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(非公開)神書庫の白い本  作者: 空の宙
〜第1章〜記憶のない少女
4/7

3、オドオドキャラにちょっとした萌えを感じますね!

出て来たサラサラの緑髪の少年は、その黄緑色の目を潤ませながら言った。その少年をみた瞬間空は


「オドオド少年キャラ来たー!」


と、意味不明な発言をした。

空のそのテンションに二人は頭を抱えた。


「ダメだこいつ。本格的に壊れた」

「ああ、もうこれは終わってますね」

「お二人とも!あたしは正常だぞ!」


空は手でガッツポーズを作りながら語り始めた。


「緑のふわふわサラサラな髪に全身から出てるオドオド怯えオーラ!完全なる異世界あるあるな理想的美少年じゃーん!」

「あーさいですかー」

「へーそうですかー」

「反応が冷たい!」


ちくしょう!と喚く空に呆れる二人。だが、その流れについていけてない可哀想な人物がいた。


「あ、あの、」


小さくそう言うその少年は頭にハテナマークを多く浮かべたままだった。その反応に空が気付き、空はその少年の方を見る。


「わーごめんねー!別に空気にするつもりは無かったんだよー。そうだよねー名前わかんないと困るよねー。あたしの名前は白月空だよ!君の名前を教えて下さいプリーズミー!」

「こいつは何語を喋ってるんだ・・・」

「多分、空語でしょうね」

「何だその謎言語・・・」


空にめちゃくちゃな自己紹介をされ、自分の名前を聞かれた少年は、相変わらずオドオドしたまま答えた。


「え、えっと、僕はフウリっていいます。その、丁度あなた達が上空から落ちてくるのが見えたので、ちょっと隠れて見てました。その、もし地面に落ちそうになったら僕がどうにかしようと思ったので・・・」

