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神殿の生活


清廉さを表したかのような、真っ白で荘厳な建物、神殿。

そこは、神官として神に仕えている者の醜悪さなど、全く感じられない白さだ。

この神殿を見て、私はいつもそう思う。


外見の白さで醜さを覆い隠し、外面の良さで弱者を食い潰す。

お金を巻き上げるために不幸を演出して、さも助けたかのように訴える。

いわゆる、マッチポンプ。

それが、この国の神官たちのやり方だ。

もちろん、全ての人がそうと言うわけではない。

だが醜ければ醜いほど、本当の白は霞んでいく。

欲が深ければ深いほど、上役になるなんて世も末だ。

まぁ、そう考える私の方が、一般的ではないだろうけど。


だって、仕方がない。

私は、この世界の人間ではないもの。


私は、ある日突然、この国の神官に召喚された。


元の世界では、幸せでもなければ、逆に不幸でもなく平凡な人生を送っていた。

山も谷もなく、平坦な人生だったけど、なんの不満もなかった。

ちょっとした山は望んでいたけど、決して異世界に行きたいなどと思ったことはない。

なのに、平凡な私が、生まれた場所から強制的に引き離されて、こんなところにまで来させられるなんて。


怒りと憎悪、嫌悪で爆発してしまいそうだった。

けれど、冷静さを忘れなかった。

その時の私の判断を、自分で褒めてあげたい。


当初、召喚された女性は、7人いた。

けれど今、この神殿に存在しているのは、5人。


1人は冷静さを失い、その場で怒りを爆発させて、暴言を吐いていた。

落ち着かせるためとの名目で別室に連れて行かれ、そのまま姿を見せなくなった。

おそらく、消されたのだろう。


もう1人は調子に乗って神官たちの命令に従わず、好き勝手をしていた。

そしたらある日、事故で亡くなった。

他の人は信じたようだけど、私は疑った。

だって、直前の上級神官たちの雰囲気が殺気だっていたから。

また、殺されたのだと思った。

ある程度のわがままはするされるのだろう。

わがままを言っていた人は、他にもいたから。

けど、どこかで彼女は一線を越えた。

だから、消された。


私は不信がられない程度にわがままを言い、神官たちの命令を聞き続けた。

あんな奴らに、殺されたくなんかなかったから。

けれど、本当の力は隠した。

周りに合わせれば、隠すことができた。


祈りも、治癒も、魔力補給も、身体を売ることだって、最終的には拒まなかった。

心底反吐が出る思いだったが。


媚を売って、適度にわがままを言って、嫌々でも最終的にどんな命令にでも従う。

扱いやすい聖女。

それが神官たちの、私に対するイメージだ。

このイメージを作るために、5年も時間をかけた。

早急に築き上げたイメージは、崩れやすいから。

長い時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりと。


全ては、私の、たった一つの願いのために。






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