青
2月13日 はれ
きょうは、ことみちゃんと
バレンタイン・ディの、チョコレートをつくりました。
ことみちゃんは、きよおなので、じょうずでしたが、わたしはへんなかたちになりました。
でも、とてもたのしかったです。
でも、わたしは、よるにかぜをひいてしまいました。
「じゃあね、のりこちゃん。」
「うん、きをつけてね。ことみちゃん。」
夕方の空は、やや赤みの強いオレンジ色で、周りの建物や人々を染め上げる。
そんな、色のあふれる中を、綺麗な水色のワンピースを着た少女が、家へ帰ろうとしていた。
「あ、のりこちゃんは、誰にあげるの?」
「えっ、えーと…」
……ないしょだもん
ことみちゃんが笑っている。
ことみちゃんは、かわいいし、賢いし、細身で脚が長い。
……うらやましいな
こういう時だけ、
¨男の子になりたい¨
と、いつも思う。
スタイルが普通だって気にしなくていいし、ことみちゃんと結婚できるし………ん?
「ことみちゃんは、だれにあげるの?」
「お父さん。」
「……へえ。」
「…あ、早くかえらなくちゃ。」
「そうだね。またあしたね、ことみちゃん」
「うん、また明日。」
──その様子を、遠くから見ていた男がいた。
隣に自転車を停めて、煙草を吸っている。
青の少女が歩き始めると、少し離れて後をついていった。
周りには誰もいない。
青の少女と男が、同じ方面へ同じ速さで歩いていく。
夕方の空は、更に赤みを増していった。
青の少女が、右に曲がる。
そこは、高い木に囲まれた静かな広い公園で、駅前への近道となっていた。
男も、公園へ入っていく。
ここにも、誰もいなかった。
男の歩みが、急に早くなる。
青の少女との距離が、みるみる縮まって──
──男は、動かなくなった青いソレを¨おんぶ¨すると、少しだけ満足げな表情で、どこかへ立ち去った。
静かに、時が過ぎていく。
捜索の声が、聞こえ始めるまで──
男は、家に帰ると数日をかけて丁寧に処理を施し、取りあえずダンボール箱にしまった。
「綺麗な箱に入れてあげるからね。それまで我慢だよ…」
……さて、次は─