「フウリ君かー。男の子なのに物凄く愛らしさを感じるなー!しかもあたし達を心配してくれていたなんてなー。なんていい子!」

「まあ、その心配は無用に終わったがな」

「おいそこ!そんなことを言うんじゃない!」

「何でしょうこの会話・・・?」

「知るか」

「いや、あの、えーっと?」


またもや自分について話されてはいるが、自分だけ置いてきぼりになっているフウリと名乗った少年は、もう頭の中は混乱状態なのだろう。

だが、何かに気づいたのか急に不思議そうな顔をした。


「あ、あの」

「はいなんですかー!」

「質問受ける時の返し方じゃねー」

「その、空って本名ですか?」


なぜかフウリは空の名前が気になったのか、そんなことを聞いてきた。

だが、テンションが上がりまくってる空はその質問に流れに乗って答えた。


「はいそーですよー、あたしは空ですよー。そらぴょんでもそらりんでもなんでも好きに呼んじゃっていいですよー」

「そんなあだ名ありましたっけ?」

「ねえな」

「今作りました!」

「「あ、そ」」

「えっと、変な事聞いてすみませんでした」

「気にすんなや美少年よ!」

「び、美少年?」


そんな事は言われた事が無かったのか、フウリは少し顔を赤らめて反応した。その反応に空は親指をグッとつきだした。


そしてまた空が長く語りだしそうになったので、星矢がチョップで中断させた。そして空がまた話し出す前に、星矢から自己紹介をした。


「あー、こいつのせいで何か悪かったな。俺の名前は十六夜星矢だ。星矢でいいぞ。んで、こっちの無表情な奴が輝夜だ」

「氷室輝夜です。星矢に無表情とか変なイメージを貼られましたが、別に感情表現が乏しい訳ではないので。あと、輝夜でいいです」

「いや別に間違ってはいないだろ。お前が感情表現豊かとでも言いたいのか」

「普段あまり顔に感情を出さないだけです」

「いやそれあんま変わんねーから」

「えっと、星矢さん、輝夜さんですか。僕はフウリです。よろしくお願いします」


星矢と輝夜が自己紹介をすると、ようやく一息ついたのかフウリは

ご丁寧な挨拶でお辞儀をした。礼儀正しいというより、緊張しすぎでやっている感じではあったが。

そして自己紹介も済んだことで、空を放っておいて話を進めた。


「んで、さっき俺達の話を聞いてたから分かると思うけど、この近くに村ってあんのか?お前が住んでるとことか」

「このまま野宿ルートに入るのは嫌ですからね」

「ああ、それならこの先にありますよ。ただ・・・」

「「ただ?」」


言い淀んだフウリに二人が疑問の顔を浮かべる。そしてフウリは言いづらそうに続きを言った。


「その、僕の住む村は外から訪れる者にあまりいい顔をしないので、多分歓迎されないし、最悪追い出されるかもしれません」


もしかしたら行ったとしても無駄足になってしまうかもしれない、という事実を目をそらしながら言った。

その事に対し、星矢は木に寄りかかりながら腕組みして少し考えた後、フウリに一つ質問した。


「それって、そこの長老的なのが外の人間が嫌いってことか?」

「あ、いえ、僕等の村には大人はいないんです」

「いない?一人もか?」

「はい、ほとんどが子供で、僕と他の年長の人以外は幼い子供ばかりなんです」


そのことを聞き、星矢と輝夜は互いに顔を見合わせた。


「なんか、俺らの家そっくりだな」

「本当ですね。子供しかいないところや、外部を受け入れないというところなどが似てますね」


二人がそう小さく言った後、ようやく星矢のチョップの痛みの晴れた空がフウリに一つ質問した。


「でもさぁ、別に君みたいに受け入れる子もいるわけでしょ?じゃあ別に行っても良くない?」


空がそう言うと、フウリは照れくさそうに「まあ、確かにそうですね」と頭をかきながら言った。

そしてフウリは三人に言った。


「じゃあ、僕等の村でよければ来ますか?」


その言葉に三人は顔を見合わせ笑った。


「まあ、行くっきゃないでしょ!餓死しないためにも!」

「お前の空腹はどうでもいいし野宿も悪くはないが、まあ、行ってみるに越したことはないな」

「それに、これからどうするかもゆっくりと決めたいですしね。こんな森の中ではなく」


三人がそう言うと、フウリは笑って


「じゃあ、案内しますね」


と言い、フウリのいた方向に歩き始めた。そして、三人もフウリを先頭についていった。




「あ、ちょっとここて待っててくれませんか?」


そう言ってフウリは突然、右の方に走って行き、とある木の下でゴソゴソと何かをやっていたかと思うと、すぐに空達のところに戻ってきた。

戻ってきたフウリは、右手に弓を持ち、左手に果物や野菜などの入ったカゴを持っていた。


「それなに?」

「ああ、これですか?これはさっき急いであなた達のところに行ったので、持っていたものを近くにあった木の下に置いといたんです」

「あなたの右手に持っているのは、弓ですよね?」

「はい、そうですよ。たまにイノシシとかを狩ったりするんですよ」


そうニッコリ笑いながら言った後、手で持たずに背中にかけた。その慣れた手つきでやるフウリの姿を見て、三人は揃って、


(((おぉ・・・)))


と思ってしまったのは、元いた世界ではあまり見なかったため仕方の無いことなのだろう。

しかしあいにく三人は、昔旅をするときにその様な狩猟生活をする種族の人々に会い、仲良くなったことがあるのでさほど新鮮味を感じたわけではなかった。


そしてそのまま三人でしばらく歩き、星矢が一つ聞いた。


「なあ、その村っていったいどのくらいで着くんだ?もう15分くらいは歩いたと思うんだが、日が暮れる前に着くのか?」

「別にさほど離れているわけではありません。それに、もう着きますから」

「え?まだ全然見えないよー?」


空がそう言った時、周りに突然霧が立ち込めた。

あっという間に辺りが真っ白になり、視界が狭くなってもフウリは慣れた様子で歩き続けた。空は突然の霧に不安げな顔をした。


「突然霧が出るなんて・・・一体どういった仕組みなのでしょう?」

「まあ、異世界ではこんな仕組みの一つや二つ位、どこにでもありそうな気がするけどな」

「それにしても真っ白すぎるよ!これ本当に大丈夫?」


空がそう言った時、フウリは突然止まって微笑みながら振り返った。


「大丈夫ですよ。もう着きましたから」


「「「・・・え?」」」


三人は揃って驚いた。

何故ならフウリの後ろには、先程まで全く見えなかった・・・・・・・・石の扉があったからだ。


その巨大な扉には、遠くから見ると蔦が上の方について小鳥が止まったりしており、近くで見てみると細かい綺麗な模様が彫られており、中には文字も混ざっていたがその文字を読む事はできなかった。おそらく空達の知らない言語だと思われた。


