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その31 評議会14

「」


「あれ? セーラさん? どうかしました」


「い! いやいや! なんでもない。そ、そうですかもう殺しに行くのか……」


 マ ジ か よ 。

 いやはや手が早い。さすが大陸警察だ。というかソラってそこまで危険分子扱いされて……


「部下にワイアット・アープという男がおりましてね。彼に一任してます。

 ついさっき『春のない国』を立ちました。もしエレメンタリアで見かけたら協力してやってください」


「は、はあ……わかりました」


 いつの間にかセーラは敬語になっていた。つまるところそれだけ動揺していたのである。

 いやマジか。もう動くのか。にしたってさすがに早すぎやしないか。

 普通な賞金首にして→アウトローや他の賞金稼ぎから情報を募って→んでいざ実力行使、って流れだろう。それを最初っから殺しにかかるなんて、順番が逆だ。

 まるで()()()()()()()()()でいるかのような……。


「じゃ、じゃあ私はこれで。いやはや有意義な話が聞けてよかった。銀色のスナイパーに手出しされないよう頑張ります」


 セーラは剣を取って立ちあがった。「もうお帰りですか」 ラミーは扉を開けて見送る。

 彼女は焦りをできるだけ表に出さないように振る舞った──────つもりであったが、それが果たしてラミーに通じているだろうか。

 ラミー・ヤーミ。最初から最後まで彼は飄々としており、またいつものように愛想の良い笑顔を向けている。それが逆にセーラは好きになれなかった。


「それでは……」


「ええ、ではまた」


***


「大変だ……!!」


 セーラは駆け出した。

 剣を背負うのももどかしく、踵を返して走りだす。


 ワイアット・アープ。

 どこかで聞いた名前だ。と思う間もなくすぐにわかった。先ほど帝国対策会議の参加者の名簿。

 その中に載っていたのだった。正式な名はワイアット・〝Q〟・アープ。大陸警察『喫煙所』所属。

 『喫煙所』。

 大陸警察直属の強襲部隊。個人個人超人的な戦闘能力を誇り、武力によって対象を制圧することを目的とする。

 いわば最初から喧嘩を売ってくるわけだ。情勢に関わらず、連中がやれと言ったら必ずやるだろう。

 

 ギルドの外は閑散としていた。

 そういえば人払いされたとか言ってたな。まだ16時過ぎだというのに、まるで夜のように静まりかえっている。自分の足音だけが響いており、

 遠くの方で大通りの雑踏が耳に入ってきた。


「あいつらが動くのか……喫煙所が……!!」


 当然ながらセーラも、(あくまでも概要だけであるが)その存在は知っていた。

 いくらソラとはいえ連中が動けばひとたまりもないぞ。早く知らせなければ。喫煙所が動こうとしている。



  ──────その瞬間。



 一瞬のことだった。

 次の角を曲がろうと体を返した瞬間のことである。あまりにも突然・かついきなり。


 同様に、

 カラクリに感づいた時にはもう遅い。

 喫煙所が()()()()()()()()のではない。


「……!!」
















 ()()()()()いた。
















「……しまっ……た……」


 セーラはたまらず腰を折り、膝をつく。

 ちょうど腹部を貫いた一発の弾丸。瞬く間に足元に血だまりを作り、胴着と濃橙の剣装を赤黒く汚して行く。

 その場にぐらりと倒れた。腹部のど真ん中を撃ち抜かれたらしい。通常の弾丸であれば剣装に掛けられた防御魔法が守ってくれるのだが、

 まるで針の目を縫うかのように撃ち抜かれてしまったようだ。起き上がろうとするも、激痛に顔が歪む。足に力が入らなかった。


「……ち……」


 震える手で背中のオリハルコンの剣『エリュシオン』の柄をつかむ。

 と、同時に全方位に展開される擬似的な視界『静の剣気』。いま現在精神/肉体的に極めて動揺しているため、その質は荒い。

 それでも襲撃者を特定することなどわけないのだが────いない。


 いないのだ。

 明らかに弾丸による攻撃。にも関わらず、その使い手を捕捉できない。静の剣気は誰も対象を捉えなかった。


 『狙撃』だ。


「く……くそ…………ソ……ラ……」


 ぬかった。

 スナイパーがいたのか。

 最後の最後でセーラは携帯端末を取り出した。だが、そのボタンを押す直前。


 二発目の弾丸が同じ箇所を貫き、彼女は意識を手放した。

このキャラもっと活躍してほしい! とかこういう展開がいい!とかありましたら感想欄までお気軽に。

もちろん普通の感想も常時大歓迎っす。

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