表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(非公開)神書庫の白い本  作者: 空の宙
〜第1章〜記憶のない少女
7/7

6、メイド怖い、だがそこも可愛い!

「んで、少し聞きたいんだが」

「ん?なに?」


城に向かって歩いている最中、星矢がほんの少しほど聞いていいのか悩んだ後に、キトラに質問を投げかける。その言葉にキトラが最初と変わらずの笑顔で振り返る。


「この村って、どう見ても「村」の規模じゃないよな?」


そう、空達はもうかれこれ十分は歩いている。なのに、視界には入っている城にはなかなかたどり着けない。

そして何より、


「俺の知ってる村ってのは、もっと民家も少なくて、こんな住宅が密集してる上に、だいぶ遠くの方に森が見えた挙句、その後ろに高い巨壁なんてなかったと思うんだが」


明らかに、村と呼べる面積を越している気がしていた。


この村は、歩いて周りを一々見回していて分かったが、城から中間の距離ほどのところに住宅地が密集し、一番遠いところでは農家の様な畑が多くある。

そして、その周りには村を囲む様に悠然と並ぶ木々が森を作り、その上更に、石でできた様な高さ約20m位の巨壁、という程の大きさではないが、村という文字には似合わないものが建っていた。


つまり、明らかに村とは思えない異様な光景だった。

そんな風にして、道を歩いて軽く度肝を抜かれた空達を、キトラは面白そうに笑う。


「いやー、確かにね、そりゃもっともな意見だよ。ほんっと、その通りだよねー」

「いやなんか色々とおかしいだろ」

「村っていうか、国って大きさじゃないけど、でも村ではないよね?」

「雰囲気も、周りはほとんど村なのに、真ん中にある城のせいで台無しになってますね」

「あ、あはは・・・」


三人のそれぞれ思ったところを口にすると、フウリもそれは思っていたのか苦笑いした。


「本当に、なしてこの村って『村』なんやろなぁ?」

「え?知らないの?自分達の村なのに?」


空はユメカの発言に驚いた。まさか住んでいる本人の口から知らないと言われるとは思ってもいなかったからだ。


「まあ、そりゃね、僕らはこの村に最初からいたわけじゃないしねー」

「ああ、だから獣人の子供がいるのにあなた方は普通の人間だったのですか。納得です」

「たった一言でそこまで納得するんですか?!」


キトラの一言で全てを理解した輝夜に、フウリはありえないものを見るかのように驚いた。


「おいフウリ、こいつはいつもこんな感じだ。気にしたら負けるぞ」

「え、何にですか?!」

「何かにだよ!」

「えー・・・」


適当な事を言う二人にフウリはまだまだついていけないようである。

そして、輝夜がふと顔を上げると、あるものが目に入った。


「あの、あれは何ですか?」

「ん?あーあれ?」


キトラが輝夜の視線の先を見ると、この村に入った時から少し見えていた空中に浮く赤紫の水晶玉のようなものがあった。

それは、村の中に5個あり、全て空中に何もない状態で浮いていた。


「あれはこの村を守るための結界装置、かな。魔力結界装置さ」

「割とよくあるもんやけど、見た事ないんか?」

「いや、見たことも何も、この世界初めてなんだから知らないんだが」

「「・・・え?」」


星矢の発言に、キトラとユメカは足を止めた。

そして二人いっぺんにフウリを睨むかのようにニッコリと笑いながら視線を向ける。そしてその視線を目を泳がしながら避けるフウリ。


「ねえ、フウリ」

「は、はい、何でしょうか?」

「うちらそれ知らないんやけど、どう言うことや?」

「え、えーとですね」


事情説明中・・・


「つまり、この三人は突然空から降ってきた挙句に、池から上がった後に君と偶然会ったと」

「結論、完全にこの世界の非住民やな」

「んでー?なんでそれ先に言わなかったのかなー?」

「え、えっとー」


フウリは汗を背中にダラダラさせながら逃げるように後退していく。まるで蛇に睨まれたカエル状態だ。

そんなフウリをみて空は同情するように声をかけた。


「まあまあ、フウリ君は言うの忘れてただけなんだからさ?許してあげたらどうかな?なんか不都合があるんならこっちが出てけばいいだけなんだからさ」

「はあ、まったく・・・」

「うう、ご、ごめんなさいー」