「え?いや、え?さっきまでそこに無かったよねそんな扉?!」

「俺も目視出来なかったんだが・・・なんだこれ?」

「いくら霧が出てきたとはいえ、こんなに近くに寄らなければ確認出来ないなんて一体どんな仕組みなのでしょう?」


三人は突然扉が見えた事に驚き、フウリがその扉に近づくのをただ見ていた。


フウリは三人に背を向けて、三人から見えない位置で何かを取り出し、それを扉にかざした。


その瞬間、その石でできた重そうな扉は、フウリも誰も触れていないのにも関わらず、ただゆっくりと開いていった。そして、中の様子が見えないほどに、内側から眩い光が溢れ出ていた。その眩しさに三人は思わず目を手で覆うようにして見ていた。


「眩しい!なにこの明るさ!目が痛くなりそうなんだけど!つか痛い!」

「つかどうやって開いたし。本当、異世界に来て早々ツッコミだらけだな」

「この辺一帯を照らしそうな明るさですね。一体どのようにして光が出ているのでしょう」


三人が開いた扉にそれぞれのコメントを述べたあと、フウリは三人の方を振り返り、


「じゃあ、行きましょっか。僕の住む村「ルルーフィナ」へ」


と笑っていい、その扉の中に入っていった。

それに続き、三人もその扉の中に歩いて行った。


そして、全員が通ると、再びなんの力も受けずに、その扉は閉まっていき、光が溢れなくなり辺りは元の明るさに戻った。

そして、変わらず小鳥はその扉の上に止まり「ピィー」と高く鳴いた。




空達が入る時、一人のある人物の視線が向けられていたが、四人ともそれに気づいていなかった。


その視線を向けていた人物は、少し遠くの方にある高い針葉樹の木の上で、本来なら霧のせいでなくてもその扉を見る事が出来ないはずなのに、確実に空達のいる方を見つめていた。


だが、正確にはその人物は空達・・を見ていたわけでは無かった。


「・・・・・ソラ」


その少年は小さくそう呟くと、その見ていた人物を待つために、自分も知っているとある場所へと降りていった。



***


《空達が湖に落ちて来た数刻前・とある会議室にて》


「あっははははははは!」


複数の人物がいる会議部屋の中で、縦長な机に11個の椅子があり、その一番奥の大きな椅子に座る全身黒で統一された人物は、突然、高らかに笑い始めた。

その人物にしては珍しい光景だと周りは思い、一瞬で視線を集めた。そして、その内の一人が声をかけた。


「黒様?いきなりどうしました、楽しそうに笑われて。何か面白いものでも見つけましたか?」


見た目通り「黒」と呼ばれたその人物は、いつも黒いフードを被っており、隙間から溢れる黒髪から髪も黒い事が分かる。そして、周りに視線を向けられて、手で抑えながら笑っていた顔を周りに向けた。

そしていつもならあまりしない口調で、こみ上げる笑いを抑えながら楽しそうに言った。


「面白い?そんなものじゃないよ。もっともっと楽しいものさ!退屈していたこの世界をやっと動かしてくれそうなんだから!」


黒はそう言いながらわざとらしく一人で「バンザーイ!」と万歳三唱をし始めた。

そのあまりにも気持ちが高ぶっている黒を見て、周りは理解する前に困惑した。そして、先程話しかけた、腰に刀を差した見た目が剣士の様な男が周りが思っていることを質問した。


