見つかればー
もう・・・見つけてるんだ。
「これ美味しいよ」
僕の隣でアイスを食べる彼女。
冷静にしているつもりではあるが、内心はすごくドキドキしている。
楽しそうにしている彼女を横目で観察
その向こう側にも彼女に視線を送る人物があった。
アキトである。
彼もまた僕と同じで彼女を観察していたのだ。
その視線にようやく気づいたようで
「ん?どうしたぁ?そんなにほしいのかい?」
どうやら僕達の視線はアイスに向けられてると勘違いしたみたい
「いや、しよを観てたんだがな」
あまりにもストレートな意見
「僕もそうだよ。しよを観察ってね」
悪ノリで僕もストレートに言ってみた。
「あら~私なんか見てもつまらないよ?」
そう言いつつも、少し照れて視線を下に落とした。
その姿も・・・かわいいと心の中で思った・・・
アイスも食べ終わり、話も区切りをつけ、彼女は家に帰宅して行く。
残された僕とアキトも、家に帰ろうとしていた・・・はずだった。
「この前さ、気になる子の話をしただろ?、覚えてるか?」
「うん、太陽の子だね?」
「ああ、やっぱ俺。その子の事が好きだ」
「そうなんだ、なら告白する気になったとか?」
「・・・そう思ってる」
彼はどうやら覚悟を決めたらしい。
「おお!!すげぇ」
「ヒロは告白しないのか?向日葵の子に」
その言葉に僕は心が揺らぐ・・・
さっきまでいた子にすぐ告白だなんて・・・
「僕は・・・まだ、出来ない・・・」
でも、本当は・・・
「そうなんだ。一緒に告白出来たならよかったのにな」
「一緒に?って今からここにその子を呼び出すのか?」
「あ、いや。呼ばなくともここにはコレがあるだろ?」
そう言って彼が指差した物。それは、公衆電話であった。
「もしかして、電話で告白するん?」
「ああ。だからヒロも、告白できるならしてほしかった」
「なるほど。で、アキトの告白する子って誰?」
この何気ない質問が・・・曖昧だった想いを鮮明にさせる。
そう。僕達の関係の終わり・・・いや、新たな始まりなのかもしれない
「それは・・・”しよ”さ」
「・・・マジ・・・か?」
「ん?・・・マジだ」
アキトが想う太陽の子と僕の想う向日葵の子は"同一人物"
つまり"しよ"だと、この時・・・僕は知ってしまった。
「そ、そ、そうなん・・・だ」
「どうしたんだ?そんなに意外だったのか?」
意外?
そんな言葉じゃない、僕にしてみれば”衝撃”だ
「告白・・・するんだよね?」
「・・・もう決めたしな」
もう、後戻りはしないみたいだ。
「ヒロの告白したい人って誰?」
この状況で言ってしまえば、告白はされずに済むのか?
・・・言えるわけ・・・ないだろ・・・あいつは本気だ
僕も本気だが、今更言ったとしても・・・アキトは・・・
「ま、そのうちな。それより告白するって決めたんだろ?」
「告白はするが、今度ちゃんと教えてくれよな?」
「ああ・・・お前が上手く行けばな・・・」
アキトが公衆電話に向う。
僕は背を向け夜空を見上げる。何故か視界がぼやけて見えた・・・
・・・・・
・・・
・
きっかけは"海"
無邪気に笑う君の笑顔が、まるで・・・太陽のように眩しかったんだ。
それから数日、俺は少しずつ彼女を意識するようになって行った。
友達としては十分過ぎる程の付き合いはして来ている。
だから、今日告白して・・・関係(友達)が崩れた(白紙になった)としても
俺は後悔したくない・・・そう思っていた。
公衆電話まであと数歩。俺は後ろを振り返る。背を向けたヒロが近くでいるのを確認する。
本当は今日、一緒に告白したかった。
上手く行けば、同時に彼女が出来たかもしれないから。
でも、アイツはまだ先に進めないみたいだ・・・だから・・・
兄として俺は、どうしても"この告白を成功させなければならない"
そして"次はヒロを応援するんだ"
頭の中でどう口説こうか考える・・・よし!
