トラック2-02 |図書室でのキス(主人公視点)
放課後の図書室って、嫌いじゃない。
静かで、みんな自分の世界に入ってて、
少しくらい変なことしても、案外気づかれない。
はず……
君がこっちに向かってくる。
自分でもちょっと顔がほころぶのが分かる。
「お、来た来た。こっちこっち。ほら、席取っておいたよ」
でもなんで私、こんなにそっけない声出すんだろ。
ホント可愛くない。
君が鞄を開けて、筆箱を探し始めたのを見て、思わず首をかしげた。
「……ん? どうしたの、そんなにゴソゴソして」
もしかして、本気で勉強しに来たと思ってるのかな。
それとも、分かってて誤魔化してる?
「いや勉強するための筆箱……」
ああ、やっぱり。
もしかしてがっついてるの、私だけ?
「筆記用具? いらないってば」
声、少しだけ落とす。
「ねぇ、何のために放課後呼び出したと思ってんの?」
ここまで言えば、さすがに察するでしょ。
でも、君の顔を見ると、もう分かってるくせに戸惑ってるのが丸分かりで。
……可愛い。
距離を詰める。
耳元まで近づいて、声を落とす。
「……キス、するの……」
言葉にした瞬間、胸の奥がきゅっとなる。
ドキドキしてるの、私の方も同じなのに。
放課後の図書室。
周りには、まだ人がいる。
ページをめくる音も、ペンの走る音も、全部聞こえる。
「そんな場所で……みんなに見られながらキスするの」
自分で言ってて、ちょっと可笑しくなる。
「……ドキドキしない?」
「まずくない……?」
その小さい声。
ちゃんと不安なの、伝わってくる。
「大丈夫だってば。見られてもキス実習かな?ってくらいで済むし」
本当は、済まないかも。
でも、そう言わないと進めない。
少し間を置いて、柔らかく。
「……だから。ほら、舌 出して?」
椅子がきしんだ音で、心臓が跳ねる。
でも、もう止まれない。
唇が触れた瞬間、頭が一気に熱くなる。
「ちゅ」
短く、こっそり。
それだけなのに、息が乱れる。
「……あ、ちょっと。動かないで」
「キス……しづらいから」
ダウナーな声を装いながら、
本当は、少し寂しくて、不安になる。
「……ねぇ、君もこういう場所でするの好きかなって思ったんだけど」
「私なんかとしてるの……みんなに見られるの……嫌?」
返事はない。
でも、キミの表情で全部分かる。
「……ううん、なんでもない」
口元が緩む。
「君の顔、見たら……聞くまでもなかったね」
そう言って、また近づく。
「……じゃあ、続けよっか」
次は、さっきより深く。
舌が触れて、絡んで。
「ちゅ……」
君の反応、正直すぎて可愛い。
「……ねえ、君の舌の方が……長いでしょ?」
わざと囁く。
「もっと絡めてきてよ」
煽ってるって分かってるけど、やめない。
「こんな場所で~なんて言って……がっつくりゃん」
息、抑えきれてない。
「これ……絶対、誰かに見られてるよね」
言った瞬間、君の身体が強張るのが分かる。
「……ね? 見せつけちゃおっか」
君の反応が、すべて可愛くかんじるのはなんでだろ?
……
……
「昨日…家でまたしちゃった」
この話を男の子にするのは、
正直、ずるいと思う。
家で、思い出しちゃったこと。
初めてのキスが気持ちよくて、我慢できなかったこと。
でも、確かめたかった。
私だけじゃなかった、って。
君も私とのキス、
一人で思い出してくれた、って。
「君のせいだから」
冗談半分。
でも、本音。
君の反応がもっと見たくなる。
「……これ……いつも使っているお気に入りのおもちゃ」
出した後に気づいたんだけど、
これ昨日洗ったっけ?
……ま、いっか
「これ、あてていい?」
君の顔見たら、どうでもよくなってくる
・・・
・・
・
私
こんなに雑魚雑魚だったんだ……
っていうか、キスしながらだと全然違う……
ぼそっと漏れた声、聞こえたかな……?
「え……何? 君も使いたいの? 私に?」
これって人に使って面白いの?
「……まぁいいけど」
言ってから気づく。
「下着は……触っちゃダメ」
今、私の下着絶対ヤバい
替えあったかな……?
そんな事考えてたら
「んっ!!!」
急に強くなって、思わず声が出そうになる。
いや、絶対出てた。
「……まって……音、響いて」
分かんない。
身体に響いているのか。
周りにも聞こえてるのか。
「こんな……強いの……無理……」
息が乱れて、余裕がなくなる。
ふと、視界の端で気づく。
男子が、こっち見てる……?
「……待って……ちょっと待って……」
焦りが、一気に押し寄せる。
「男子が、さっきからこっち見てるの……」
絶対、見てる。
気のせいじゃない。
「私の事、絶対見てる……」
バレたら、終わる
「お願い……もうとめて……?」
でも止めて欲しくない。
「他の男子に……顔見られたくない……」
だから。
「……キス……お願い、キスして……」
そう言うしかなかった。
・・・
・・
・
「……絶対に男子に気づかれてた……」
さすがに3連続は初めて……
途中、周りを見る余裕なんて全然なくて
キスの事しか覚えてないけど
「……何 そのどや顔?」
ちょっとムカつく。
「〝一番気持ちよかった~〝って言われて、調子にのってるの草」
少し睨んでから、囁く。
「ちょっと分からせる必要あるみたいだね……」
最後に。
仕返し。
「ねぇ……ここで出して」




