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その瞬間、大地が震えた。

つ、疲れた。僕は疲れたんだよパトラッ○ュ。

あれからなにを言っても、キスの話題から離れなくなった田中さんを止める事ができませんでした。


ということで朝飯も食べず学校に逃げてきたのだが。現時刻、朝の七時半。

いくらなんでも早すぎたなぁ。でも他に行くトコないし。


「……ん?」


少し憂鬱になりながら生徒玄関のロッカーを開けると、一通のお手紙が。


「また葵か?」


アイツも懲りないヤツだ。おそらく田中さん関係の相談だろうけど、わざわざ手紙で呼び出さなくてもいいのに。

ま、教室で人を呼び出すなんて目立つからな。これはこれで無難な作戦なのだろう。


そんな感じで中身を確認すると、それは葵からのお手紙ではなかった。



『オカマ野郎へ。


 てめぇオカマのくせに、田中美晴さんに手ぇ出してんじゃねぇぞ?

 お? シメられたくなかったら、今すぐ田中美晴さんと縁切れや。それも教室で、皆が見てる前でな。きちんと俺等見ててやっからよ。


 by田中美晴ファンクラブ。』



その瞬間、大地が震えた。

そこら中の木々から鳥が羽ばたき、近隣の動物達が悲鳴を上げ始める。


「田中美晴……ファンクラブ……」


言いながら、僕宛の手紙を引き裂く。

この手紙を書いた奴等の目星はすでについていた。


普段から田中さんのことで盛り上がり、たまにちょっかいを掛けている三人組が同じクラスにいるのだ。

おそらくそいつ等で間違いないだろう。


「さて、手紙の返事でも伝えに行こうか」


そう呟いてから、僕は生徒玄関を後にした。



―――美晴視点。



ギュワーッ!? ギュワァーッ!?


「んんっ! 強いやつがいるぞ!」

「い、いきなりどうしたんですかサラさん?」


サラさん、鳥さん、わたしの三人で朝食をとっていると、サラさんが鮎の丸焼きを頬張りながら叫びました。


ちなみに真鍋さんはいつの間にか出かけていたので、ここには居ません。せっかく真鍋さんの朝食も用意しておいたのに残念です。


「ミハルの学校だ! あそこに強いやつがいる!」

「強い人ですか、なんだか怖いですね」

「あぁ! 戦ってみたいな!」


戦ってみたいな、って。サラさんは本当に喧嘩っ早いです。この前も真鍋さんと喧嘩したばかりなのに。

でも、アレは愛情表現みたいなものだから、いいのでしょうか? うう、よくわかりません。


「サラさん、今は喧嘩よりも朝食が先ですよ。あの、お魚のおかわりはいりますか?」

「それもそうだな! おかわりだミハル!」


よかった。これでサラさんも落ち着いてくれるはず。


「それにしても、この真鍋さんの朝食はどうすれば……」

「おかわりはそれか! ありがたい! いただくぞ!」


言いながら焼きたての魚に手を伸ばすサラさん。

あっ。それは、


「あぁっ! それは真鍋さんのお魚です!」

「ははは! 食事中に出かけるとはバカなヤツだ! 私が世間の厳しさを教えてやるぞ!」


うわっ! なんかすごいデジャヴを感じます!


「だ、ダメですってば! ちょっと聞いてますかサラさん!? あっ、だからダメなんですってばー!」


ここでサラさんを止めなければ、また真鍋さんが怒ってしまう。

そう思ったわたしは慌ててサラさんを止めようとしたのですが……結果どうなったかは言うまでもありませんでした。


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