ずっとおどおどと逃げるフウリを見て、キトラは埒があかないと思ったのか目線を空たちの方に逸らした。それを見て、フウリは一応見逃されたことにホッとした。


「別にいいよ、とっちにしろ部外者を入れているのに変わりないんだからさ」

「そ、そう?一応受け入れてもらえたんならよかったよ」


空は相変わらず部外者呼ばわりされるのを仕方なく思いながらも、冷たい態度にちょっとがっかりしながら、一応は了承をもらえたことを安心する。


「まあ、何にせよ、彼女が受け入れるかどうかによって君達の生存は確定するだろうけどね」

「え?!最悪死ぬってこと?!なにそのメイド?!」

「戦闘能力も兼ねそろえた万能メイドか。人家庭に一人いると便利だな、護衛も家事もできて」

「どこの便利グッズですか・・・」


突然おっかないことを言いだすキトラに心底ビックリする空。まさか、そこまでヤバイメイドとは思ってはいなかったのである。


「戦闘能力、というかねー、色々と特殊なんだよ、彼女は」

「あれはある意味卑怯な気もするんやけどな」

「ああ、昔のある時をちょっと思い出しました・・・」

「ちょ、フウリ君大丈夫?!なんか突然カタカタし始めたけど?!」


フウリはそのメイドに昔何かをされたのか、それを思い出して顔を青くした。キトラとユメカは彼女がチートだと言わんばかりに色々と言っている。


「ま、見りゃわかるだろ、俺等は見られる側だがな」

「そうですね、もう着きましたし」


そして、色々と話している間に城の扉の目の前まで来ていた。

下から見るととても立派な城だった。やはりどう見ても村の雰囲気には似合っていなかった。


見た目は白塗りのシンプルな城だが、どこか清楚さを感じさせるまさにファンタジー王道の城で、中から美形の姫や王子が出て来そうな雰囲気である。

その様子にさっきとは打って変わって空は勿論大興奮である。


「うーわーあー!しーろーだー!」

「ガチモンの城だなー、これぞザ、異世界ってな感じの」

「やはり、本物の城は美しいものですね。肉眼で近くで見ると余計に」


三人はそれぞれの感想を交互に言っていた。

そして、そんな三人をスルーしてキトラは扉に近づく。


「んじゃ、入るよー」

「あ、急になんか緊張がー」

「気にすんな、さっさと入れ」

「だ、大丈夫ですよ、・・・多分」

「多分って、それほとんど大丈夫やない気がするんやけど」


ギィー、っと、城独特の重たい扉を開ける音を出して、六人は中に入る。



そしてその途端、目の前に宙に浮く無数の針があった。



「「「・・・・・ホワイ?」」」



三人が、訳が分からないという感じで、身動きの出来ない状態で状況を確認した。


「え?!え?!何これ、え?!」

「針・・・だな、ちょっと細かい模様の刻まれた」

「これ、ただ宙に浮いているだけかと思いましたが、よくよく見ると、どれも細い糸で繋がれてますね、ある一点に向かって」

「二人とも何でそんな冷静なんですかー?!」


星矢と輝夜は、こんな状況になっても冷静に状況を判断していた。

そして、空はやはりパニクった。


「つか、肝心の犯人は何処だし」

「この糸の、中心じゃないですかね」


輝夜は糸の中央を見た。

その瞬間、輝夜の首に太い針が添えられた。



「へぇ〜、アリスのこの仕掛けを見破るなんて、なかなかなのですぅ〜。でも〜、こうすればぁ〜チェックメイトなのですぅ〜」


「そい」

「おっとぅ〜」


輝夜は音も気配もなく背後に浮いていた少女に、手刀を当てようとしたが、また瞬く間に真上へと上がっていた。


「ふむ、全くもって移動方法が分かるのに、どの瞬間にやったのかが分かりませんね」

「いやーおめーの背後取れるやついたんだなー。軽く関心だわ」

「ふぇ?今の一瞬に一体何が起こってたのー?」


あまりの一瞬の技に、空は頭が状況に追いついてなかった。相変わらず二人は平然としていたが。

そして、空たちが針の先を向けられているということは、


「ねえアリス、何で僕らもなの?」


キトラ達も同じ状況になっていた。

ただ、空達よりも、若干針の数が多い気がした。

そして、アリスと呼ばれた少女は、また一瞬にしてキトラ達の斜め上に来てクスクスと不気味な笑みを浮かべながら浮いていた。


「ええ〜?そんなの決まってるじゃないですかぁ〜。部外者なんかを〜この城に入れたからですぅ〜。一体どういう理由ですぅ?今ならぁ〜理由を聞いてあげなくもぉ〜ないのですぅ〜」

