4、ケモミミ天国は最高ですね!
今回はかなり短めです。
話の区切り的にこんな感じになってしまいました・・・
これからも一話の長さは変わっちゃいます、ご了承ください。
《追紀》
前回、あるセリフの「三年」のところを「五年」に訂正しました。
光が収まり、三人は恐る恐る目を開けてみる。
すると、そこには村があった。先程までどこにも見えていなかった村が、ただ平然とそこにあった。
「うわぁー!本当に村があるよー!一体あの扉ってどうやってここに繋がってたんだろー」
「ほんとだな。普通ならありえねえよな、普通なら」
「まるでここが普通の世界ではないかのように二回言いましたね。まあ、普通ではないことは確実ですが」
入って早々、三人はどうやって村に来れたのかについて個々の意見を述べていた。
そんな三人を見て、フウリは苦笑いしながら見ていた。
「それじゃあ、三人を村の中心の建物に案内しますね」
周りは普通に民家があり、空達のいたところとは違い、石やコンクリートではなく木造の家ばかりであった。その木造の家も異世界独特の雰囲気を放っていた。流石異世界はコンクリートというものはないのだな、としみじみ思う三人であった。
だが、そんな三人の異世界への興味津々だった気持ちは、フウリの足が向かっている方向を見てすぐに断ち切られた。
「あ、あの〜フウリ君?」
「はい?なんですか?」
「もしかして今私達が向かってる中心の建物って・・・」
空は三人が思ったであろうことを代表してフウリに聞いた。そして、見事に予想どうりの答えが返ってきた。
「ああ、この村の城ですよ。この村の中心はあそこなので」
「いやなんで?!」
空が意味不明と言うように叫ぶと、フウリはキョトンと惚けた顔をした。
「いや、三人には城の方に泊まっていただこうかと思ったので」
「いやだからなんで城?!普通の民家はないんですか?!」
空が何故普通の空いてる家の部屋ではなく城なのかということを言うと、フウリは納得したように笑った。
「この村に余ってる家とか宿泊できる施設はないんですよ。昔はあったみたいですけど、今はまだ村の設備も整ってないですし、城くらいしか泊められる場所がないんですよ」
苦笑いしながら答えるその言葉に、星矢は疑問を覚えふしぎそうな顔をした。
「昔はあったって、今はなんでないんだ?」
「それは、その、壊れてしまったので」
「壊れたとは、何か災害でもあったのですか?」
「いえ、災害とかではなく・・・」
言いづらそうに目をそらすフウリを見て、星矢は言いたくない事情を察して、話をそらすように周りを見た。
「にしても、さっきからなんで誰にも会わねーんだよ。ここ普通に村だろ?」
「確かに、誰にも会わないというのは変ですね。誰もここにいないみたいですが」
「ああ、この時間はみんないませんよ。多分個々の仕事をやっているので」
「仕事?働いてるの?」
「いえ、農作業や狩りをしたり、洗濯をしたりなどと自分の担当の仕事をしているんです。仕事、と言えるほどのものではありませんが。僕の場合、今日は外で果実の最終と狩りでしたけどね」
そう言って、果物の入った籠と自分の弓を持ち上げた。だが、それを見て輝夜は疑問を覚えた。
「狩りと言う割には何も動物を取っていませんが、いいんですか?」
「あー、これはただ、その、取れなかったというか取らなかったというか・・・」
途端に目線をそらして口ごもるフウリを見て、空はすかさず直球で聞いた。
「取らなかったって、動物が狩れなかったってこと?」
「うっ」
「あーあれか、可哀想とかいう同情心で狩れなかった的なやつか」
「あうっ」
「なるほどヘタレですか」
「うぐっ」
「二人とも地雷踏んじゃダメでしょ!」
二人に正直なところを指摘され胸を押さえるフウリを見て、空は庇うように二人に言った。
そして、墓穴を掘ったフウリは地面で、ううう、と呻いていた。その背中を慰めるように空は撫でた。
「いやあたしも可愛い動物を殺すとかできないしさ!大丈夫だよ、普通のことだし!」
「でも毎度毎度僕が持って帰らないとみんなは肉を食べることはできないんですよね・・・」
「タンパク源が取れないとは、子供は栄養取らせなきゃダメだろ」
「うう・・・」
「貴方自身が自分の仕事を出来ていないではないですか」
「うぐぅ・・・」
「正論のナイフを刺しすぎだから!可哀想だから!」
ニ対一対一で正論を住宅が並ぶ道の真ん中で言い合っていると、家の間の道から複数の足音が聞こえてきた。
