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少女  作者: VISIA
15/17

手紙

きみへ


かみよ


しばし

たてば

きえる

こんな

もろさ


わずか


ここに


きばつ

きみと

あのひ


えんが

きみで


うれい


いつも

きみを



眠れない部屋の美女

──次の朝


 押し入れの戸を開けると、いつもと変わらない部屋の光景に、テーブル上の皿にのった封筒の、赤い色が目立っていた。


………。


 きのう、開封しようとして様々な手段を試し失敗した結果、油まみれになってしまった手紙である。


 手触りは普通の紙なのだが、煮ても焼いても蒸しても揚げても、焦げ目や醤油ジミひとつ付かないのだ。


 勿論、ハサミやカッター等でも歯が立たなかった。


 結局、手紙を皿の上に置いて昨日は寝てしまったのだが、その手紙の事を思い出していると、急に腹が減ってきた。


…コンビニ、行くか


 押し入れから出て、柔らかくなったTシャツを着る。そして、残り1つとなった熊さんの、アップリケが付いたジーンズを履いて、部屋中の小銭をかき集めると、弁当を買いに出掛けていった。



──誰もいない部屋で



 トイレのドアがゆっくりと開いていく。


 その中から、半透明の不機嫌そうな男が出て来た。


 あの、自転車の男だった。


「全く、あの死神は鬱陶しいよな。依頼より1人多いってガミガミうるさいよな、全く。」


 男は、テーブルの上、皿にのせられた封筒を見つけた。


「ああ、コレか。全く、面倒だよな。¨処分してこい¨なんてさ、全く。自分でやれよな、全く。」


 男は、ブツブツ文句を言いながら手紙を手に取ると、クシャクシャに丸め飲み込んでしまった。


「さて、用事は済んだし銭湯でも行くかな。近道は…ええと」


 男は台所まで行くと、排水口の中へ入っていった。



──暫くして


 私は、コンビニから帰ってきた。

 結局、弁当が高くて、¨おにぎり¨と¨アイス¨を1つずつしか買えなかった。


……仕方ないよな


 部屋に入ると、後ろから声を掛けられた。


 いつもの、不機嫌そうな顔をした大家だった。


「今月分の家賃、払って貰うよ。」

「あ、えっと…」


「あと、何だい?この粗大ゴミ、ちゃんと処分しなさいよ。…ほら、家賃払って」

「……。」


──最後のお金を、大家の手にのせた。


「はい、確かに。部屋は綺麗に使っておくれよ。」

「………。」


 大家は最後に、テレビの残骸にひと蹴り入れると、部屋を出て行った。

 その時、テレビの残骸の中から小さな物が、私の足元に転がってきた。


 紫色の小さな、服のボタンの裏に安全ピンが付いた、バッチの様な物だった。

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