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少女  作者: VISIA
11/17

食(前)

──もしもし、警察ですか?



──○○アパートの○号室から、変な臭いがするんですよ。



──最近、そこに住んでいる人も様子が変だし…


──1回来てくださいよ


──ええ、ええ。そう…

 台所を見ると、2人が楽しく会話をしながら料理をしていた。


 こうして見ていると、仲のよい姉妹にみえる。

 2人の邪魔にならないように後ろを通り、冷凍庫にアイスをしまった。


 こちらに気付く様子もなく、話が盛り上がってるようなので、私は声を掛けずに、いつもの定位置に座った。


…昼まで2時間あるな


 テレビを視ようとリモコンを探すが、周りを見回しても見つけられなかった。

 仕方なく立ち上がり、テレビの所までいき、電源のスイッチを押す。


 一瞬、少女2人の写真が画面に映ったと思ったが、テレビが壊れたのか画面が消えて暗くなり、中から煙が出て来た。


……!


 せめて、あと1年は¨元気¨でいてほしい。

 神経質な女性を相手に機嫌を取るように、テレビを宥めていた。


─暫くして、こちらの異変に気付いたのか¨ことみさん¨が話し掛けてきた。


「どうかしたのですか?」

「テレビが壊れたようだね。」


「叩いてみたりとか、しました?」

「いや…」


「昔、お爺ちゃんがバンバン叩いてましたし。…でも、逆に優しくする方がイイのかな?」

「……。」



「フフ。」

「……?」


 ¨ことみさん¨が、優しくテレビを撫でる。

 一瞬、悲しそうな表情を見せた。


 その隣で、いつの間にか¨のりこちゃん¨が、興味深そうにテレビを見ていた。

 そして少しずつ、テレビに顔を近づけていた。



 ¨ことみさん¨は、いつもの表情で¨のりこちゃん¨を確認すると、テレビの上面を、指で軽く叩いた。


 すると突然、テレビから炎が吹き上がった。


「フフフ。」

「「わあああああっ」」



「もう、ダメですね。」

「「み、みず!水!」」



「(わたしも、いずれ…)」

「「台所からも火がっ!?料理が燃えてるっ」」



「(…こうなるの?)」

「「消せっ!消せっ!」」



「………。」

「「わあああああっ」」

 バケツ、鍋、コップ、フライパンなど、あらゆる方法で水をかけ、ようやく火を消すことができた。



 途中、のりこちゃんが


「これで、どうだああ」


と叫びながら、手に掴んだ小麦粉を火元へ投げているのを見た時、彼女が残酷な天使にみえた。


 そんな中、¨ことみさん¨は、頭にフライパンが当たろうが、バケツの水が掛かろうが、何の反応も見せず、ただ下を向いて立っているだけだった。

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