「えっと、一体なにを見つけたのですか?」

「えー?わっかんないかなー。僕等がずっと待ってた人に決まってるじゃん!」


その言葉に、部屋にいた一人である、熱血そうな少年が理解したかの様に反応した。


「もしかして、例の巫女の野郎が帰ってきたのか?!」

「だいせーかーい!君10ポイント!」


「例の巫女」という言葉に、部屋の隅に周りとは距離を置いて離れる様に立っている少年は、ビクッと体を震わせて反応した。黒はそれを横目でチラッと見て気づいていたが、特に気にせず当然と思う様に無視した。

そして周りはその話になると一気に静かな雰囲気に熱を帯び始めた。


「へー、もうあれから五年・・もたちますが、もう戻ってこられたのでございますかー」

「まあ、その三年間、一体何処でなにをしていたのか気になるがのぅ」

「老人、気にする、ハゲる」

「誰がハゲジジィか」

「誰もそこまで言ってないであろう・・・」

「フフフ、どうして今まで動きが無かったのか逆に不思議だけれど、黒様の言うとうり、退屈な日々は終わりそうね」

「まあ、私の仕事が増えるという点では迷惑にも思うがな」

「気にしちゃぁー負け負けですのねのねー」

「酔っているのか貴様?!あの方の前で、恥を知れ!」


誰もが好き勝手に憶測を立てて変な会話をしている中、先程部屋の隅にいた少年だけが、覚めているというより怯えた様に黙っていた。

それを黒は面白そうにニマニマと見ていた。


『そーんなに彼女に会いたい?』


突然自分の頭に声が響き、部屋の陰で驚いた表情を黒に見せた。黒は周りがはしゃいでいるなか、その少年にだけ面白そうな目線を向けていた。フードに隠れてその顔は見えないが、恐らくこちらをからかう様にこの念話を使ってきたのだろう、と思った。だが、周りに聞こえない様にしてくれたのかという珍しい気遣いも感じられた。


『俺は・・・あいつに・・・』

『分かってるよー、君が考える事は分かりやすすぎる。魔法を使わなくても心が読めそうだよ。君はいつも顔に出すからねー。そんなんだから周りに怪しまれるんだよ』

『・・・あんたがもっと怪しませてるくせに』

『あははー、そうかもねー。でもそれは君がそういう立場・・・・・・だという事を周りに示しているだけで、なにも間違ってはいないだろぅ?』

『・・・・・』


少年はそう言われ、なにも返せない様に顔を背けた。それでも黒は、彼から視線をずらす事は無かった。


『君は僕の言う事を聞いていればいい。そうすればちゃんと上手くいくし、すべて予定通りに進んでくれる。君がちゃんと僕の手駒でいれば死ぬ事は無いし、彼女だって死なないしちゃんと会える。それで十分でしょ?』

『・・・・・俺は、あんたがあいつを殺さなければそれでいい』


少年は念話による脳内での会話で、苦しそうに顔を歪めながら黒にそう言った。その言葉に黒は不敵な笑みを浮かべた。


『彼女は殺さない、それは約束するよ。彼女に死なれて一番困るのは僕だからね。・・・でも、危害を加えたりはするかもね、死なない程度に・・・・・・・ね』

『くっ・・・・・!』


笑みを口元に浮かべながらそう残酷に言う黒に、少年はただ悔しそうに唸る事しかできなかった。


そして、そんな少年の反応を見て満足したのか周りの方に向き合った。すると、眼鏡をかけた若い男が意見があるように律儀に手を挙げた。それに対して話すよう促すようにした。


「それで、これからどうするおつもりですか?」

「どうするって?」

「巫女の対処についてどのような方針をとるのかということです」


先程話に上がっていた人物について、これからの計画を立てるためにそう質問した。

その質問に対して黒は椅子で伸びをした。


「いやー別にまだ特に何をするって訳じゃないかなー」

「と、言いますと?」

「彼女に対して僕らからはまだ特にすることはないよ。むしろ向こうが勝手に動いてくれるのを気長に待つしかないね」

「じゃあ、しばらくは手出し無用という訳ですかな?」

「ま、そうなるねー」


そうあっけらかんと言った黒は、何処から取り出したのか、突然手に出てきたがドライフルーツを食べ始めた。

その様子を呆気にとられて周りは見ていたが、すぐにそれを受け入れるように平然と受け流した。


「ではではー動くときはー言ってくれるですですー?」

「うん、そういうことだから、いつでも行動オッケーみたいにしてくれてるといいかなー。することがきたらちゃんと言うよ」

「了解しました」

「あ、でもー」


話が終わったのかと思い全員会議室から出ていこうとしたが、その背中に突然思い出したかのように呟く黒は、部屋でずっと暗そうにしていた少年に視線を向けながらニッコリと笑った。


