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闇月夜の廃墟にて…

作者: 御柳 愁

それは薄暗い3階建ての廃墟だった。

僕と男の友人Y1人に女の友人A1人で肝試し気分でその廃墟に足を踏み入れた。

噂では、この廃墟での自殺者が多いらしく、近くを通った人達は稀に3階の窓際で、窓にへばり付きながら笑う男の姿や、首から上が頭ではなく、首から片腕が生え両腕の無い異形な人型が深夜に中庭を徘徊しているのが目撃されている。

その他にも色々目撃情報はあるのだが、僕達は直接確認するためにこの廃墟に足を踏み入れたのだ。

入り口から入ると辺りには蜘蛛の巣が疎らに張ってある。

僕達は中庭に続く廊下を歩いて行く、途中誰かに見られたり後ろを追ってくるような気配があったが心霊現場だ、そのような気配がしてもおかしくはないのだろう。廃墟自体に違和感はあっても、これといってなんの問題もなく中庭に着いた。

中庭だと建物がよく見渡せる。

友人Yは、多少つまらなさげに、

「何も無いな、やっぱりただの噂だったんじゃ無いか?」

と愚痴っていた。

そんな友人Yに友人Aは、

「噂なんかじゃないわよ、確かに幽霊を見た人がいるんだから」

などと、少し怒った口調で言った。

「ちょっと、静かに・・・・、足音が聞こえ・・・・・っ!」

僕は言葉にならない言葉をあげた。

僕達の来た中庭への入り口から、両腕が無く首から上に片腕が生えだ異形のモノがグニャグニャと体をうねらせ僕達に近づいて来た。

「うっ、・・なんだよアレ、気持ち悪い、早く逃げなきゃ」

そう言うと友人Yは、一人で反対方向の中庭の入り口へ走って行った。

「こんなの、いやぁぁぁぁぁぁぁ」

と、友人Aも反対の入り口に逃げて行ってしまった。

僕もそっちに逃げ出したが、地面の出っ張りに足をとられて転んでしまった。

異形のモノはウネウネと僕に近づいて来る。

僕はダメだと思い顔を背けたら、運良く目の前に錆びついて先の尖った鉄パイプが転がっていた。

「うわぁぁ〜」

と叫びながら僕は、その鉄パイプを手に取り起き上がって、異形の体に突き刺した。

鉄パイプの管から、血が勢いよく噴き出し異形のモノは首から生えた片腕と体をのた打ちまわらせていた。

そして、僕も友人達と同じ方向へと逃げた。

廃墟の入り口(玄関)は一つしかなく、逃げてきた通路と正反対で2階を通らなきゃ元来た入り口に着けない為、友人達がこの廃墟から外へ逃げきったとは考えにくい。

しかし、皆バラバラになってしまった以上個人でここから脱出するしかない。

混乱する頭で、精一杯考えた。

深呼吸をして、周りを警戒しながら2階へと足を運んだ。1階へ繋がる階段がある通路を行こうとしたら、3階から、友人Yの

「た、助け・・助けて」

と、唸る声が聞こえてきた。

僕は階段を登り、友人Yの声がする方へ進んだ。

「ヒギィィィィ〜」

友人Yの悲鳴ともつかない声は小部屋から聞こえた。

「おいっ!大丈夫か?どうしたんだ」

僕が声をかけて、その小部屋に入ろうとしたら・・・。

「えっ?」

僕は自分の目を疑った。

友人Yが泣きながら、でも口だけを笑わせ窓際に張り付いていて、その近くには、半透明な男がこちらを見ながらニヤニヤと半笑いをしていた。

「な・・なんだよ、そいつ」

僕が友人Yに問うと、友人Yは・・・。

「そ、そいつ?だ・・誰、誰か・い・・るのか?、うっ・・それより、はや・・早く助けて・・つ、潰れる」

友人Yは喋るのもやっとな思いで助けを求めてきた。

僕は、助ける為に駆け寄・・・る前に半透明の男は目を見開き友人Yの方に顔を向けた瞬間。

               

[ブチンッ!]

               

友人Yは、水風船のように体から血や臓物を飛び散らかしながら潰れた。

そして、半透明の男も消えた・・・。

「あ゛、あ゛、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

僕は叫び、廊下に出ると来た通路から、体に鉄パイプを刺した異形がペタン、ペタンと歩いて来た。

逃げた、とにかく走って逃げた。

               

無我夢中で逃げてる内に、廃墟の入り口付近に着いたらしい。

だが、そこでふと思い出した。

ここの廃墟にはまだ友人Aが逃げてるハズだ、逃げてるか、友人Yのように・・・。

「んっ?」

・・・おかしい。

友人Aって誰だ?。

僕は友人Yとこの廃墟に来る約束をしてたんだよな。

じゃあ友人Aって誰なんだよ?。 いつから知り合った?どんな関係?どうやってここに来た?。

分からない、分からないが、もう入り口に着いた。

・・・助かった。

助かった・・と思っていた。

しかし後ろから。

「・・・手遅れよ」

心臓が張り裂けそうなくらい驚いた。

僕は恐怖で体がギシギシいっていたが、後ろをゆっくりと振り向いた、そこには・・・・・。

               

最期に薄れ逝く意識の中で微かに声が聞こえた。

「私も、この場所(廃墟)も、始めから存在しなかったのよ・・・。ウフフフフフ」

現実的な不思議と非現実的な不気味な気分を感じられたなら嬉しく思います。気持ち悪さを上手く表現出来ているか不安ですが、頑張ってみました。

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