ロールの風再び
「おい!結城昌兵とか言ったな!なんで攻めてこねーんだ!?なめてんのか!?」
川田がボールを運ぶドリブルの音とわずかな選手の声しか聞こえなくなったコートの中。
残り1分で、4点差で星陵学園リード。
緊張感からか、観客からの声は消えていた。
(攻めてこない?ちげーよ。攻められねーんだよぉ!スタミナが持つか?後1分。やってみるか?全力で。)
ドリブルで進む川田。
止めようとする譲二。
(どーする?昌兵を使いたい。でもあいつは、…吉武はマークがきつく3Pが打てねーし、無駄に打つ場面じゃない。だとしたら古藤か?だけどあの三浦とかゆーやつが読み始めている。ここは、デリ……)
計算している川田の隙をつき、ボールを奪い取った譲二。
「やべぇー!!」
猛スピードのドリブルでゴールにかけ進む譲二を必死に追いかける川田。
(無理か?追いつくのは!!)
だが川田が追いついた。
シュートに行く譲二。
それを止めようとしてジャンプをする川田。
その瞬間尚樹と結城が叫ぶ。
「いけぇーーーー譲二!!!!」
「誘いだ!乗るなぁーーー!!」
(シュートブロックだ!打て!)
川田がブロックに行くが打たない譲二。
(まだ打たないのか?)
(川田、体が流れて止められねーだろ?)
シュートを放つ譲二。
そして川田は譲二に乗りかかった。
シュートは決まる。
「ピィィィーーーー!!!!!!ファールプッシング!カウントワンスロー!!」
がっくりと膝に手をつく川田。
女バスのほうかも歓声が上がる。
そしてフリースローを決めその差1点に詰まる。
だがこのシュートで湧き上がる5人の譲二、尚樹、誠也、辰巳、宗孝はディフェンスそして、コートの3Pの位置で待機する吉武公務の存在に気がつかなかった。
ボールをすぐデリックがを持ち、思いっきり投げる。
「吉武ぇぇええぇ!!!!!」
はじけるような轟音がしたすぐには、吉武がシュートを構えている。
しまった!と、全員が思い汗がわっとふきだした。
そしてノーマークの吉武は綺麗で華麗で繊細な3Pシュートを放って、そのボールは綺麗な放物線を描いていた。
残り43秒のときだった。
そのシュートで5人は鳥肌が立ち、涌き出た汗が一瞬にして引いていた。
「4点差になっちまった。いや、戻されちまった。」
「いや、あきらめんのは速い!いくぞ!」
宇野ががっくりとするがすぐに譲二が盛り上げる。
辰巳がボールを出す。
譲二が攻めこむ。
「誠也!」
「宗ちゃん!」
「尚樹!」
「辰巳!」
パパッパパッといままでにない、ボール回しだった。
「くそ!冷静じゃねーか!」
そして最後に譲二がドリブルでカットインする。
(攻めるには出きるかわかんねーけど、ロールターンしかねェ!)
にわかのロールターンを仕掛ける譲二。
そして奇跡が起き、譲二は風を起こせた。
ロールターンの風が包み込み、ジャンプして風を抜けたら、そこには。
空にリングとボールを持っている俺しかいなかった。