そして四人もそれに気付き、足音のする方を見ると、フウリ以外の三人は目を凝視した。
「あれ、フウリさんが帰ってきてた」
「また動物がいないねー」
「まあ、それがあの人だからしょうがな・・・」
「ケモミミっ子だぁ!!グフッ!」
「やめい」
目の前にやって来た獣の耳と尻尾のついた少年少女に、早速空は興奮して飛びつこうとしたが、すぐさま星矢が殴って止めた。
「何をする!目の前にパラダァイスがあるんだぞ!止めるな!」
「普通会って間もないガキに手をだすかこの変態め」
「いや星矢だってああいうの好きでしょーが!今だって目元がニヤリってしてるぞ!」
「確かに好きではあるが直ぐに手を出そうとする変態と同じにされたくはないな。俺はちゃんと了承を地味に得てからモフる」
「地味ってなんだし!つか結局モフるんじゃないかー!」
「何を言ってるんですかこの二人は・・・」
獣の耳と尻尾を持つ少年少女の前で堂々とモフるなどとアホ発言をする二人と、ツッコミが一人消えてしまったことに輝夜はため息をついた。
そしてフウリは自分に近づいていた子供達の側に行こうとした、が、
「みんなただい・・・」
「「「に、人間だーー!!!」」」
子供達は空達を見て一目散に家の陰に隠れて行ってしまった。
空は「ガーン!」と心の中で思っていることを間抜けにも口に出してショックを受けていた。そして、星矢はその光景を見て納得したように腕を組み、顎に手を当てていた。
「成る程な、先に聞いていたとはいえ、ここまで怯えられるとは思わなかったなー」
「とても警戒心が強いようですね。違う種族を怖がっているというか嫌っている感じがありますね」
「ああ、まあ、嫌っていると言う点は合ってますかね。実際のところ、理由は他にもあるんですが・・・」
二人がそう考察していると、隠れてしまった獣人の子供達を見てフウリが言った。言い淀んだその言葉に、二人は互いに少し顔を見合わせてその言葉の先を聞くべきなのかを迷った。
そして、その間ずっと空は地面に手をついて「ケモミミっ子達が・・・隠れてしまった・・・」と、背中に「どよーん」という効果音が付きそうなくらいしょげていた。
その背中を見て二人はため息をつき、フウリはどうすればいいか迷ってワタワタしていた。
「おい空、この村にはどの位いるかなんてまだ決めてないんだし、これから仲良くなっていけばいいだろが」
「そうですよ、まずは私達のことを考えてから、子供達とのことを考えればいいではないですか」
「そ、そうですよ!それに、僕としては別にどの位いたって構いませんし!」
「それいいのか?他の奴らとかが嫌がるんじゃないのか?」
「う、うーん、どうでしょう。その辺りは意見を聞かなければよくわかりませんね」
「ううーケモミミっ子ー」
「そい」
「痛い?!」
いつまでもうじうじしている空に向かって輝夜がチョップを入れる。その衝撃で一気に現実へと戻る空は痛そうに頭を押さえながら輝夜を、むー、と睨んだ。
「いきなりチョップはないでしょー輝夜ちゃん」
「うじうじうだうだしているのが目障りだったので」
「辛辣!」
たまにひどいこと言うよね輝夜ちゃん?!と泣き目で空は抗議した。そしてその様子をフウリは微笑ましく見ていた。そして、三人を見た後、フウリは子供達のいる方を見た。
「みんな、もう少し外部の人に慣れたらいいんですけどね・・・そう上手くはいきませんよね・・・」
「・・・」
そう言って、どこか寂しげな表情をするフウリを見て、星矢は何か思ったのか声をかけた。
「なあ、この村って、昔なんか・・・」
「あっれー?知らない人間がいるねー」
「・・・侵入者、ではなくフウリはんが連れて来はったんやないんか?この村に侵入なんて出来るはずないしな」
「ま、そうだろうねー。でもフウリが連れて来たんなら一応は大丈夫なんじゃないかな?」
「・・・まあ、多分そうやろな」
その時、星矢の声を遮って、突然上の方から二人の男女の声が聞こえてきた。
声の主は、屋根の上からこちらを見下ろすように立っていた。その二人にフウリが反応を示した。
「キトラ兄さん!ユメカさん!」
「おかえりーまた果物しか持ってないんだねー」
「毎度のことながらやな」
「うぐっ」
その光景を見て三人は、ポカン、と文字通り呆気にとられた。
「「「兄さん・・・?」」」
仲よさげに話す二人が、全く髪も顔も違うのを見て、先程言ったフウリの言葉に疑問を覚えずにはいられなかった。




