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……大丈夫でも頼りなさいよ、バカね。

まだ不機嫌の直らない咲と一緒に商店街を歩く。

夜の商店街でデートなんてロマンチックかと思いきや、肩に担いだ米袋が雰囲気をぶち壊しちゃってます。つか、重ぇ。


「二杯目のお茶漬けがやけに重くてさぁ」

「はぁ、それは申し訳ない」


ぽつりぽつりと今朝の愚痴を漏らす咲さん。


「アンタ用に作ったから量も多かったし」

「それも申し訳ない」

「ところでくるみちゃんはいつ来るの?」

「ぶっ!」


なにその切り替わり方!? 焦るわ!


「あ、明日にでも事情話して、それから連れていこうと思ってる。由紀さんにもそう言っといてくれ」

「明日ね、了解。それで春は?」

「僕はまぁなんとかするよ」

「なんとかって、大丈夫なの?」

「大丈夫じゃなかったら咲の家に頼ってる」

「……大丈夫でも頼りなさいよ、バカね」


ごめん、それは無理だ。

僕にだってプライドというモノがあってだな……


「プライドなんてくだらないモノ、捨てちゃいなさいよ」

「くだらなくねーよ!? てか心読むな!」

「心じゃなくて表情を読んでるの」

「嘘付け!」

「ホントよ」

「じゃ、じゃあ。さっきの僕ってどんな表情してたん?」

「『僕にだってプライドというモノがある』って顔してたわ」


どんな顔だよ。


「というか顔の話はどうでもいいから。今はアンタの話でしょ?」

「どーでもよくないのですが」

「うるさいわね。なんでウチに来る話断ったの? もしプライドがあるから、なんて言ったら引っ叩くわよ?」


咲さん怖ぇよ。


「僕が断った理由は、その、借金背負って転がり込むのがイヤだったからで」

「ウチが返済するんだから気にしなくていいじゃない」

「んなことできるか! 情けないだろ!?」

「プライド入りましたー!」


は? プライド入りました?


「なに言って……ぐおっ!?」


首をかしげる僕の頬に鋭い痛み。

ひ、引っ叩かれた! 痛ぇ! 親父にも打たれた以下略!


「なにすんだよ!?」

「プライド及びそれに該当すること言ったから叩いたの。説明したでしょ?」

「してねぇ!?」

「はい、続きをどうぞ」

「あのな……」


腑に落ちないが、ここはきちんと説明するのが筋というもの。

何度引っ叩かれようが咲に納得してもらうまで説得してやろうじゃないか。


「まぁ借金のこともあるけど、他にも……」


プライドが許さないから、という言葉は飲み込む。

危ない危ない。んなこと言ったらまた引っ叩かれてた。


「プライド入りましたー!」

「え? ちょ、何故!? ぐはぁっ!」


なんか引っ叩かれた!


「あんたも懲りないやつね」

「いやいや!? 今なんも言ってなかったろ!?」

「はい、続きをどうぞ」

「おい! お前いい加減にっ」

「 続 き を ど う ぞ ? 」


怖えぇよ! なんだよこの理不尽!?

だが僕は負けない! プライドのために!


「えっと、後は……」


次の理由を探すため頭を回す。

よく考えたら僕が断ってる理由ってプライド関係の理由しかないんだよな。


「えーっとぉ」


不味い。次の理由が出てこない。


「ほら、なにか言ってみなさいよ? なにも理由が無いなら今すぐくるみちゃんと二人でウチに来なさいよね」

「はぁ!? なに勝手に決めてんの!?」


そのルールに従えば確実にお持ち帰りされてしまう。

ま、まさか咲のヤツ! 初めから僕がプライドだけで断ったと見抜いてた!? だからこんな理不尽な賭けを!?


「恐るべし早乙女咲……」

「は? なにが?」


仕方ない。頭脳で咲に勝てるわけないし、ここは……


「咲。また明日学校でな」

「え? ちょっと、あんた逃げる気!?」

「その通り! では、さらば!」


「卑怯よ春ー!」という咲の怒声を浴びながら、僕は商店街を後にした。


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