表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

魔王の生涯

短いです。

俺は夢を見ていた。


俺は見たこともない部屋で椅子に座っていた

視界を埋めるように部屋に溢れるのは大勢の人。それぞれがまるでハロウィンの仮装みたいに角や牙、羽や尻尾をつけていた。


俺を囲うように集まった人々が口々に叫ぶ言葉は聞いたことのないものだったが、そこに含まれる何かに対しての強い怒りは感じることが出来た。


叫びに応えるかのように俺は自然と手を挙げていた。

それを見た部屋の人々は口を閉ざし、こちらに視線を集中させた。

俺の口は勝手に動きだし、意味のわからない言葉を紡ぎ出す。

言葉を紡ぐ度に人々の顔に熱気が満ちていった。そして、椅子から立ち上がった俺が最後に一際大きく放った一言を聞いた時、部屋に集まる全ての人が割れんばかりの雄叫びを挙げた。

立ち上がり部屋の様子を見つめる俺は、部屋に満ちる熱気とは反対に体の奥が冷たくなっていくのを感じた。


場面が変わり、俺は何処に向けて急いでいた。しばらく廊下を進み、ある部屋の前で足を止めると、一呼吸してからゆっくりと扉を開いた。

部屋の中には大きな寝台があり、側にひかえるように女性が二人立っていた。


こちらに気づくと女性達は恭しく礼をして寝台から離れた。

自然と歩みは寝台に向かった。

寝台の上にはもう一人女性がいた。

額から生える二本の角、流れるよう銀の長髪と整った目鼻立ちを持つ美しい女性だった。


寝台の側に来た俺に彼女は大切に抱えていた何かを見せてきた。

それは布に包まれた赤子だった。

まだ全てが未熟で弱々しいが、そこにはしっかりと命の灯火があった。

それを見た俺は体の奥が暖かくなるのを感じた。


場面は突如として変わり、眼に飛びんでくる光景は目まぐるしく変わっていった。

ある時は太陽が輝く野原で、ある時は月明かりの照らす深い森で、またある時は何処かの戦場に俺はいた。


場面毎に体の奥が暖かかさ、冷たさを感じていたが、変わる毎に次第に鈍くなり、遂には何も感じられなくなっていった。


そして、何も感じられなくなった頃、暗い一室で四人の男女を視界に捉えた場面を最後に俺は何かに引っ張られるように意識が遠退いた。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