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Re:member  作者: 五流工房
高校1年編
13/53

Re:member hiro & shino story02

「さすがにこの時間は人いないね」

「そだね、しかも田舎だしね」

「確かに田舎だね、時間大丈夫?」

「もちろん、君も平気かい?」

「うん、大丈夫だよ」


さぁ・・・自分に自信をもって


「あのさ、初めて会った時の事・・・覚えてる?」

「え?あ、うん。君が初めてバイト入って、店長にわさび寿司を食べさせられたんだよね」

「そう。あの時はかなりきつかったんだよ。でも、そんな僕に真っ先に水を持って来てくれたのは、しのだったね」

「そうだね。それが」

「「初めての出会い」」

彼女の言葉に僕の言葉が重なる。

「「ははは」」

偶然にも同じ言葉が重なり、ハモった事に思わず笑ってしまった。


さぁ・・・勇気をもって1歩踏み出せ


「バイトで・・・最初の女友達だったんだよ」

「え、私が?」

「・・・うん。あの時に水を持って来てくれたから話すきっかけになったし、歳も同じだったからさ、話しやすかったのかもね」

「でもガチガチだったね」

「う・・・そうですね」

「やっぱ変わってるね」

「それはお互い様だって」

「なんで私まで一緒なの?ま、認めるけど・・・」


さぁ・・・僕が彼女に想っている事を・・・


「会って数日で君からメモ用紙をくれた時にね」

「うん・・・」

「本当はすごく嬉しかった。すぐにでも連絡したかった・・・でも」

「・・・でも?」

「自分に自信がなかった。中途半端な気持ちでは、しのに失礼だし」

「そっか。だからあの時、わからないって言ったんだね?」

「・・・うん。しのには謝らなきゃいけない」

「え?・・・なんで?」

「僕はしのからくれたチャンスから逃げてた。しのと出会って今日まで僕は、ずっとしのの事を想っていた。あの時にちゃんとこの気持ちを伝えられなくてごめん」


彼女に深々と頭を下げた時、彼女がそっと僕の手を握ってきた。

僕はその行動にかなり驚き、彼女の顔を無意識で見てしまった。

「いいんだよ・・・謝らなくて。ヒロくんが私を想ってくれてた・・・それだけで嬉しいです」


彼女が僕に魅せる最高の笑顔

僕は今の想いを言葉にした・・・


「君が好きだ・・・付き合ってほしい・・・」

突然の告白に彼女が驚く

だが、握った手は離さなかった。

「わ・・たし」

あまり見せた事がない彼女の動揺。

「何?」

「私もあなたが・・・でも・・・あ・・・」

ん?なんだか様子が変だ

僕は何か思い当たる事はないか思い出していた。

・・・・・『私も・・・伝えたい事あるから』

あ、これだ。

「1回、落ち着こう」

「あ・・・うん」


僕の手から彼女の手がほどかれ

彼女は公園の街灯をしばらく見つめていた。

その姿はまるで、言葉を捜しているように見えた。


「あのさ、さっき僕に伝えたい事あるって言ってたよね?」

「うん」

「話してもらっていい?」


数秒の沈黙。そして、街灯を見つめたまま彼女は口を開いた。


「今日でバイト終わっちゃった」

「え、今日だったの?」

「うん・・・」

「そか・・バイトではもう会えないんだ・・」

「違うの。まだ言い残してる事があって・・・」

まだ言い残してる?

彼女はいったい何を伝えたいんだ?

「それは・・・何?」

かなり弱々しく彼女に質問した。

「私・・・大阪に引越す事になったの」

「・・・・・・冗談でしょ?」

彼女はゆっくり首を左右に振った。

「どうして・・・」

その後、何故、大阪に行く事になったのかを僕に詳しく説明し

僕が知らなくてもいい家庭の事情までも話してくれた。


「突然の事で・・・ほんとごめんなさい」

「いや、こればっかりは・・・・・仕方ないよ」

街灯を見つめていた彼女はゆっくりと僕に歩み寄ってきた。

「せっかく・・・せっかく両想いになれたのに・・・ね」


そう言って僕に気を遣って精一杯の笑顔を咲かせた。

しかし、その花からは雫がこぼれ落ちていた・・・



~ Re:member hiro & shino story02 ~



友達以上恋人未満

それが私と彼の最終的な関係です。

私は初めて会ったその日から

貴方(ヒロくん)を好きになっていたのかもしれません。

短い期間でしたが、最後に両想いになれた事・・・忘れません・・・

そして、最後まで迷惑を掛けた事・・・本当にごめんなさい・・・



・・・・・その後・・・・・



別れの日の事です。


彼は最後に私に会いに来てくれました。

たった数分だったけれど

会えた事は嬉しかったです。


「来てくれてありがとう」

「君に渡したい物があったんだ」

「渡したい物?」

「そう。さ、受け取って」


彼女に渡した物

それは”2つ折りのメモ用紙”


「やっぱ変わってるね」

「不器用だからね」

「でも、そこが好きだよ」

「君も変わってるって」

「私も器用じゃないですよ」

「ならお互い様だ」

「会えて・・・逢えてよかった」

「僕もさ・・・メモ用紙大切にしてくれよ」

「うん。・・・・・ねえ、ヒロくん。離れてるけど・・・私の事」

「覚えてるさ。だから・・・」

「私も忘れないよ」


「しの・・・元気でね」

「ヒロくんもね」


僕は彼女を笑顔で見送る。涙は君を辛くさせるから・・・

私は彼に涙で答える。泣き顔じゃなく”笑顔”を咲かせて・・・


「「さよなら。しの(ヒロくん)」」


・・・・・

・・・


僕は時々思い出す。

彼女がいたから僕は変われたと思うし

人を好きになる喜び、悲しみ

どちらも教えてもらったんだと


・・・本当にありがとう



~ Re:member 1st season END ~





















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