Re:member shino's side03
私はまた・・・貴方を困らせる
でも・・・1度だけでいい
罪を許してくれますか?
~ Re:member shino's side03 ~
バイトを辞めるまであと1週間となった夜の事です。
ついに彼から電話が来ました。
内容は、弓道の大会に参加するから見に来てほしいとの事。
もちろん行くと返事はしました。
でも、大会の日は・・・バイトを辞める日
ちゃんと伝えなきゃダメだよね
そして”あの事”も・・・
「でね、私からも話したい事があって・・・」
「うむ、ちゃんと聞きますよ~」
「バイト辞めるの」
「あ、ごめん。なんか聞きづらかったからもう1回」
あれ?伝わらなかった?
この時、私は同じことを言えばよかったの
でもね、何故か電話で伝えるより
彼に会って伝えなきゃと思った・・・
いいえ。それは嘘
ただ私は”ヒロくんとデートがしたかった”
「ほんとに聞こえてない?」
「ごめん。聞こえなかった」
「じゃーお詫びにデートしてね」
「え?」
戸惑い気味で返事をする彼。
でも、強引に日時と場所を決めてしまい
電話を切りました。
デート当日の事です。
かなり強引な約束をしてしまったので
今日は来てくれるか心配でしたが、彼は約束を守ってくれました。
「来てくれたんだね」
「え?来ないと思ってた?酷いなぁ」
「ふふふ。じゃ行きましょ」
私は笑って誤魔化してデート開始。
デートの内容はダイジェストでお届けしますので
それぞれ各自の想像でお楽しみ下さい(笑)
ショッピング中
「この服でいいかな?」
「う〜ん、僕はこっちの方がいいかも」
「え?だってその服は女の子っぽいよ?」
「いやいや、しのは女の子でしょ」
食事中
「でね、しよちゃんに大きくなった?って聞いたら」
「その言い方やめいって?」
「そう。多分口癖なんだよね」
「だよね〜あんまり言うと悪口っぽくなるからやめよっか」
「ふふ。そうだね」
同時刻、某本屋にて
「へっぷち!」
「ん?風邪引いたのか?」
「いや、わっかんない(笑)」
「風邪じゃないなら噂かもな。さ、バイト行くか」
「うむ、行こう」
再び食事中
「そうそう。 ヒロくんは大きい方がいい?」
「それは・・・ノーコメントで」
「なるほど。やっぱ巨乳いいよねー」
「・・・しのは小柄だから、そのままでもいいと思うよ」
「あー。それはセクハラですよ?ヒロくん」
「ご、ごめんなさい」
「ははは。冗談だよ」
・・・・・
・・・
・
日が沈み、公園の街灯が灯る頃の事です。
「あのね、今日誘ったのはちょっと理由があって・・・実は・・・バイト辞めるんだ」
予想通りの驚いた表情を見せる彼。
「あ、なんで突然って顔だね。でも、もう前から決まってたの。私が言いそびれてただけ」
「あの時・・・だよね?」
私はうなづき話を続けました。
「前にバイトな休みの時に来た事あったでしょ?あの時から・・・もう辞める日が決まったの」
彼は少しがっかりした表情を見せましたが
いつもの明るさで受け止めてくれました。
それから空気を読んでくれて話題を変えてくれました。
「大会の約束は覚えてる?」
「え?あ、うん。覚えてますよ」
「どうにか頑張っていい成績残すから」
「おっ、気合入ってるね~!期待してるからね」
それから色々とお話をしました。
デートが始まった時、彼はかなり緊張した様子だったけれど
今はすっかり貴方のペースに乗せられてるって感じがします。
実は私も緊張してたんですけどね。この事は内緒で(笑)
楽しい時間はあっという間に過ぎて行き
そろそろお別れの時間になりました・・・
「じゃあ今度は日曜に会おうね」
「え?バイトで会えるんじゃないの?」
「大会近いから店長が休みにしてくれたみたいで」
「・・・そうなんだ。しっかり練習しなさいよ」
「うん。今日は楽しかったよ」
「私も。無理矢理誘ってごめんね」
「いやいや、謝る事はないさ。素直に嬉しかったです」
「じゃーまたね」
そう言って私は彼と別れました。
今日の出来事を思い返しながら家に向かう私。
素直にデート出来て嬉しかったなぁ
でも何か言い忘れてない?
バイト辞める事は伝えたよね?
辞める日が大会の・・・あ!
その日がバイト最後とは伝えてない!
ん?伝える?
この時、私は本当に浮かれてて・・・肝心な事を伝え忘れていたのです。
でもバイトで会った時に話せばいいよね?
なんて考えてたのですが、どうやらその機会も無いのだと
知るのは早かったです。
「どうしよう・・・引越しの話・・・」
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