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Re:member  作者: 五流工房
高校1年編
10/53

Re:member hiro's side03

「弓道の大会?」

「うん。もしよかったから見に来てもらえないかな?」

「うーん、いいよ。いつあるの?」

「来週の日曜なんだ。朝からバイトあったりする?」

「来週!?・・・いや、夜からだから大丈夫だよ」

「そうかぁ。僕もバイト夜からだから大会終わったらバイトだよ」

「部活もバイトも大変だね」

「これくらい平気さ。なら来週の日曜、約束だよ」

「はい・・・でね」



~ Re:member hiro's side03 ~



友達始まり(あの一件)により

何となく仲もよくなった僕としの。

大会3日前

アキトの助言で大会に誘う事にした僕は

彼女に初めて電話を掛けていた。

僕の要件を伝え終えた後

彼女の一言で僕は、初めてデートをする事になる。

何故、そうなったかと言うと・・・


「でね、私からも話したい事があって・・・」

「うむ、ちゃんと聞きますよ~」

「バイト・・・るの」

はい?今なんて?

「あ、ごめん。なんか聞きづらかったからもう1回」

「・・・ううん、なんでもないの」

「僕に話したい事はなんでもない話?」

「え?あ、そうじゃなくて・・・ほんとに聞こえてないの?」

「ごめん。マジで聞こえなかった」

「別に謝る事はないんだけどなぁ」

彼女が受話器ごしに笑った。

それにつられて僕も笑っていた。

「ほんとに変わってるね」

「ああ、本人も認めるくらいですから」

「私も変わってるって知ってた?」

いきなり私も変わり者宣言!!

「ま~なんとなく、いや、元々変わってるよね」

「その返事は酷くない?」

「冗談だよ、気に病むなら謝るよ?」

「じゃーお詫びにデートしてね」

・・・・・はぃ!?

と、こんな感じである。


さすがに冗談だろうと思い、聞き返そうとしたら

彼女は日時と場所を指定され、気がつけば約束を交わしてしまったのだった。

なるほど、確かに変わっている。



デート当日


部活を終えて待ち合わせ場所に来た僕

この日はお互いバイトは休みであった。


待ち合わせ時刻ピッタリにやってきた彼女は優しく微笑み

「来てくれたんだね」

と、何か安心したような表情を見せたんだ。


それから僕と彼女は、買物→食事→公園の順に

緊張しっぱなしの僕と楽しく振舞ってくれる彼女。

いつもの僕なら周りの目が気になる所だけども

今回ばかりは周りを気にする余裕もないみたいだ。

でも、彼女をがっかりさせるつもりはなく、僕は僕なりに

どうにか彼女に楽しんでもらおうと努力した。

うん・・・きっと・・・


日が沈み、公園の街灯が灯る頃

彼女はそっと僕に語り始めた。


「あのね、今日誘ったのはちょっと理由があって・・・」

僕は静かにうなづいて話の続きを待った。

「実は・・・バイト辞めるんだ」

え?なんで急に!?

「あ、なんで突然って顔だね。でも、もう前から決まってたの。私が言いそびれてただけ」

あ・・・あの時か・・・

僕は思い当たる節があった。

「前にバイト休みの時に来た事あったでしょ?あの時から・・・もう辞める日が決まったの」

そうなんだ。

もう”バイト”では会えないんだな・・・


なんか空気が重く感じてきた・・・話題を変えた方がいいよな?


「大会の約束は覚えてる?」

「え?あ、うん。覚えてますよ」

「どうにか頑張っていい成績残すから」

「おっ、気合入ってるね~!期待してるからね」

「う~ん・・・期待されたら困るなぁ」

「何それー」

彼女の顔に笑顔が戻ってきた。

僕もつられて笑顔になる。


こんな時間を僕は初めて”幸せ”と感じるようになっていた。


2人の時間は続く・・・

でも楽しい時間はあっという間に過ぎ去り


「じゃあ今度は日曜に会おうね」

「え?バイトで会えるんじゃないの?」

「大会近いから店長が休みにしてくれたみたいで」

「・・・そうなんだ。しっかり練習しなさいよ」

「うん。今日は楽しかったよ」

「私も。無理矢理誘ってごめんね」

「いやいや、謝る事はないさ。素直に嬉しかったです」


「じゃーまたね」


彼女が僕に手を振り、僕もそれに答えるかのように

彼女にずっと手を振っていた。

そう、ずっと・・・

僕は彼女の姿が見えなくなるまで手を振っていたんだ・・・



next → Re:member shino's side03

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