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Re:member  作者: 五流工房
高校2年編
16/53

Re:member 2nd hiro's side01

時間が経つのは早いもので

バイトを始めてもう半年が過ぎていた。

仕事にもすっかり慣れ、バイト仲間ともよく話ができる関係になっていた。

その中でも、特に話やすかった人物がこのお方。


「やっほ~、今日も頑張っとるかね~」



~ Re:member 2nd hiro's side01 ~



彼女(しよ)とは同じ歳で、僕がバイトに入ってからよく面倒を見てくれてた人である。


「見ての通りっすわ」

「ふ~む、掃除はOK。倉庫の在庫はどうかな?」

「さっき数えたけど、一緒に見てくれる?」

「仕方ない、見るだけね~」

「あ、いや、やっぱ自分でするよ」

「何でよぉ~在庫数えるのは得意なんだから」

「・・・そう?なら、そっちのデザート類をお願い」

「任せなさい」


2人きりの倉庫

なんだか半年前の事を思い出すなぁ

「ん?どうしたヒロ?」

「あ、いや、少し思い出してただけ」

「思い出すって何をかね?」

「え?僕が入って間もない時の出来事さ」

彼女は少し首を傾げていたが、すぐに気づいたようで

「あ~懐かしいね」

「うん。ここで僕はしよと仲良くなれたのかなってね」

「何それ~。あ、ついでだから言わせてもらうけど、あの時はゴメンね」

「え?何を謝ってるんだい?」

「さ~なんの事かしら~」



数分後。


「これでよし。終わったよ」

彼女は在庫を数え終わると僕の所に駆け足で帰ってきた。

「ありがとね。数は間違ってた?」

「ふふふ。さ~どっちでしょ?」

・・・クイズですか?

「さて、こっちも数え終わったから帰るとしますか」

「あ~、こらこら~ちゃんと答えなさい」

「・・・・間違ってたかな?」

「ざんね~ん。しっかり合ってました」

「・・・・・そぅ」

毎度の事ながら元気いっぱい胸いっぱいの子だ。


彼女はいつも元気で明るく、何よりも面倒見がよい性格

僕みたいな人見知りするタイプとはまったく違っていた。

だけど・・・


彼女は・・・僕の心を引き寄せる”何か”を持っている・・・


「今日は手伝ったから帰りにジュースおごってね」

「最初からおごってほしかったんでしょ?」

鋭い突っ込みに彼女は驚いていた。

「あは。当ったり!でも何で?」

「しよの考えはなんとなく理解できる。素直じゃないんだから」

「あ~。だからあの時、自分でするって言ったのね?」

「ああ。でも、手伝わなくてもおごる気はあったけどね」

「もしかして・・・私、見抜かれてる?」

彼女が僕の顔を覗き込むように見た

その仕草に、僕の心拍数が上がった・・・

それと同時に無意識に彼女の目をまともに見れなくなっていた。


なんなんだ?どうしたんだ?この感覚は・・・



バイト帰り

僕と彼女は自動販売機に寄っていた。

「何がいいかね?」

「う~ん、じゃあこれ」

彼女は僕がおごったジュースを嬉しそうに飲んでいた。

僕はその姿を横目で、そっと見ていた。

「はい。ヒロも飲みな」

そう言って、彼女は右手で持っていたジュースを差し出した。

え・・・

僕はまた心拍数が上がった。

「い、いいよ。しよが全部飲んで」

明らかに動揺しているのがバレバレな口調になっていた。

「・・・もしかして苦手?」

「な、何が?」

「私の事が・・・」

そう言って彼女は少し表情を曇らせてしまった。


さっきから何なんだ??

この感覚・・・どこか懐かしい・・・でも

今は彼女の誤解を解くのが先だ。


「ち、違うんだ。しよが苦手じゃなくて・・・」

「・・・じゃ~何?」

「だから、苦手なのはジュースの方だよ」

「え?ヒロはコーヒー苦手だったの?」

「う、うん。だからしよが全部飲んでいいから」

「そっか、なら次はコーヒー以外を選ばなきゃダメだね」

表情が明るくなり、なんとかその場を誤魔化せた。


それから数分、自動販売機の前で話をして彼女とは別れた。


はぁ。嘘をついてしまった・・・

苦手なのは、コーヒーではなく”彼女がした行動”

でも、彼女の事は決して苦手なのではない。

ただ、女の子の飲んでる飲み物を飲むって行為が、僕には出来なかっただけなんだ。


まだまだ子供だな・・・



next → Re:member 2nd shiyo's side

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