なんですかその適当な返事は!?
路頭生活三日目。月曜日。今日は学校である。
なんか気乗りしないなぁ、元々学校好きじゃないし。
普段ならそう思っていただろうが今日は違う! なぜなら!
「いい天気ですねー」
「全くだ。サラダさんに洗濯頼んどいて正解だったな」
「サラさんとお天道様に感謝しなきゃいけませんね」
言った後に「なんちゃって」と可愛く舌を出す田中さん。
やっべ可愛い。
いやはや女の子と登校することがこんな有意義だったとは。
この状況で『学校好きじゃないし』なんて妄言吐ける訳がない。
「サラダさんにはくるみの用心棒まで頼んだからな、お礼に土産でも買って帰るか」
「それは名案です! きっとサラさんも喜ぶと思います!」
「確かバナナが大好物だったっけ。考えんのめんどいからバナナでいいや」
サラダさんとバナナ。最高のコンビである。
「もぉダメですよ真鍋さん! そうやってサラさんをからかうのは!」
「いやからかってねーって、これはサラダさんに対する愛情表現だし」
それにバナナが大好物なのも事実だしな。
昨日夕飯の時に本人が言ってたし。
「そんなこと言って、いつも喧嘩してるじゃないですか! 少しはサラさんの気持ちも考えてください!」
「……すんません」
朝からお説教されるとは。しかも田中さんに。
「でもほら、僕とサラダさんは出会い方がアレだったし、どうしても喧嘩腰になるっていうかさ」
「確かに出会い方は最悪でしたね」
「それに喧嘩するほど美しきかな、って言うだろ? 僕とサラダさんはまさにそれなんよ」
「そんなことわざありましたっけ?」
「……」
「だ、だんまりですか」
いや適当にでっち上げたから。
「とにかく! 二人ともわたしの大事な友達なんですから、あまり喧嘩せず仲良くしていて欲しいです!」
「サー イエッサー」
「なんですかその適当な返事は!?」
「冗談だって。今後はサラダさんの気持ちも考えます、これでいいだろ?」
今後も仲良く喧嘩することを心がけよう、朝からそんな教訓を得たのであった。
「……ん?」
もうすぐ校門が見えてくるというところで、不意に何かの気配を感じ立ち止まる。
「どうしました真鍋さん?」
「なんか悪寒がして」
まぁぶっちゃけ視線を感じたわけなんだが。
借金取りのオッチャン達か? 一昨日僕のこと見張ってるって言ってたし。
それにしては殺気立ってたような。
「なんだろ?」
振り返ってみるがこっちを見ている輩はいない。
「なんだかいい感じの伏線ですね」
「は? 伏線?」
「きっと今日の放課後くらいに、なにか起きますよ! ラブコメ的なことが!」
「ラブ? ちょ、なに言ってんの?」
「うわー! わたしわくわくしてきました! がんばってくださいね、真鍋さん!」
田中さんが暴走した。
ていうか、なんですかこのロマンチスト理論は。
「もしかして田中さんって少女漫画とか好き?」
「大好物です!」
さいですか。




