再開
雨が好き
優しい音が好き
今日の雨は嫌い
うるさくて、冷たくて
痛い
私の手を、爪を食い込ませるほどに強く握り締め続ける少女のそれは、まるで意志を持っているようだった。
一瞬、義手かとも思ったが、こんなにも腕は生暖かく、柔らかく、産毛やほくろ、擦り傷まであるのだ。
…手の冷たさは異常だけど
少女のそれは¨作り物¨ではないと思う。(でも、腕の断面がギザギザなのは何故だろう?)
…さて、どうしたものか
すぐそこに見える交番に、落とし物として届けるのも、面倒な事になる感じがする。
…あの少女を捜すしかないのだろうか。
とりあえず、来た道を戻ることにした。
「…のりこちゃーん」
少女の名前を小さな声で呼びながら、薄暗い道を戻っていると、足で何かを踏んだ
……?
少し太めの棒状の何かだったが、気にせず道を戻る。
暫く歩くと、先程の物より太い¨棒¨につまづいて転びそうになる。
…危ないな、全く。
少女の事が気になるのと雨が降っている事で、道に落ちているゴミまで確認していられない。
「…のりこちゃーん」
…どこに、行ったんだろう?
私の手に食い込む爪が痛い。血が出ているかもしれない。
少女にしては、すごい握力だと思う。
「…のりこち…!?」
また何かにつまづき、今度は転んでしまった。
転んだ痛さで、顔を横に向けた状態でうつ伏せのまま、暫く動けなかった。
そこへ、ゴロゴロと重たそうな何かが転がってきて、私の目の前で止まった。
そして、こちらに顔を向けるとニッコリと微笑んだ。
フフフフフフ。
うわあああああっ!