「えー、この橋の筵の状況で?」

「アリスの許せる理由だったならぁ〜解いてあげなくもないのですぅ〜」


その少女は、茶髪のユルフワツインテールの頭に、レースのカチューシャを付けて、フワフワの可愛らしいスカートを付けた、完全無欠の、紛う事なきメイドだった。

その姿をちゃんと改めて見た空達は、自分達の状況も忘れて興奮していた。


「メイド!メイドだよ!」

「おう!メイドだな!」

「メイドですね、完全に」


メイドグッジョブ、三人は揃って親指を立てた。

それを宙にいたアリスは、キトラから目線をそらして空達を見た。


「・・・何なのですぅ?このアホそうな人達は〜?」

「多分、そのまんまアホな人達なんだよ」

「そのままのアホやな」

「アホとか言っちゃダメですよ!」

「めっちゃアホアホ言われたらんだけど?!何でだ?!」

「いや、アホなのは間違ってないと思うぞ」


アホを見るような目線を複数個向けられた空は、何故か疑問の声を漏らし、それを星矢にツッコミを入れられる。


そして、アリスはふと空達をまじまじと見ると、今までの笑みを消し、驚愕の顔を浮かべた。


「・・・・・え?う・・そ・・」

「ん?アリスどうかし・・・た」



「ひーめーさーまー!!」



そして突然空に抱きついた。

その時には、糸や針は全て消えていた。


「うわぉ!」


そして、突然のことに空は避けられずに抱きつかれたまま倒れた。

その光景を見て、キトラ達は三人でヒソヒソと話す。


「どーしよっかー」

「やってしもうたな」

「え、えと、どうしましょう」


フウリに関しては、かなりしどろもどろな様子になっていた。

そして、キトラはしばらく顎に手を当てて考えたあと、二人に耳打ちする。


「とりあえずさ・・・・・ゴニョゴニョ」

「・・・え、まあ、それなら問題ないと思いますけど、なんか向こうにはとんだ迷惑な感じになるような・・・?」

「でも、とりあえずはそれで行くしか方法はあらへんな」

「んじゃこの計画で」


ヒソヒソと話したあと、キトラ達が空とアリスを見ると、星矢と輝夜に見下ろされながら床で抱きついて、いや、正確には空が無理矢理抱きつかれていた。


「姫様姫様姫様ー!ひーめーさーまーですぅー!」

「ちょちょちょ!なになになになに?!いきなり何なのこのイベントは?!」

「まさかの通常運転でイベント扱いにしやがったよこいつ」

「現実見て欲しいですね」

「ほんとその通りだな」


はっきりいって、星矢と輝夜からは見放されていた。

そして、ずっとそうなっているのは流石に良くないと思ったのか、フウリが恐る恐る止めに入った。


「あ、あのー、アリスさん?そろそろ放してあげた、ら・・・」

「ひーめーさーまー!」

「可愛いメイドに抱きつかれててあんま状況がわかんないんだけどー!やっふうっ!」

「そいや」

「きゃふんっ」

「ぬわぁ!」

フウリの言葉も全く聞こえていない様子であった。

なので、そろそろ鬱陶しいと思ったのか、星矢が床で抱きつき続けるアリスを足蹴りにして転がした。


蹴られたアリスは宙に可愛らしい声を上げて浮きながら、空中で糸を出して、天井からぶら下がった。

そして、蹴った星矢を呪うかのような形相で睨んだ。


「いきなりなんですぅ?アリスの感動の再会を邪魔する何て、とんだ下等生物ですぅ」