「ナナシだけ、残ってくれるかな?他のみんなは聞き耳立てずに帰ってねー」


そう言い、みんなが出るように言った。全員、またか、と思いながらもおとなしく出ていった。

そして、広い会議室は二人だけとなった。黒はナナシと呼んだ少年に対して、こっちに来るように手招きした。そしてナナシが近くまで来ると、先にナナシの方から話を切り出した。


「んで、話って一体何ですか?」

「やだなー、彼女の話に決まってるだろう?とぼけないでよ」


黒がそう言うとナナシは不思議そうな顔をした。


「あいつに関してはしばらく何もしないって言ってたじゃないですか?」

「確かにみんなの前ではそう言ったよ。でも、あれはそう言っとかないとみんな勝手に行動するかもしれないだろう?そうなって困るのは君じゃないか」

「まあ、そうですね」


先程の念話での会話と違ってナナシは敬語で話していた。普段はこちらで話しているのだろう。だが、普段から使っていると言う理由以外にも、恐怖心から来ているという理由があるのかもしれない。この、目の前の得体の知れない少年に対して。


「んで、みんなにはああ言ったけど君にはしてもらいたいことがある」

「・・・なんですか?」

「またまた〜とぼけちゃってー。分かってるでしょ?」


そうからかように言うと、机に頬杖をついてニヤリとフード下から目線をナナシに向けながら言った。


「彼女に記憶を返すのさ」

「・・・・!」


その言葉はナナシにとって願っても無い言葉だった。だが、同時に違和感も感じた。その違和感を質問した。


「なんでわざわざ戻ってきた直後に?」

「別にー特に意味はないよー。ただ、あった方がいいかなーって思うだけ。彼女にとっても僕の予定・・にとってもね」


つまりは自分の都合のためなのか、と思い、この人物はそれくらいのことにしか行動しないと思い出した。

そして、ナナシが少しそんなことを思い顔を俯けると、黒はそんなナナシの顔を覗き込むようにして続きを言った。


「それに、君だって彼女に会いたいでしょ?」

「・・・・・」


会いたい。だが、それと同じぐらいに会いたくないという気持ちもあった。自分の弱さを痛感させられるから。そんなナナシの気持ちを読み取ったのか続けて言った。


「これは僕なりの数少ない小さな優しさであり、そして命令だ」


命令、という言葉に対してナナシはさらに顔を伏せる。その言葉を放つ時だけ、フード越しでもいつも鋭い目線でこちらを見ているような気がしたから。いや、目線だけではない。威圧を放っているのはその人物の全てである。話し方も目線も、溢れ出る魔力も、ナナシにとっては恐怖の対象でしかなかった。


そして、そんな風に怯えているナナシの気持ちなどどうでもいいかのように、黒はけろっと笑いながら言った。


「んで、行ってくれるよねー?」

「・・・あんたが、命令だって言ったんでしょう。言われなくても行きますけどね」


そんな風に昔から彼女に関しては雰囲気が変わる黒に未だに慣れないナナシは、自分でも弱いものだな、と思ってしまう。

そして、そう言ったあとナナシは部屋を出て行った。


その後ろ姿を見ている時も、黒はずっと威圧を放ちながら笑っていた。


まるで、魔王・・と呼ばれるにふさわしいかのような態度で。


今回こんなに長くなるはずではなかったのに・・・ドウシテコウナッタ


まあ、最後の悪のそしきー!的なところの会話が入ったせいですね。でも無しにはできませんし。


あと、何度も言いますがこの小説はとても上がるのが遅いです。首がちぎれそうなくらいに気長に待ってくれると幸いです。


《追記》

あるセリフの「三年」のところを「五年」に修正しました。

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