俺は公衆電話に受話器を取り、彼女に電話を掛けた。
「はろ~」
おっと、予想を超える第一声が耳に響いた。
「あ、えーと、その声はしよで間違いないな?」
「ん?そうだよ?さっきぶりだね~しかも初電話おめでとう」
そうだった。
俺はベルではよく連絡するんだけど、直接話すのは今回が初めてだったんだ。
「ああ。ありがとう。時間大丈夫?」
「え?大丈夫だけど~どうしたの?あ、もしかして私に会いたくなったとか?」
「・・・そうだな。でも、真剣な話をしたいんだ。少しだけ"本当の君"でいてくれないか?」
その言葉を聞き入れ、しばし沈黙の時が流れる・・・
「わかった"アキトくん"・・・・・」
俺は彼女に告白をする
「返事は・・・どうしても今な・・の?」
「ああ。すまなが頼む。いや、お願いします」
そして彼女は・・・答えを出す・・・
・・・・・
・・・
・
アキトとヒロと別れて家に帰った私。
今も君達は家に向かって帰ってるのだと思ってたのだけど
♪ぷるるる~ ♪ぷるるる~
電話のベルが鳴りだした。この時間に掛けてくる相手は大体決まってる。
自称姉である。
「はろ~」
「あ、えーと、その声はしよで間違いないな?」
あらら~違ったみたい。電話の主はアキトだったの。
「ん?そうだよ?さっきぶりだね~しかも初電話おめでとう」
「ああ。ありがとう。時間大丈夫?」
「え?大丈夫だけど~どうしたの?あ、もしかして私に会いたくなったとか?」
私は悪ノリでボケてみたのだけど・・・
「・・・そうだな。でも、真剣な話をしたいんだ。少しだけ"本当の君"でいてくれないか?」
さすがにこの声のトーンなら私でも理解出来る・・・
「わかった"アキトくん"どうしたの?」
私も真剣に話を聞こうと思い、ハイテンションを脱ぎ捨てた。
そして、彼は私に告白して来たの・・・
「あの・・さ。本気なんだよ・・ね?冗談では・・」
「本気なんだ。付き合ってくれないか?」
まさかとは思ってたけれど、いや、ほんとはこうなる事は予想していたの。
でもね、ただ私は、みんなと楽しく過ごしていれれば・・・ん?
「ね?そこにヒロいないの?」
「え?・・・ヒロには先に帰ってもらったんだ(悪いヒロ。嘘をついてしまった事は後で謝るな)」
「・・・そぅ・・なの」
ど、どうしよう?告白ってこんな感じで突然なの?しかも電話なの?
なんか頭の中が軽く混乱しているのです・・・
そんな中、彼からの更なる追い打ちが私に迫って来ました。
「返事を今くれないか?」
え?ええぇぇぇぇぇ!?
「返事は・・・どうしても今な・・の?」
「ああ。すまなが頼む。いや、お願いします」
どうしたらいい?
とりあえず落ち着け私。・・・そう。少し冷静に・・・
私は彼の事を考える。
私にとって彼は、いい友達であり自称兄と思い、恋愛の対象とは見ていなくて
これからもこの調子で過ごせたら楽しいなって思ってる。
・・・・・・・嘘。
だたの言いわけだよね。
ほんとはこうなる事は予想していたって思ってたって事は
私も"少なからず期待していた"のかもしれない。
でも・・・
それはどっち?
あの胸の揺らぎは誰のモノだったの?
今ここで答えをしてしまって"私達の関係はどうなるの?"
そう考えると・・・急に怖くなってきた。
「あ、あの・・・アキト」
「ん?なんだ?」
「私の事は本気で想ってくれてる・・の?」
「ああ。しよは俺の事を恋愛対象としては見れないか?」
もう1度、頭の中を整理する。
彼といる時は楽しい。自然な感覚でいられる。だから嫌いではないの
そう。嫌いじゃないの・・・ただ・・・どうしても納得するには時間が足りない。
なぜ返事を急がされてるのかも疑問だけど
それよりも私は、1つだけ大切なモノを失いたくないから・・・
「お願いがあります。これだけは私も譲れないんで」
私は本気で彼に伝えた事。それは・・・
「付き合っても、3人の関係は・・・どうか守ってくれますか?」
・・・・・
・・・
・
あれからどれくらいの時間が流れたのか?
たった数分の短い時間も、僕にとっては長く感じていた。
彼はまだ話をしているようだ。
告白が上手く行けば・・・きっと僕達の関係も終わりかな?
そう考えると更に悲しい気分になって来たけど
決してアキトを責めはしない。
だって。僕がただ情けなかっただけなのだから・・・
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