「蹴っただけで酷い言われようだなおい。まあ、一言、結論を言っておくと、こいつはお前の知ってる『姫様』?、じゃない。よって全くもって感動の再会なとではないからな。あと、突然人を下等生物呼ばわりするんじゃないこの変態駄メイド」

「そっちこそ、いきなり駄メイドはどうなんですぅ?」

「事実だからな、仕方ない」


星矢の毒舌はアリスに容赦しなかった。そして、星矢の言い草にますますアリスは不機嫌になる。


「いやあのね?どうしてあたしはこのまま無視されなきゃいけないのかな?」

「黙れ変態ちんちくりん」

「蹴られた挙句酷い言いようだ!」


アリスが蹴られた、つまり、その下に潰されていた空も、同じように蹴られて吹っ飛ばされていた。そして、そのまま床に放置されていた。


「くっ!折角メイドに抱きしめられていたというのに酷いじゃないかぁ!」

「まあ、そんなことは置いといて」

「扱いが雑!」

「一応確認しておくが、お前はあの変態駄メイド知らないよな?」

「ホワイ?」


星矢は未だに睨み続けるアリスの視線を華麗にスルーして、そのアリスを指差しながら空に聞いた。

空は、顔にハテナを浮かべながら、アリスの顔をまじまじと見た。


「んー?いやー知らないよーこんな可愛い子。そもそもこんな可愛いメイド、会ってたら絶対忘れないしー」

「だよなー、お前はこういうことには無駄に記憶力いいからなー」

「・・・・・え?」


空の全くもって覚えがないという発言に、アリスは驚愕の表情を浮かべた。

それを見て、キトラがようやく話に入ってきた。


「いやーごめんねー、どうやら色々とこの駄メイドは勘違いをしてるみたいでさー」

「勘違い?何言ってるで・・・ふぁ?!」


アリスが口を挟もうとした瞬間、空中に閃光が走り、アリスを空中で支えていた糸が焼き切れ、アリスが尻餅をついて床に落ちる。

空達には、一瞬何が起こったのか分からなかった。それほど、一瞬のことであった。


「くっ!いきなり何するです!」

「はいはいー、とりあえず黙ってよーねー」

「確保や」

「はーなーせーでーすー!」

「却下」

「ぐぬぬー!」


キトラは、アリスに身動きをとらせない為に、ユメカにアリスの背後からとらえさせる。そして、アリスはジタバタとぬけだとうとするが、ユメカは見た目によらず力が強いようで、抜け出せずに暴れるだけであった。


「うんまあ、とりあえずこっちのメイドが最初っからやらかしちゃったから、ゆっくり話せる所に行く?」

「まあ、食堂くらいしかないですけどね。そこでなら、お茶も出来ますし」


その提案に空達は顔を見合わせて頷く。


「こっちは別に問題ないよー。むしろ色々と見て見たい!」

「いや早速物件荒らしとかするなよお前?まあ、させないが」

「失礼な!ジロジロ眺めるだけだもん!」

「それはそれで失礼ですがね」


そして、気がつけば七人となっていたメンバーで、城の奥へと向かうのであった。

キャラが・・・めっちゃ多い・・・

会話シーンをなるべく均等にしようとすると・・・神経使うわー

でも、全員必要なんだよねー

そしてもうちょい投稿ペースを上げたい・・・(泣)


1/27

活動報告を更新しました

詳しい説明やらお詫びやらを・・・

(土下座)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