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Re:member  作者: 五流工房
高校2年編
19/53

Re:member 2nd hiro's side02

時は少々遡り、"間接キス未遂事件"から数日が過ぎた頃


バイトの時間までの暇つぶしにと思い、いつもの公園に立ち寄った。

この場所は何故だか居心地がいい。

静かだし、人もいないし、のんびりできる。

僕は日陰ができているベンチに座っていつものように空を見上げた。


そういや、前に偶然あの子に会ったな・・・

あ、家が近所だって言ってたな・・・

まさか、今日も現れないだろうな?

あれ?

なんでこんな事考えるんだ?


「何かお悩み事かね?少年」

誰かが僕の背中に問いかける

「いえ、ただの考え事です」

背中にいる主には振り返らず答える

「ねぇ、隣り座るよ?いい?」

「いや、もうすぐバイトなので席を譲りますよ」

僕は後ろを振り向く事無く、すぐに立ち上がろうとした瞬間

「まだ1時間も時間あるんだから少しは話相手になってよね!」

その言葉に僕は反応してしまい、慌てて振り向いた。

そこにいた人物の名は・・・


「お約束の反応さんきゅ~。悩める救世主しよちゃんだよ」

毎度の事ながら元気いっぱい以下略。


「突然キャラなんか?」

「ま~そう言いなさんな。ヒロの方こそここに来過ぎなんだって」

「なんでそんな事がわかるのさ?」

「ふふふ。だってバイトに行く時には必ずここを通るからね~」

「そうなんだ」

「ね~隣り座るけどいいよね?」

「・・・ああ。ご自由に」


彼女が僕の隣に静かに座る。忘れていた感覚がまた甦る。


・・・・・

・・・


今日はなんだか蒸し暑い。

じめじめした梅雨はすっかり明けて、季節は夏本番を迎えようとしていた・・・


静まり返った部屋の中。時計の針は深夜2時を指していた。

暑さと考え事のおかげで、ぜんぜん寝付けないでいた。


薄暗闇の中で見つけた2つ折のメモ用紙

窓辺に向い、両手でそっと開くと

月の光が微かに文字を照らした。


-いつでも連絡していいから-


残念な事に、今の連絡先はわからない。

そう、これは過去の連絡先なのだ。

しかし、彼女とはまだ繋がっているのもがある。

それは・・・もう1つのメモ用紙


『離れてるけど・・・私の事』

「忘れてないさ」


ああ、君を忘れるもんか。


「向こうの生活にはもう慣れたのかな?」


月明かりを眺め、遠くの君に問いかける。



~ Re:member 2nd hiro's side02 ~



「ね~ポケベル持ってる?」


僕は、バイト仲間達に”ほんとに持っているか?”って事が知りたくて聞いてみた。

結果は、8割ぐらいの人が持っている事が判明。

その中にあの子も持ってる事がわかったんだ。


「な、みんな持ってるだろ?」

「ああ、そうみたいだな」

「買う決心はついたか?」

「う~ん・・・悩み中」

悩みというフレーズに何故か反応した人物あり

「どうした若人、何を悩んでおる?」

相変わらずの元気いっぱい・・・である

「あ~何も悩んでないから」

僕は話が”ややこしく”なる予感をいち早く予知し

すぐ話を終らそうとしたのだけれど

「あ~、私だけ野獣扱いだぁ」

・・・あの~しよさん。

のけもの扱いを漢字変換しないで下さい・・・

「いや、別にそういうわけでは」

「ポケベルの話さ」


結局、2人の勧誘のおかげで

見事、ポケベルデビューとなりましたとさ・・・



それから3日後の事・・・いつものバイト先にて。


「ヒロ~帰るんでしょ?」

「うん。しよも帰るよね?」

「もちろん。アキトは?」

「あ~今日は用事あるみたいで先に出たんだよ」

「なる。じゃあ先に外で待ってて」

「わかった」

僕は彼女の指示道り外で待っていると・・・

突然ポケベルが鳴り出した。

そこに表示された数字は811002

ん?ナンダコレ?しかも誰からかもわからん

でも、僕が番号を教えた人物は2人しかいない。

その人物は大体わかるよね?

「メッセージ読めた?」

「あ、しよが送ったのか」

「そうだよ、さっき店の公衆電話から送ってやったぜ」

「そか。なんて読むのかな?」

当時のポケベルは数字表示しか出来ず、いわゆる”ポケベル暗号”という読み方で理解していたのである。

慣れたら簡単らしいのだが、初心者の僕はまだ数字の組合せが理解していなかった。

ちなみに、アキトとしよは暗号読みを既にマスターしていた。

「とりあえず答えてみてよ」

彼女は期待の眼差しを僕に向ける。

「う~ん。最後の02はおつと読めるけど8110は4文字?」

「ん~や、ヒントは3文字だよ」

僕は数秒考えていると、僕の目の前に来て

「私らがさっきまでしてた事だよ」

そう言って笑顔を魅せる。


また・・・この感覚だ・・・

でも、おかげで僕は”2つ理解した”


「バイトおつだ」

「よく出来ましたぁ」


1つは暗号読みの答え。そして、もう1つは・・・


「これからも送るから少しずつ慣れてね」

いつものように笑顔を魅せた彼女

「ああ。すぐに追いついて見せますよ先輩」

「その言い方やめい」

僕らはお約束のやり取り(ボケとツッコミ)を交わす。


お互い楽しく会話をして今日が終わる。



なぁ・・・しの。

人は半年でどれだけ”変われる”のだろう?

君も向こうで”変わってしまった”のだろうか?

少しずつだけど・・・変わっていく自分がそこにいる・・・



next → Re:member 2nd Summer Days01

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